α世代(2010~2024年生まれ)のわが家の子どもたち(8歳、3歳)には、お気に入りの居酒屋があります。
居酒屋と聞くと不思議に思うかもしれませんが、その店は子ども連れを歓迎しており、子どもにはソフトドリンクのサービスと食後にアイスクリームのサービスがあります。食後に店員さんが箱に入ったアイスを持ってきてくれ、子どもたちはその中から選ぶのを楽しみにしています。
箱アイスなので、アイス1つあたりのコストは数十円、ジュースを入れても1人あたり百円程度かと思います。その投資で子どもから厚い支持を得ており、店内には家族連れが多くいます。マーケティングとしてやっているのか、サービス精神なのかはわからないのですが、いい施策だなと思いました。
そこで今回は、わが家の子どもたちを観察して、子どもを対象としたマーケティングにどのようなものがあるのか、何が刺さっているのかを観察してみました。
コラボ先にもメリットのあるハッピーセット
子ども向けのマーケティングとして、私が最初に連想したのはマクドナルドです。マクドナルドが現在の「ハッピーセット」につながる、子ども向けのメニュー「お子様セット」を始めたのは1987年。
うちの子どもたちもマクドナルドが好きです。ハッピーセットのおもちゃが何であれ、そのおもちゃを開けるときの表情はワクワクで溢れています。すぐに飽きることもありますが、おもちゃのリサイクルボックスに入れられるので、親としてもおもちゃをもらうことに対して抵抗が少ないです。
1ヵ月ごとくらいに変わるおもちゃですが、特に子どもに刺さっていたのがトミカです。おもちゃだけではなく、特定の日に配布される「トミカスペシャルDVD」をすりきれるんじゃないかと思うほど見ています。
内容はトミカの商品紹介やトミカの歌、トミカのYouTubeチャンネル紹介など、トミカの宣伝を詰め込んだものではあるのですが、「あれが欲しい、これが欲しい」と言いながら見ています。ハッピーセットからトミカをより詳しく知り、さらにトミカの商品が欲しくなる入り口としての、ハッピーセットのすごさを感じました。
知育アプリ「ごっこランド」が生むブランド認知の力
ある日、上の子に「カロリーメイトを食べたい」と言われました。私たち夫婦にカロリーメイトを食べる習慣はなく、家にも買い置きはないし、どこで知ったのかと不思議に思っていたら「ごっこランド」というアプリで知ったとのことでした。
「ごっこランド」は、株式会社キッズスターが提供している知育アプリです。実在する企業やブランドの体験型コンテンツを通じて社会の仕組みを学べます。コロナ禍の自粛生活中に、子どもが安全に遊べるアプリを探していたときに見つけて使い始めました。
元々はサービス内容に惹かれてというよりも、アドネットワークから配信されている広告が表示されないアプリを探していました。
というのも、子どもがアプリで遊んでいる途中に広告が表示され、広告で中断されるたびに機嫌を損ねてしまったり、うっかりタップしてしまったり、子どもに不適切だと思われる広告が配信されるということがあったからです。
その点、「ごっこランド」はアプリの内容そのものが企業広告なので、そうした心配はありません。
サービス開始は2013年だそうですが、現在は70以上の業界を代表する企業・ブランドが出店していて、さまざまなゲームがあります。
子どもが興味を持ったのは、大塚製薬の「カロリーメイトをつくろう」というゲームです。材料を混ぜたり、焼いたりというプロセスを工場見学のような気持ちで楽しめます。
プロセスの中で、原材料や焼き方の工夫についての説明があり、商品についてより詳しく知ることができます。そのプロセスが刺さったのか、食べてみたくなったようです。
カロリーメイトは購入まで至った例ですが、他にも銀座コージーコーナーの店舗を見て「あれ、知ってる! ケーキ作ったことあるよ」と言われたり、ドラッグストアでセザンヌ化粧品の商品を見て「お母さんはセザンヌの化粧品を買わないの?」と聞かれたりと、確実にブランド名が子どもに浸透しているのを感じます。
そうした体験からも、「ごっこランド」が、楽しみながらブランドを深く知ってもらえる場所になっていると思います。
子どもには楽しさを、親には安心を
子ども向けのマーケティングを観察する中で、感じたことが2点あります。
1つ目は、子どもたちは楽しさや喜び、わくわく感を通じてブランドに対する愛着を深めていることです。
居酒屋でのアイスのサービスやマクドナルドのハッピーセット、「ごっこランド」の体験型アプリは、いずれも子どもたちにとって楽しい時間を提供し、その結果としてブランドへの好意が生まれています。
2つ目は、マーケティング施策が親の視点からも支持されることの重要性です。
親は子どもたちが楽しんでいる姿を見ることに喜びを感じ、安心して商品やサービスを利用します。居酒屋でのささやかなサービスや、ハッピーセットのおもちゃのリサイクルシステム、「ごっこランド」の広告フリーの設計など、親の視点に配慮した工夫が見受けられます。
そうしたことを踏まえて考えると、企業が子ども向けマーケティングで成功するためには、子どもたちに楽しい体験を提供するだけでなく、親にとっても安心で価値のあるものであるという、この2つのポイントを押さえていることが重要なのだと思います。
企業は、子どもたちが楽しめる工夫を凝らしつつ、かつ親の信頼を得るための施策を展開することで、より多くの家族に支持されるブランドを築いていくことができるのではないでしょうか。
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