「あ、高速道路のSAで見たことある!」コーヒールンバが流れる自販機「アドマイヤ」は注文後に豆を挽く本格派だった | 編集部が気になる! 最新テクノロジー機器

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yu-ta(ゆーた)26歳、会社員 PC.スマホ周辺機器やスマート家電など ガジェットを使って スマートな生活を送っています。 このサイトでは管理人おすすめの 最新の便利ガジェット情報や お得に買えるセール情報を中心に 発信しております。
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ミル挽き珈琲の自動販売機と神山真美氏
  • 「サービスエリアに行くと、コーヒールンバが聞きたくなる」
  • 「サービスエリアといえばアドマイヤのコーヒー」

そんなSNSの投稿を見かけるほど、コーヒールンバが流れる自販機「ミル挽き珈琲アドマイヤ(以下、アドマイヤ)」は巷に浸透しているようだ。

トーヨーベンディングが開発した同自販機は、高速道路のサービスエリア・パーキングエリアなどに250ヵ所以上、病院に200ヵ所以上、一般企業や公共機関などに1300ヵ所以上設置されている。

同自販機の特徴は以下だ。

  • 1杯ずつ挽き立てのコーヒーを提供しているため本格的な味や香りを楽しめる
  • コーヒーを淹れる映像がモニターに映し出される
  • 「コーヒールンバ」のメロディーが流れる
  • コーヒー抽出時の香りが自販機から出てくる

このように、五感を刺激する工夫が満載だ。

なぜ、このようなこだわりが詰まった自販機を開発したのか。広報室 副室長の神山真美さんにビジネス戦略を聞いた。

本格的な挽き立てコーヒーを手軽に届けたい

アドマイヤの誕生は約20年前の2003年にさかのぼる。自販機で買えるコーヒーが缶コーヒーのみだった時代に、「自販機で挽き立てのコーヒーを提供したい」と考えたのだ。

「当社は、自販機のオペレーターとして一般的な飲料を販売する自販機の開発や運営に50年以上も携わってきました。そんな中で、『挽きたてのコーヒーの味を自販機で再現したい』と考案し、試行錯誤の末にアドマイヤを開発しました」(神山さん)

アドマイヤシリーズは「アドマイヤ(写真左)」「アドマイヤブルー(中央)」「アドスリム(右)」のほか、コーヒー以外のメニューも充実する「フロアサイドカフェ」の4種類を展開(トーヨーベンディング提供)

本格的な挽き立てのコーヒーを届ける。そんなコンセプトのもと誕生したアドマイヤは、コーヒーの品質に並々ならぬこだわりがある。

使用しているのはコーヒー豆三大原種のひとつであるアラビカ種で、メインの品種は「キリマンジャロ」と「モカ」。豆のおいしさを活かすため、ブレンドではなくストレートで提供する。今春からは、コーヒーの王様と称される「ブルーマウンテン」と超が付く希少品種の「ゲイシャ」も展開を開始。この2種は高価格を踏まえてブレンドにしている。

トーヨーベンディングが考える、コーヒーをおいしくする最大のポイントは、自販機に補充する直前に焙煎をすること。そして、1杯の注文ごとに豆を挽くことだ。

「焙煎した豆は、その瞬間から酸化が始まり、時間が経つほど鮮度が落ちます。それを踏まえて豆の補充頻度を徹底して管理し、焙煎したての鮮度の良い豆を使っています。さらに、販売時は1杯ごとに豆を挽いて提供しています」(神山さん)

アドマイヤのモニター映像にも出演している広報室 副室長の神山真美さん

究極の1杯を追求しているため、価格帯は缶コーヒーの倍近く(170〜320円)だが、容量は商品によって異なるが、たっぷりと入っている印象だ。カフェで飲むコーヒーと変わらないクオリティを自販機で味わえるようにしている。

待ち時間も楽しく! 5台のCCDカメラのライブ映像やコーヒールンバで五感を刺激するエンタメ性

アドマイヤを語るには、他の自販機には見られないエンタメ要素も欠かせない。1杯のコーヒーを淹れる約70秒間の間、五感を刺激するコンテンツが豊富に用意されている。まず目に飛び込んでくるのは、自販機の上部に設置された大きめのモニター。

購入前は、アドマイヤにまつわるクイズが出題されている

コーヒーを注文すると、モニターの映像が録画から生中継に切り替わる。アドマイヤの内部には5台のCCDカメラが設置されており、コーヒーを淹れる様子が生中継されるのだ。

注文ボタンを押すと、モニターに自販機内のカメラ映像が映る
今まさにドリップしている様子が生中継される

映像が切り替わると同時に「コーヒールンバ」が流れ始め、何だかなつかしさを感じる曲調に思わず聞き入ってしまう。そしてこの音楽を流すために、1台ずつ著作権使用料を支払っているという。

続いて、コーヒーのいい香りが辺りに充満し始めた。豆を挽くタイミング、お湯を注いで蒸らすタイミングでコーヒーの香りが自販機の外に届くよう、香りを放出させる専用の穴を設けているのだ。

左下の穴からコーヒーのいい香りが漂ってくる

約70秒後、コーヒーが完成。映像、音楽、香りを楽しんでいたら、あっという間のように感じた。これこそ自販機にエンタメ性を付加した最大の狙いだという。

砂糖やミルクも加えられフタ付きの状態で出てくるので、すぐ飲める

さらに、アドマイヤで使用している紙コップは、時間が経過して結露しても、ふにゃっとならない硬めの素材を採用している。これが五感のうちの触覚における工夫なのだという。

フタ付きで商品が出てくるのは世界初! 「オートキャッパー」もドライバーに人気

前述したように、アドマイヤといえば「サービスエリアにある自販機」として広く認知されている。高速道路上のサービスエリア・パーキングエリア等に多く設置されているのは、自販機のオペレーターとして以前から実績があったこともあるが、ドライバーとの親和性が高い商品だったことも大きいそうだ。

サービスエリアに設置されたアドマイヤ(トーヨーベンディング提供)

「アドマイヤには世界初の『オートキャッパー機能』があり、飲み口付きのフタが自動でセットされて出てきます。高速道路を使用するドライバーの方は持ち運びをしたり、車内で飲んだりするので、フタ付きのコーヒーが重宝されたんですよね」(神山さん)

フタを取り付ける余計な手間が省けるのは、利便性が高い

ドライバーを中心にクチコミで人気が広がり、今では福島から岡山までの主要なサービスエリアにアドマイヤが設置されている。

その他、病院や一般企業、商業施設などにも設置が広がっている。たとえば、病院ではライブ映像で自販機の中の様子が見える、フタが自動でセットされるという点が、衛生面で高く評価されたそうだ。実際、アドマイヤは清掃を徹底しており、だからこそ中の映像を生中継できるのだ。

また、最近問い合わせが増えているのが「道の駅」。さらに、新大阪、京都、小田原など新幹線が止まる駅でもアドマイヤの設置は増えつつある。

「新幹線の駅で見つけたくれた方が、『鉄ミル』という言葉を添えてSNSに投稿してくださるなど、各所で反響を得られています。SNSではアドマイヤのコーヒーについてつぶやく多くの投稿が見られ、自然発生的に認知度が上がっている状態です」(神山さん)

特に狙ったわけではないが、映像や音楽が流れる仕掛けがSNSと相性が良かったようだ。

コーヒーの品質へのこだわりがオンラインストア事業やコラボ自販機につながった

近年、トーヨーベンディングではアドマイヤに関連する事業の拡大を図っている。その一つがオンラインストア事業だ。

「コロナ禍で外出される方が極端に減り、自販機事業の売上には多大な影響がありました。その代わりに自宅でおいしいコーヒーを楽しむ方が増えてきたため、当社のコーヒーも自宅で飲んでいただけるよう2022年初頭にオンラインストアをオープンしました」(神山さん)

2023年6月現在は、モカとキリマンジャロの2品種の豆のみを販売しており、自販機と同様に焙煎したての豆を提供することにこだわっている。今後は、オリジナルのドリップパックなども開発したいという。

トーヨーベンディングのオフィスには、自販機の模型が置かれていた

もう一つは、アドマイヤのベース機能を生かした「コラボ自販機」の取り組みだ。2022年春にプロジェクトが始動したのが、坂口憲二さんが焙煎士を務めるコーヒーショップ「The Rising Sun coffee(ザライジングサンコーヒー)」とのコラボ。ザ ライジング サン コーヒーは、鶴見、大網、東京のどこか(住所非公開)の3つの店舗を持ち、通信販売も扱うコーヒーショップだ。

「ザ ライジング サン コーヒーの味をアドマイヤで表現できれば、実店舗へ足を運べない方にも楽しんでもらえる」そんなお互いのコーヒーへの思いが一致して、プロジェクトに至ったという。コラボと言っても、ただラッピングなどを調整しただけではない。ミルなど自販機自体をオリジナルで製造したほか、納得する味が出せるまで関係者で何度も試飲を重ねた結果、実現には半年以上かかったという。

「味だけでなく世界観まで共有して、お互いに妥協のない自販機、商品に仕上がりました。コーヒーを淹れている間は、ザ・ビーチ・ボーイズの『サーフィン・U.S.A.』が流れます」(神山さん)

このコラボ自販機は、現在3ヵ所のサービスエリアに設置されている(トーヨーベンディング提供)

同プロジェクトは今後も継続する予定で、第2弾のコラボはすでに始まっている。第2弾では通常のアドマイヤの自販機に、ザ ライジング サン コーヒーが焙煎・監修したコーヒーメニューを取り入れている。

また、今後の事業展開について神山さんは以下のように語った。

「当社の事業戦略としては、オンラインストアを含め販路の拡大を重要視しています。これまで設置実績が少ないアミューズメントパークや商業施設など常に集客があるような場所への設置台数を増やしたいですね」(神山さん)

競合をたずねると「強いて言うならコンビニ」と神山さん。2010年頃に登場したコンビニの挽き立てコーヒーは、低価格なうえに手軽だ。アドマイヤが展開しているサービスエリアや病院にコンビニが入っていることも増えてきたため、競合関係にあると言えるだろう。とはいえ、鮮度のいい豆を使った本格的な味わいやエンタメ性は、他の自販機やコンビニにはない強み。コンビニの2〜3倍の価格を払っても、買いたい人は少なからずいるはずだ。

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