10大トピックトップ3
見過ごすわけにはいかない寄生サイトの横行
SEO業界の重鎮が警鐘を鳴らす
大手サイトのサブディレクトリやサブドメインの一部を “間借り” してアフィリエイト活動するサイトが、特に2021年頃から検索結果で目立つようになってきた。2022年もこの流れは変わらず、むしろひどくなる一方だった。
日本のSEO業界を代表するサイバーエージェントの木村氏とso.laの辻氏は、こうしたサイトを “寄生サイト” と揶揄し、いくどとなく警鐘を鳴らした。サイトの一部を貸している企業に取り返しがつかない悪影響を及ぼす危険性があるからだ。貸す方は、アフィリエイト報酬の一部や賃料が苦労せずに手に入るということで安易に契約してしまうのだが、実際には得られる利益よりも大きなものを失う可能性があるというわけだ。
さて、グーグルは寄生サイトについてどのように考えているのだろうか? 11月にシンガポールで開催されたSearch Central Live(サーチ・セントラル・ライブ)に参加した際に、現状の認識をグーグル社員に直接聞いてきた。
グーグルも放置しているわけではない。寄生サイトを問題視しており、アルゴリズムで大規模に処理できるように取り組んでいるとのことだった。2023年には悪質な寄生サイトが撲滅されることを願う。
一点、補足する。サブディレクトリやサブドメインで運用するサイトがすべて悪質ということではない。こちらのツイートに投稿したとおりだ。
さらにいえば、借りる側がリスクを可能な限り開示し、貸す側が現状と将来のリスクを理解したうえで行うのならば、第三者からは何も言うことはない。万が一、将来にサイト全体の評価が下がってしまったり、消費者からの評判が地に落ちたりしたとしても、貸す側が納得済みのことならば第三者が何か言うことではない(検索結果の健全性の問題を除けば)。
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- 知り合いのウェブ担当者に伝えましょう
コア アップデートも大事だけどヘルプフルコンテンツアップデートに注目
日本語にも導入済み
コンテンツ評価に関わる検索アルゴリズムと言えば、コア ランキング システム(コア アップデート)を思い浮かべる人が多いはずだ。2022年も、5月と9月の2回、グーグルはコア ランキング システムをアップデートした。
だが、それ以上に注目したいのはヘルプフル コンテンツ アップデートだ。
ヘルプフル コンテンツ アップデートは、次のことを目的としたランキングシステムの導入だ:
- ユーザー第一のアプローチで作成された有用なコンテンツを高く評価し
- 検索エンジンファーストのアプローチで作成されたSEO目的のコンテンツの評価を下げる
2022年8月22日(太平洋時間)にヘルプフル コンテンツ システムが導入されたときは、英語で書かれたコンテンツだけが対象だった。言語理解に深く関係している特性上、英語以外の言語への導入は年内にはないだろうと筆者は予想していた。事実、同じように言語理解に関係する商品レビューに関わるアップデートは、導入から1年半以上たっても英語だけだ。
ところが、筆者の予想は見事に外れた。2022年12月5日(同時間)には日本語を含む全言語にヘルプフル コンテンツ システムが導入された。
※筆者注: 詳しくは2023年最初の本コーナー記事で取り上げる
初回導入時には、ヘルプフル コンテンツ アップデートによる目立つランキング変動は大規模には観測されなかった。大きめの変動が確認されたのは、歌詞サイトや辞書サイト、着信音サイトなど一部のジャンルだった。全言語の導入による順位の動きは、情報が入っていれば2023年に本コーナーでお伝えしていく。
検索セントラルサイトに新規公開された必読ドキュメント×2
全員向けとSEO上級者向け
検索セントラルサイトで公開しているドキュメントをグーグルは継続的に改善している。2022年は特に次の2つの新規公開ドキュメントに注目したい:
1つ目の「Google 検索の基本事項」は、SEOに取り組むウェブ担当者は必読だ。次のような必須情報をはじめ、基本だが決定的に重要な知識を得られる:
- グーグルが推奨するSEOのベストプラクティス
- 禁止するスパムポリシー
「Google 検索ランキング システム ガイド」のほうは、知らなくても現場で困ることはないだろう。それでもSEO上級者を目指すなら、グーグル検索がどのようなアルゴリズムを用いてランキングを決定しているのかを把握しておきたい。
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4位~5位
2022年に導入された注目の新しい検索機能×3
モバイル検索のサイト名・この検索について・長所と短所のリッチリザルト
グーグルは検索結果の外観も絶えず改良している。はっきりと目立つものからほとんどだれも気付かないものまでさまざまだ。2022年に導入された、特に目立つ検索結果の新しい機能として、次の3つを取り上げたい:
モバイル検索のサイト名
モバイル検索結果ではサイト名を表示するようになった:
認知度のあるサイトはクリック率が上がるかもしれない。正しいサイト名を表示するための技術要件を確認しておこう。
※現時点では、サブドメインやサブディレクトリで運用しているサイトにはサイト名は表示されない。
この検索について
「この検索について」は、検索結果に出てきたページに関する属性を検索ユーザーが調べられる機能だ。調べられる属性としては、現時点では次のようなものがある:
- ウィキペディアでの説明
- 初回インデックス日
- HTTP接続かどうか
- など
検索結果に出てきたサイトの信頼性を確かめたいと検索ユーザーが思ったときに「この検索について」機能は役立つ。グーグルによれば、2022年に英語でリリースして以来、世界中で 24億回以上使用されたとのことである
長所と短所のリッチリザルト
「長所と短所」は、商品に関する良い点と悪い点をリッチリザルトとして検索結果に表示できる仕組みだ。
ユーザーの関心を検索結果でひきそうなリッチリザルトだ。試したい人は技術ドキュメントにならって構造化データでマークアップするといい。
★★★★☆
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- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
Search Consoleのデータは信用できる? できない?
調べられるのは半分だけ!?
Search Consoleの検索パフォーマンスレポートは検索トラフィックの分析になくてはならないツールだ。しかしながら、提供するデータは100%完全なものではない。その理由は、プライバシー フィルタリングやデータ行の上限などだ。
相応の理由があるので納得すべきなのだが、実際の検索トラフィックの半分のクエリしかレポートしていない場合があると聞いたら、あなたは受け入れられるだろうか? そんな現実を暴いた調査をこのコラムで紹介した。
それでも、検索パフォーマンスの利用を放棄するわけにもいかないだろう。グーグルの検索チームでSearch Consoleの開発・管理に携わっているダニエル・ウェイズバーグ氏が解説したデータポータル(現Looker Studio、ルッカースタジオ)との連携は、特に大規模サイトのデータ分析に役立つ。
★★★★☆
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
6位~10位
AIベースのSpamBrainが検索スパムを駆逐
2022年の実績に期待
検索結果からのスパム排除にグーグルは絶えず取り組んでいる。2022年10月にはスパムアップデートを実施した。
また、2021年に取り組んだスパム対策の成果を2022年5月に発表した際に、AIをベースにしたSpamBrainというスパム防止システムの存在を明らかにした。
グーグルが初めてサービスを開始した20年近く前と比較して、200倍以上のスパムサイトを2021年は検出したそうで、これにはSpamBrainが大きな役割を果たしたとのことである。さらに、SpamBrainをリンクスパムにも対応させたリンクスパムアップデートも2022年12月14日にリリースしている(筆者注: 詳細は本コーナー次回記事で)。
2022年のスパム対策の実績がどうだったかは2023年の5月~6月くらいに発表があるだろう。SpamBrainの力量を見せつけてほしいものだ。
★★★★☆
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
初期状態で非表示のコンテンツの評価は下がる? 下がらない?
結局はUX観点で決めるべき
「初期状態でコンテンツが隠れているが、プラスボタンやタブをタップすると出現する」形式のデザインは、スマホ向けサイトでよく見る。
「初期状態で表示されていないコンテンツ」は検索評価が下がった時期が以前にはあった。しかし現在は違う。グーグルのゲイリー・イリェーシュ氏は、「初期状態で見えないコンテンツであっても、見えるコンテンツと何ら変わることなく認識されるし検索にマイナスな影響は与えない」と言い切っている。
イリェーシュ氏の説明を信じたいところなのだが、初期費表示のコンテンツはやはり評価を下げられていると主張する人もいる。実サイトでの体験や検証のための実験から判断している例だ。
検索結果はさまざまな要因が関わってくるので、真偽のほどを明らかにするのは難しい。どちらにせよ言えるのは、ユーザー体験の観点から決めるべきだということだ。つまり次のように考えたい。
初期状態で非表示にすることがユーザー体験の視点から良いのかどうかを重視して判断するのが重要である。
「詳細な情報を隠してより多くの情報を1画面で見せるほうがいい」と考えるなら隠せばいいし、「最初から見えていたほうがユーザーに親切だ」と考えるなら隠さないほうがいい。
文字数やKW出現率を重視するSEO都市伝説
グーグル自身ですら誤解している
文字数や単語の出現回数はグーグルのランキング要因ではない
明白な事実なのだが完全には浸透していない。グーグル自身ですら、「SEO的には、文字数300語以上・キーワード出現率2%以下」をオンライン教材のなかで推奨してしまいプチ炎上した事件もあった。
思い込みで「1000語未満のページは低品質」だと判断しサイト内の半分のページを削除したところ、オーガニック検索トラフィックを60%失った事例も報告されている。これについて、グーグルのジョン・ミューラー氏は次のように諭していた。
薄っぺらいコンテンツかどうかの判断に、文字数は何の関係もない。
自分のサイトのトピックに関しては専門家なんだから(専門家であるべき)、ユーザーにとって何が有用なのか何がつまらないものなのかを見分けられるはずだ。
品質の判断基準に文字数を使ってはいけない。
また、長い記事が良い記事とも言えない。本当に良い記事とは目的を達成できる記事だ。コンテンツの良し悪しを文字数だけで語るのはナンセンスだと心得てほしい。
ユーザーファーストは検索エンジンを無視していいということではない
robots.txtの仕様を知らずに検索から消えたトラブル
現在のSEOでは、昔ほど技術的なことを意識する必要がなくなってきている印象がある。実際に、SEOで重要なのは、次のようなことだというのは、共通認識になりつつあるだろう:
検索エンジンファーストではなく、ユーザーファーストで取り組むこと。
だがこのアプローチは、次のことを意味するわけではない点に注意が必要だ:
ユーザーファーストで取り組むのだから、検索エンジンのことを考慮する必要はない。
実際のところ必要な姿勢は、「ユーザーファーストでありながらも、大前提として検索エンジンの仕組みを理解した技術的な配慮もする」といったものだ。
検索エンジンの技術的な面を軽視すると、どんな問題があるのだろうか?
たとえば、グーグル検索におけるrobots.txt
の処理を知らなかったがために、検索結果にスニペットが表示されなくなってしまった国内のトラブル事例と、検索結果から完全に消滅してしまった海外のトラブル事例を2022年は紹介した。どちらも、Googlebotが認識しない Crawl-delay
構文が原因だった。記述の順番が不適切だったために、Googlebotのクロールを予期せずブロックしてしまっていたのだ。
クロールの仕組みを解説する技術ドキュメントに「クロールに関する誤解と事実」と題したクイズ形式のセクションがある。クロールに対するあなたの知識を確かめてみるといい。
2022年のグーグルポリシーオフィスアワーは17回開催
金谷氏と小川氏に感謝
グーグルの金谷氏と小川氏は、2022年もグーグル ポリシー オフィスアワーを主催してくれた。2022年は合計で17回の開催だった。
自分では解決できない問題や公式サイトに掲載されていない情報に対して、両氏が毎回丁寧に回答してくれる。実にありがたい。
2013年2月に始まったオフィスアワー(開始当時の名称は「ウェブマスター ハングアウト」)は、2023年には11年目に突入する。グーグル検索と、アドセンス/アドモブ/アドマネージャーのポリシーに関して質問があれば引き続きフォームから投稿しておこう。
今年の分も含めて過去のオフィスアワーの録画はこちらのプレイリストで視聴できる。
念のために説明しておくと、「オフィスアワー」は、グーグルの社員が登場して、一般のサイト運営者からの質問に回答したり、カジュアルに情報交換したりしていく動画プログラム。以前は「ウェブマスター ハングアウト」「Google検索オフィスアワー」などの名称だったが、現在はアドセンスとアドモブの質問も取り扱うようになって「グーグル ポリシー オフィスアワー」という名称で進めている。
※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業Webサイトとマーケティングの実践情報サイト - SEO・アクセス解析・SNS・UX・CMSなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:【鈴木謙一が選ぶ】グーグルSEOの2022年10大トピック【SEO情報まとめ】 | 海外&国内SEO情報ウォッチ
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