軽減税率8%の場合の税抜き価格を求めたい
ぜぃぜぃ…
アユムさん、どうしたの?
消費税がよくわからなくて、息を切らしてます。経費精算のための領収書を整理しているんですが、軽減税率で8%※だったり、インボイスとか税込なんだか外税なんだかめっちゃくちゃで! マジでブチキレ3秒前です!
※外食を除く食品、および定期購読の新聞に適用(2023年12月現在)
あああ、お疲れさま……。
ところで、税込価格から税抜き価格を求めるときって、いつもExcelのセルに入れて計算しているんですが、どういう仕組みなんですっけ? 軽減税率の結果がうまく出てこないこともあって…。
おっと、それは自分で計算できるようになろうか。では、先日、スーパーで食品を買って4104円を支払ったんだけど、税抜き価格はいくらかな?
パッと出てこない…。えっとえっと…。
3800円だよ! では、会議に行ってくるので、戻ってくるまでに計算できるように。よろしくー!
せんぱーい…
昔から、算数も数学も苦手なアユムは、希望が叶ってマーケティング部門に異動してきました。Web担で見るような「すごいマーケターになりたい!」と胸を躍らせていたが、配属後、理想と現実のギャップに苛まれることに。データ、数字、%、小数。うわぁーん、どうしたら、数字に強くなれるのでしょうか……。
そこに現れたのが、大人向け数学教室「大人塾」を運営し、数学苦手な社会人に対して指導をしているアジアゾウをこよなく愛するモリさん。
消費税込みの商品価格から税抜き価格を出すには?
モリさーん、税抜き計算の方法を教えてください!
はーい。それではまず、消費税の計算方法を考えましょうか。
電卓の「税込ボタンを押す」ですね!
ちゃう、それ計算ちゃう。操作や。
消費税は10%と8%がありますよね。となると、どういう計算になるんですか?
まず、消費税は本体価格にかかります。たとえば、ここに本体価格500円の商品があります。通常の場合は、そこに消費税が、本体価格の10%上乗せされます。
ということは、以前教えてもらった「〇〇のといったら掛け算」ですね。
すると、消費税は本体価格×10%=本体価格×0.1ですね。
その通りです。これに本体価格を足して税込価格を出しましょう。
本体価格+本体価格×0.1です。
舌を噛みそうなので、本体価格を𝒳とおきましょうか。
𝒳+𝒳×0.1
𝒳は1𝒳、𝒳×0.1は0.1𝒳と同じ意味だから、1𝒳+0.1𝒳=1.1𝒳ですね。
スバラシイ! 1.1𝒳が税込価格ということになりますね。では、軽減税率の場合はどうなりますか? 本体価格を𝒴とおきましょう。
8%は0.08だから、軽減税率の対象商品の消費税は、0.08𝒴ですね。本体価格が1𝒴なので、1𝒴+0.08𝒴=1.08𝒴 が税込価格です。
パーセントは100倍したものなので、8÷100=0.08。8%を0.8として計算してしまう人が多いので、間違えやすいポイントをしっかりクリアして、いい調子ですね。
税抜き価格を計算しよう
それでは、消費税込みの価格から税抜き価格(本体価格)はどうやれば求められますか?
本体価格を𝒳とおいた税率10%の商品の税込価格を1.1𝒳、本体価格を𝒴とおいた税率8%の商品の税込価格を1.08𝒴とおきましたね。
そうか、この計算式に当てはめればいいのか! 先輩が言っていた4104円は軽減税率のケースなので、1.08𝒴=4104、だから𝒴=4104÷1.08=3800円なんですね。わーい。
税込金額から消費税額を取り出そう
税込金額から、消費税の金額だけを知りたい場合はどうすればいいですか? たとえば、税込価格4104円、本体価格3800円です。引くしかありませんか?
どちらも数字が出てれば引く方法が早いですが、こんな裏技もあります。「消費税率10%の商品なら、税込金額を11で割る」「消費税率8%なら13.5で割る」という方法です。
なんですかそれ。どういう理屈ですか。それとも、公式ですか?
公式ではありませんが、比で考えると理屈がわかるので、考えてみましょう。
マントヒヒ?
似ているけれども違います。比(ひ)です。2つの量を比べるとき、a:b のような形で表します。醤油:砂糖=2:1みたいなものですね。そして、a:b=c:d を比例式と呼びます。イコールで結ばれているので比率は変わりません。醤油:砂糖=2:1=4:2 みたいなものです。
なるほど、イコールで結ばれていると、「:」 の両方に同じ数をかけてもイコールで結べるんですね。
はい、2つの数字の割合は変わりません。そして、比例式には、a:b=c:d のとき a×d=b×c が成り立つという性質があります。
ふむ。それが関係してくるということですね?
消費税率10%で考えましょう。税込価格550円の商品は、本体価格の1.1にあたるのでしたね。そして消費税は、そのうちの0.1にあたります。
はい、今回求めたいのは消費税額のみです。
消費税額を𝒳とおくと、550円は1.1で、消費税額𝒳円は0.1にあたりますね。となると、以下の比例式が成り立ちます。
そこに、先ほどのa×d=b×cを使うんですね。550×0.1=1.1𝒳 𝒳=50 あ、出た。
550円の税込価格を𝒴とおくと、0.1𝒴=1.1𝒳です。これを「𝒳=」の形にすると?
𝒳=0.1𝒴÷1.1 つまり、𝒳=𝒴÷11 なるほど。だから、消費税10%込みの金額から消費税だけを取り出したいときは11で割れば出るんですね。
同様に8%でやってみましょうか。432円の商品で考えてみてください。
432円は、本体価格の1.08にあたり、消費税額は本体価格の0.08ですよね。432:1.08=𝒳:0.08 これを解いて… 1.08𝒳=432×0.08
𝒳=432×0.08÷1.08=32
𝒳=32 出たー!
まるでお化けですね。では、税込金額を𝒴とおいて、𝒴:1.08=𝒳:0.08 とし、𝒳を求めましょう
1.08𝒳=𝒴×0.08 𝒳=0.08𝒴÷1.08、 𝒳=0.074074𝒴…、 割り切れない…。
こんなときは分数を使いましょう。0.08/1.08=8/108=2/227=1/13.5 となります。
つまり、13.5で割るということですね。でも分母に小数がきていいんでしたっけ。
OKです。実際に計算してみましょうか。
432÷13.5=32 ほんとだ、求められるんですね。
はい。なのでたとえば、請求合計の数字が合わないなーというとき、11で割ったり、13.5で割ったりすると、消費税の計上ミスがすぐに判明することもありますよ。
ついでに鶴亀算についても紹介!
では、ここに1枚のレシートがあります。練習のために、税額の部分は黒塗りです
まるで海苔弁ですね!
このレシートには、「税率8%で本体価格400円の食品B」と「税率10%で本体価格500円の商品C」をあわせて20個買っています。消費税込みの合計金額は10056円でした。さて、税抜き価格の小計はいくらでしょう?
問題が長い! そして、消費税の計算だけじゃないように思います。
その通りです。これは、鶴亀算のような問題です。
鶴亀算! 懐かしい! 鶴と亀がおばあさんを助ける話でしたっけ。
いえ、鶴と亀の足の数の合計から、それぞれの個体数を求める問題です。
なんで鶴と亀の足を数えるのですかね。鶴とゾウじゃだめなんですかね。
本当ですね。さて、答えを求めましょうか。考えられるところまで進めてみましょう。
税率が違う2つの商品が混じっていて、それぞれ数がわからないんですよね。税込で10056円で、税抜き価格を求めるのだから、8%と10%の間を取って9%として、10056÷1.09 とかどうでしょう。
そうは問屋が卸しません。
問屋さん…。では、それぞれの税込価格を求めます。食品Bは400×1.08=432円、商品Cは500×1.1=550円、ですね。
はい、次のステップに進みましょう。
商品C(550円)はいくつ買っても1の位は0。ということは、合計金額の1の位が6なのがヒントになりそうですね。食品B(432円)の1の位の数字である2、その倍数が6になるのは、20個まで買うなかでは、×3個か、×8個、×13個か、×18個のときだけですね。ということは、食品Bを買った数は3個か8個か13個か18個!
なんて素敵。いいところに目をつけましたね。
食品Bが3個だったら、商品Cは20-3=17個。432×3+550×17=10646。これは違う。次は8個で計算してみよう。食品Bが8個だったら、商品Cは20-8=12個。432×8+550×12=10056 です。できた!できたから、残りは計算しなくても大丈夫!
とてもいいですね。
でも、いちいち当てていくのは面倒ですね。他にやり方はありますか?
食品Bを買った数を𝒳とおくと、商品Cはいくつ買ったことになりますか?
20-𝒳個ですね。
それを先ほどと同じように当てはめてみましょう。
432×𝒳+550×(20-𝒳) ですね。引き算はカッコで括る必要があるというのは、以前習いました!
それを計算すると…?
432𝒳+11000-550𝒳=11000-118𝒳
この金額がいくらなのでしたっけ?
合計金額! なので 11000-118𝒳=10056 ですね。これを解くと、118𝒳=11000-10056
118𝒳=944
𝒳=8
𝒳はなんでしたっけ?
食品Bの個数ですから…、さっきの計算と合いました!
食品Bは8個、商品Cは20-8=12個!
で、そもそも何を問われているんでしたっけ?
税抜き価格の小計を求めよだったので、税抜き価格で計算して400×8+500×12=9200 できた~!!楽し~
こうやって、レシートを見て色々と楽しむこともできますよ。
はーい!
ポイント
- 税込金額は、本体価格×(1+消費税率)
- 10%の消費税率の場合、税込金額から本体価格を求めるのは「税込金額÷1.1」
- 8%の消費税率の場合、税込金額から本体価格を求めるのは「税込金額÷1.08」
- 10%の消費税率の場合、税込金額から消費税額を求めるのは「税込金額÷11」
- 8%の消費税率の場合、税込金額から消費税額を求めるのは「税込金額÷13.5」
- それぞれの個数がわからない場合は、片方の数を𝒳とおいて求める
今日の問題をおさらい
Q1. 消費税率8%で4104円分の商品を購入しました。税抜き価格はいくらですか。
4104÷1.08=3800
答え:3800円
Q2. 消費税率10%で5500円分の商品を購入しました。消費税額はいくらですか。
5500÷11=500
答え:500円
Q3. 消費税率8%で432円分の商品を購入しました。消費税額はいくらですか。
432÷13.5=32
答え:32円
Q4. 消費税率8%の本体価格400円の食品Bと消費税率10%の本体価格500円の商品Cをあわせて20個買っています。消費税込みの合計金額は10056円でした。税抜き価格の小計はいくらですか。
食品Bは400×1.08=432円、商品Cは500×1.1=550円
食品Bの買った個数を𝒳とおくと
432×𝒳+550×(20-𝒳) =10056
𝒳=8 よって、食品Bは8個、商品Cは20‐8=12個
税抜きで計算すると
400×8+500×12=9200
答え:9200円
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オリジナル記事:【計算できる?】スーパーで4104円の食品を購入、税抜き価格はいくら?|意外と忘れている消費税の計算 | 算数が苦手なマーケター向け「算数基礎講座」
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