それぞれの数はズバリいくつ?
おー、アユムさん、いいところに来てくれた。さっきさ、通りすがりの人から、アジアゾウ3頭の写真を60枚もらったんだ。全部1頭ずつ写っているんだけど、写真を見てもどれがどのゾウかわからないんだよね。分けるのを手伝ってほしいんだ。
(そんなことをするのは、アジアゾウが大好きなモリさん?)何が起きたのか、よくわからないですね。
渡されたときに、3頭のゾウの名前を言われたんだけど、覚えられなかった…。写真の数が少ない順に名前をA、B、Cとすると、AとB、BとCの写真の枚数の差はそれぞれ等しく、AとCの差は10なんだって。
謎が謎を呼びますね。あ、先輩、よく見ると、このゾウさんは、ちょっとサイズが小さいようです。仔象じゃないですかね。これとこの写真は同じゾウで…。うーん。枚数もよくわからないし、根性で数えるしかないのでは。
いや、どれがどのゾウかはわからないけど、Aは15枚、Bは20枚、Cは25枚あるはずだよ。これで、あたりをつけて分類しようか。
先輩、今どうやって数えたんですか?
分類しながら考えてみよう!
昔から、算数も数学も苦手なアユムは、希望が叶ってマーケティング部門に異動してきました。Web担で見るような「すごいマーケターになりたい!」と胸を躍らせていたが、配属後、理想と現実のギャップに苛まれることに。データ、数字、%、小数。うわぁーん、どうしたら、数字に強くなれるのでしょうか……。
そこに現れたのが、大人向け数学教室「大人塾」を運営し、数学苦手な社会人に対して指導をしているアジアゾウをこよなく愛するモリさん。
この記事を読むべき人:算数が苦手な方、問題を解いてみたい方
この記事を読む必要がない人:和差算が解ける方
この記事でわかること:和差算の解き方
差について考える
モリさん! 先輩にアジアゾウの写真を渡しましたか?
ああ、あの方がアユムさんの先輩ですか。私が写真を見ていたら興味深そうにご覧になっていたので60枚、差し上げたのです。喜んでいらしたでしょう。
(喜んでたかな)で、数が少ない順にA、B、Cとすると、AとB、BとCの差は等しく、AとCの差は10、というヒントから、Aは15枚らしいんですが。
ちゃんと名前を教えたのに…はい。1番少ない写真の枚数は15枚です。
それ、どうやって求められるのですか?
一緒に求めましょうか。まずは、シンプルに図をかきましょう。
でも、差がわからなくて、何もかもわからないのに、どうやって図をかくんですか?
まずは適当に。最初から完璧を求めると何も進まなくなります。
深いことを言っているように聞こえますね。では、適当にかきました。
よいですね。それぞれの線の先に垂直に線を引きますか。差がわかりやすくなります。
こんな感じですか。
とても良いです。では、そこに情報を入れていきましょう。
情報? AとCの差が10、AとBの差とBとCの差が同じってことしかわかりません。
では、それぞれの差のところに★をいれましょうか。
こうですね…。あっ、AとCの差が10で、★が2個分だから、★は10÷2=5ですね。
その通りです! ということは、BはAを使ってどうあらわせますか?
B=A+5 ですね。
では、Cは? AとCの差が10というヒントを使ってもいいですよ。
C=A+10 ですね。
で、先輩はアジアゾウの写真を全部で何枚ゲットしたんですっけ?
(ゲット? 押し付けられたのではなく?)60枚です。
となると、合計60枚なので、すべてAの式で表すと…。
なるほど。A+A+5+A+10=60 という式ができるんですね。
これを解くと?
3A=45となり、A=15です。
ということは、Bは20、Cは25ですね。足して60になりました!
差の数を数える解き方もマスター!
そのほかに、差の数を数えるという方法もあります。さきほどかいた図をみると、5の差は何個分ありますか?
3個ですね。
となると、この場合でも、差を除いた部分はすべてAと同じなので、まずは3つのA、そして5の差が3個。これを足して60…
なるほど、3A+(5×3)=60
A=15で求まるんですね。
すばらしいです。この手の問題は、和と差に注目するので、「和差算」と呼ばれています。
ところで、モリさんは、なぜ60枚もアジアゾウの写真を持ち歩いてるんですか?
日々の鍛錬です。
(やめよう、これ以上この話は)
4つの未知数の問題に挑戦
では、次の問題へいきます。
4つの数A、B、C、Dの和は106で、小さい順にA、B、C、Dとするとき、AとB、BとC、CとDの差はそれぞれ等しく、AとDの差は39です。A、B、C、Dはそれぞれいくつですか。
これ、さっきの差の数を数える方法で解けますね。
続けてください。
4つの数があるので、差の数は3個ですよね。これがすべて等しくて、一番大きな数字と小さな数字の差が39ということは…。
図にすると下のような感じです。
謎はじっちゃんがすべて解いた! 差は39÷3=13ですね。
(じっちゃん? 解いてもらったの?)
となると、A+B+C+Dは、4つのAと、13の差が6個あるということになりますね!
4A+13×6=106 なので 4A=28、A=7
すばらしい。そこから、A=7、B=20、C=33、D=46が導けますね。
本当だ、差の数を数えることで解けるっておもしろいですね! うぇーい!
うぇいうぇい! 解いているとワクワクしますね。
5つの未知数の問題に挑戦
さて、次はちょっとひねった問題です。
5つの数A、B、C、D、Eの和は153で、小さい順にA、B、C、D、Eとするとき、AはCとDの和の1/4に等しいです。またBとC、DとEの差は等しく、BとEの差は28、CとDの差は8です。A、B、C、D、Eはそれぞれいくつですか。
ひゃー! なんだか超難しいんですけど。足をひねりそうです。
わかっているところから、整理していきましょう。情報を整理する力も鍛えられますよ!
とりあえず、やけのやんぱちで、図をかいてみまっす! えいや!
BとC、DとEの差は等しく、BとEの差は28、CとDの差は8に注目しましょうか。
こうですね。
となると、BとC、DとEの差は等しいので、
(28-8)÷2=10
その通りです。こうなりますね。
でも、ここからが難しいです。ひねって骨折しそうです。
骨が折れる問題ですね。骨折問題とでも命名しましょうか。さて、ここまででC、D、EはBであらわせることがわかったので、残りの未知数はAとBですね。
残りの条件を整理します。
A、B、C、D、Eの和は153
AはCとDの和の1/4
これでAとBを使った式を作っていきましょう。まずは、C、D、EをBに寄せていきます。
C=B+10、D=B+18、E=B+28 ですね。
Bは4つあるのでA+4B+10+18+28=153となり、A+4B+56=153、A+4B=97です。
あと残っている条件は、AはCとDの和の1/4ですね。
数式にすると A=1/4×(C+D) ですね。
C=B+10、D=B+18より、
A=1/4×(2B+10+18)
A=1/4×(2B+28)
A=(B+14)/2
えっと、これはどうすればいいんですっけ。
両辺に2をかけましょうか。
なるほど! 2A=B+14でいいですか? 移項して2A-B=14になりました。
これでA+4B=97と2A-B=14の式ができましたね。AとBは、連立方程式で解けます。
A+4B=97を2倍して、2A+8B=194 これらを縦に並べて…
2A+8B=194
2A-B=14
上の式から下の式を引くと
9B=180 よって、B=20 とわかりました!
それでは、それぞれに代入しましょうか。
2A=B+14から、A=17、C=30、D=38、E=48
解けたー!!! 楽しい~!!
素晴らしいです。途中式で混乱しそうなときは、計算ミスに注意して解きましょう。ところで、アユムさんもアジアゾウさんの写真いります? 市原ぞうの国のりり香さんの写真をちょうど数枚持っていて。
りり香さん、かわいいですね! この間、札幌の円山動物園でアジアゾウのタオちゃんをみてきました。かわいかったです! でも、写真は遠慮します、お気持ちだけ、ありがとうございます。では!
ポイント
- えいやっ!と勢いで図をかいてみよう
- 差に注目する
- ていねいに解く
今日の問題をおさらい
Q1. 3つの数A、B、Cの和は60で、小さい順にA、B、Cとするとき、AとB、BとCの差は等しく、AとCの差は10です。A、B、Cはそれぞれいくつですか。
3A+5×3=60
A=15
答え: A=15、B=20、C=25
Q2. 4つの数A、B、C、Dの和は106で、小さい順にA、B、C、Dとするとき、AとB、BとC、CとDの差はそれぞれ等しく、AとDの差は39です。A、B、C、Dはそれぞれいくつですか
4A+13×6=106
4A=28
A=7
答え:A=7、B=20、C=33、D=46
Q3. 5つの数A、B、C、D、Eの和は153で、小さい順にA、B、C、D、Eとするとき、AはCとDの和の1/4に等しいです。またBとC、DとEの差は等しく、BとEの差は28、CとDの差は8です。A、B、C、D、Eはそれぞれいくつですか。
BとEの差は28、CとDの差は8、BとC、
E-B=28 → E=28+B …①
D-C=8 → D=8+C …②
C-B=E-D
代入すると
C-B=28+B-(8+C)
C-B=28+B-8-C
2C=20+2B
両辺を2で割って
C=10+B …③
③を②に代入して
D=8+10+B → D=18+B …④
A+B+C+D+E=153 に、①、③、④を代入すると
A+4B+10+18+28=153
A+4B+56=153
A+4B=97 …⑤
A=1/4(C+D) に③、④を代入すると
A=1/4×(2B+10+18) =1/4×(2B+28)=(B+14)/2…⑥
⑤と⑥の連立方程式を解いて
B=20
答え:A=17、B=20、C=30、D=38、E=48
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オリジナル記事:【計算できる?】A・B・Cの和は60、A<B<Cの順で、AとB、BとCの差は等しく、AとCの差は10です。それぞれいくつ? | 算数が苦手なマーケター向け「算数基礎講座」
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