デジタル広告でも生成AIがキーテクノロジーに! Microsoft CopilotとMicrosoft 広告が目指す戦略 | 【レポート】デジタルマーケターズサミット2024 Summer

【レポート】デジタルマーケターズサミット2024 Summer
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yu-ta(ゆーた)26歳、会社員 PC.スマホ周辺機器やスマート家電など ガジェットを使って スマートな生活を送っています。 このサイトでは管理人おすすめの 最新の便利ガジェット情報や お得に買えるセール情報を中心に 発信しております。
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2022年5月末日から日本での展開をスタートさせたMicrosoft 広告。2年間で急成長を遂げ、特に日本はグローバル全体で広告の成長率がトップであり、多くの企業が出稿を開始していることがうかがえる。

デジタルマーケターズサミット 2024 Summer」では、「生成AIを武器にした次世代の広告とは? Microsoft Copilotが目指す広告戦略の未来」と題したセッションに、日本マイクロソフトの有園雄一氏が登壇し、Microsoft 広告の特徴と最新事情について語った。

有園 雄一氏
日本マイクロソフト株式会社 Microsoft Advertising Japan, Regional Vice Presidentの有園雄一氏

日本国内のみで数千万人にリーチできるMicrosoft 広告

Microsoft 広告は、検索連動型広告を始め、さまざまな広告プロダクトを提供している。広告配信面は、MSN内、Microsoft EdgeのスタートページなどMicrosoftのサービスに加え、動画配信サービスのNetflixなどにも配信される。さらに日本では、Max、楽天TVなど、コネクテッドTV(CTV)で視聴できるサービスへの配信が来年以降ローンチされる予定だ。

加えてMicrosoftは、SNSのLinkedIn、ゲーム機のXboxも提供していることから、SNS、ゲーム、検索エンジン、メール、ブラウザ、CTV、ショッピング領域と、ほぼすべてのチャンネルでの広告配信が可能だ。

他の広告プラットフォーマーと比較しても、間違いなく配信面はMicrosoftが一番大きい(有園氏)

Microsoft 広告の主要プロダクト(広告配信チャネル)

配信可能なメディアパートナーも増加している。日本から海外に向けて配信したい場合はCNNなどの海外メディアに配信することもできる。日本では、主要テレビ局との契約交渉が進んでおり、来年以降動画配信ネットワークで配信可能になるという。

Microsoft 広告のメディアパートナー

そして、有園氏が配信面以上に強調するのは、Microsoftが抱えるデータ量だ。

Microsoft 広告の強みは、世界最大級のファーストパーティデータを持っていることです(有園氏)

ビジネスPCではWindowsのシェアが高く、OSやデバイスを問わず利用者が多い。さらにLinkedInなどを含め、Microsoftに関連するアカウントを保持する人は全世界で10億人以上いる。ちなみに日本でのアカウント数は公にしていないというが、Microsoft 広告の管理画面から、リーチできる国内のユーザーはおよそ数千万人であることが確認できるという。

なお、Microsoftでは、2021年に入札プラットフォームを提供するXandr(ザンダー)を買収し、Microsoft InvestというDSP(Demand-Side Platform)、Microsoft MonetizeというSSP(Supply-Side Platform)を提供している。さらに、リテールメディア会社PromoteIQ(プロモートIQ)を買収し、リテールメディアの配信も可能となっている。加えてリテールメディア配信では、Criteoとの提携を2024年7月に発表済みだ。

一人が複数の端末を使う現代において、Microsoftではグローバルで200億のクロススクリーンデータを持っており、そのデバイスから発信されるさまざまなシグナルを使ってターゲティングができる。

MicrosoftはAIに力を入れており、広告配信にも活用しています。そのためターゲティングの精度が高いことが特徴で、広告代理店からも他のプラットフォーマーに比べて効果が高いとの評価を得ています。あるデータでは、競合他社の1/3〜1/4のCPAで配信できていると聞いています(有園氏)

AI業界のトップがMicrosoftに。Microsoftが持つファーストパーティデータの価値とは

Microsoftの広告配信効果が高い理由の一つは、先に触れたファーストパーティデータの量が豊富で、質が高いことである。それを示す象徴的なエピソードとして有園氏は、かつてGoogleのAI部門でトップを務めていたムスタファ・スレイマン氏が、2024年3月にMicrosoftが新設した「Microsoft AI」のCEOに就いたことを紹介した。

なぜ、スレイマンはMicrosoftを選んだのか。その理由がこれから発展していくと予想される、個人に合わせたパーソナルAIへの挑戦です。

生成AIは、Webにあるオープンな情報を使って学習しますが、パーソナルAIの学習では個人に紐づくファーストパーティデータが必要です。ファーストパーティデータを最も保有している会社が、Microsoftであり、だからこそスレイマンはMicrosoftを選んだのだと考えられます。

今後、生成AIからパーソナルAIに移っていく時代の切り札がファーストパーティデータになります(有園氏)

パーソナルAIの前に、Microsoftは生成AIのCopilotにも取り組んでいる。CopilotはGPT-4をベースにしており、Bingの検索エンジン経由で最新のニュースなどにもアクセスして回答できる。

CopilotはBing検索とGPT-4の組み合わせにより、より新鮮な情報を基に回答を生成する

Copilotは順調にチャット量が拡大しており、2023年4月〜12月においてはグローバルで50億件以上のチャットが行われている。世間的にもAIの検索件数は増加しており、新しいプロダクトがリリースされるたびに検索件数が増加。2022年から2023年にかけて、AI関連の検索は前年比で566%増加したという。

Copilot in BingのAI関連検索件数の推移

Microsoft 広告でもCopilotを利用可能に

Copilotは、Microsoft 広告においても活用が進められている。一つは、配信面としてのCopilotだ。

Copilotのチャットでは、試験的にインラインのテキスト広告やショッピング広告、マルチメディア広告の表示を開始しています。チャット広告のCTRは検索広告よりも1.8倍高く、マルチメディア広告は3倍高いという成果が出ています。Copilotに広告が表示されてもネガティブな反応はなく、Microsoftの調査では、Copilotの広告と検索広告を組み合わせることでCTRが平均30%アップするというデータもあります(有園氏)

Copilotのチャット広告。現在はインラインテキスト広告、ショッピング広告、マルチメディア広告の3タイプを提供している

Copilotの活用は広告クリエイティブ制作でも始まっている。すでにMicrosoft 広告の管理画面からは、AIを使って広告のコピーやバナー画像などを生成できるようになっている。無料で利用でき、すでに大量にバナーを生成して配信し始めている広告主もいる。自前の生成AIツールを持っている広告代理店は、組み合わせて利用するケースもあるという。

Microsoft 広告の出稿者は、Copilotを使って広告クリエイティブを制作することができる

他に管理画面から、Copilotがキャンペーンに関する質問への回答やインサイトを提供する機能なども搭載されている。

一方、メディアパートナーには、Copilot チャット広告用のAPIを提供しており、チャットでそのメディアのコンテンツを使って回答するような活用や、チャットで広告を出せるようなサービスを提供している。たとえば、「パーティで着るおすすめのドレスを教えて」とチャットで質問すると、広告としておすすめのドレスを表示するような機能である。

メディアパートナー向けにCopilotチャット広告を利用するためのAPIを提供

他にもMicrosoft 広告はさまざまな側面で進化している。MSN、Microsoft Start(ニュース配信アプリ)、Microsoft Edge、Outlook を始めとしたアドネットワークにディスプレイ広告を配信する機能を最近ローンチした。LinkedInのプロフィールを使ったターゲティング広告の配信もできるようになり、特定の会社や職業、業界などを指定して広告を配信できるので、高い効果が期待できる。

また、データガバナンス規制に基づきプライバシー保護に取り組んでいることも付け加えておきたい。セキュリティに対する自信を有園氏は次のように語る。

Microsoftは堅牢なセキュリティによって、さまざまなリスクに備えています(有園氏)

他を凌駕するファーストパーティデータは、パーソナルAI時代の切り札に

広告業界にとって、サードパーティCookie廃止の動きは、広告配信効果を下げるとして大きな懸念になっている。しかし、Microsoftの強みは前述したように、世界最大規模のファーストパーティデータがあり、広告配信にも活用できること。加えて、ファーストパーティデータの無いユーザーに対しても、ユニバーサルID、ブラウザのAPIソリューションやパートナーのソリューションなどを活用して、サードパーティCookie以外の方法で追跡できるような仕組みを模索している。

Microsoftでは、Googleが提唱するプライバシーサンドボックスにも対応しているほか、MicrosoftにもMicrosoft Edge Ad Selection APIというプライバシーサンドボックスに類似する仕組みを用意しています。ファーストパーティデータに加えて、さまざまなソリューションを組み合わせてリーチを拡大できるようにしています(有園氏)

今、Microsoft 広告はモバイルでもリーチを拡大している。Copilotの登場により、モバイル版Edgeの利用者が増えたほか、OutlookやMSNなどのアプリの利用も拡大しているからだ。モバイルのBingは音声で検索して音声で回答が得られるなど、使いやすい機能も搭載している。

成長を続けるMicrosoft 広告のモバイルインプレッション

モバイル利用の拡大の一因には、Microsoft Rewardsというポイントプログラムの後押しもある。これは、Bingでの検索や、Edgeの利用などでポイントが蓄積されるプログラムだ。一定のポイントが貯まると、Amazonギフト券、Appleのギフトカード、楽天ポイントなどに交換できる。ポイントをきっかけに若い世代の利用も増加しているとのことだ。

ポイントプログラム「Microsoft Rewards」もモバイル利用拡大の一因

有園氏は、最後にOpenAIやMetaなどが、ファーストパーティデータの収集に乗り出していることを挙げ、次のように講演を締めくくった。

アクセスしているのが本物の人間なのか、AIなのかを判別するためには、本人であることを確認した上で取得した許諾済みのファーストパーティデータが必要です。

今後、パーソナルAIの領域の革新が進み、購入や医療情報などのパーソナルな情報を扱うためには、確実な本人確認が必要で、質の高いファーストパーティデータが重要になっています。すでにこの獲得のための競争が始まっており、その点でMicrosoftは先んじています(有園氏)

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