オーガニック運用・広告配信・危機管理など、企業のSNS活用のポイント、最新情報を、SNSマネージャー養成講座の講師陣「チーフSNSマネージャー」のメンバーが、それぞれの得意分野を中心に解説します。
今回は、チーフSNSマネージャー、上級ウェブ解析士などとして活躍する藤原忍氏が回答します。
最近SNSを見てると本当の情報かどうかわからないことが多いのだけど、なにかできることはありますか?
SNSを利用していると、自分が得た情報がフェイクニュースやデマだったということが時々ありますね。最近はAIによる画像生成も多くなっていますので、個人の利用で100%フェイクニュースを見破るのは難しくなっています。そのような中でも、間違った情報を拡散してしまわないために何ができるかを、今回はお伝えします!
週に一回以上偽情報・誤情報に接する人は4割以上
総務省が2023年5月に発表した「国内外における偽・誤情報に関する意識調査」によると、「直近の1か月の間で偽情報・誤情報だと思う情報をどの程度見かけたか」という質問に対して、4割以上の人が「週に1回以上」と答えています。そして情報源としては「SNS」が4割以上を占めました。
参照元:総務省「令和4年度 国内外における偽・情報に関する意識調査より」から再構成
ここ数年で、特に話題になったフェイクニュースと言えば、2022年9月の台風15号による静岡県の水害時に、泥水や濁流に水没した家々の画像が投稿されました。しかしそれはAIで生成された虚偽画像だったということが大きくニュース番組でも取り上げられて話題になりました。その他ではウクライナ情勢においても、「ウクライナに降り立つロシアのパラシュート部隊」として拡散された動画が、5年以上前に投稿されていた別地域の動画だったりゲームの一場面だったりということがありました。
ドローンで撮影された静岡県の水害。
— くろん (@kuron_nano) September 25, 2022
マジで悲惨すぎる... pic.twitter.com/W69USpmwGG
コロナパンデミックにおいてWHOのマネージャーは「虚偽の情報はウイルスよりも速く拡散している」と述べ、「インフォデミック」という言葉が誕生し広く使われるようになりました。このように、戦争や災害、新型コロナウイルスやワクチンなどに関して、さまざまなフェイクニュースやデマが多く出回っています。
そのような偽情報を見破ることってできるのでしょうか?
前述の総務省の令和4年度調査報告によると、「情報が怪しいと思った場合、情報の真偽を確かめたことはありますか?」という問いに対して、「すべて・ほとんど情報の真偽を調べた」「ある程度情報の真偽を調べた」という人は合わせて26%にとどまっています。
これは非常に重要なポイントです。情報が正しいかどうかを調べないで拡散してしまうと、フェイクニュース・デマに加担してしまうことになってしまいます。誰かが大きく傷ついてしまうこともあります。ですから、まず情報が正しいかどうかを調べるべきなのです。
情報を見る前にできること
ここでひとつ、興味深い研究があります。カナダ・レジャイナ大学心理学部のゴードン・ペニークック氏らが行った実験によると、信頼できないニュースをシェアした経験を持つTwitterユーザー5,379人を対象に、「HOW ACCURATE IS THIS HEADLINE?(この見出しはどれだけ正確でしょうか?)」という文言を大きく記したうえでニュースを送信して、見出しの正確性を考えるように促したところ、「シェアするニュースの正確さと質が向上する」という結果が得られたのです。
人は事前に見聞きしたことによってその後の判断や行動にも影響してしまう傾向があります。これはいわゆる心理学の「プライミング効果」により、「見出しが正確かどうか」を事前に考えることで、シェアする正確さや質が向上したということになります。
つまり毎回情報に接する前に「今から読む内容は正確かどうか?」という点を意識することが重要なのです。「とにかく疑ってみる」ことがターニングポイントになるのです。
情報に接した時にできること
つづいて、実際に情報に接した時に何ができるかです。さまざまな対応がありえますが、今回は代表的な2つの手法について紹介しましょう。
(1)徹底的に調べる
まず1つめは、「徹底的に調べること」です。たとえば見出しだけを読むのではなく記事全体をよく読んであいまいな表現がないだろうかと考えたり、外部リンクがあればリンク先が正しいかどうかを確認します。筆者が他にどのような投稿をしているのかも確認します。
日付はどうでしょうか?
Googleの画像検索で検索してみると、じつは以前に違う内容で投稿された画像だったということが確認できるかもしれません。ほかのSNSやウェブサイトでも同じようなことが投稿されているでしょうか?
(2)冷静な目線で情報を見る
もう1つは、「冷静な目線で情報を見ること」です。これは総務省の調査での事例ですが、「“フィルターバブル”という用語を知っていますか?」という質問に対して「知らない」という人が8割近く存在しました。ちなみに「フィルターバブル」とは「まるで泡(バブル)の中に包まれたように、自分が見たい情報しか見えなくなること」とWikipediaでは説明されています。
人は、自分の信条や偏見を補強するものを信じてしまう傾向があります。ですから、情報やニュースを目にする時には、まず冷静になってから、「自分が読んでいる記事はニュースなのか?それとも意見なのか?」という点を考えながら読むことで、感情のフィルタを外しながら確認するべきです。
参照元:総務省|令和元年版 情報通信白書|インターネット上での情報流通の特徴と言われているもの
結論:疑ってみる、調べてみる
フェイクニュースやデマに振り回されて不確かな情報を拡散してしまわないようにするためには、まず読む前から「これはフェイクニュースではないだろうか」と疑ってみましょう。そして、冷静になってしっかりと情報の出どころを調べてみましょう。
それでも、もし情報が確かかどうかわからない、はっきりしない時は、投稿しないようにしましょう。確定してから発信するので大丈夫です。
そうすることで、100%フェイクニュースかどうかを「見破る」ことは難しいとしても、「誤った情報を拡散」してしまうということは避けられるはずです。良いSNS運用ライフをお楽しみください。
※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業Webサイトとマーケティングの実践情報サイト - SEO・アクセス解析・SNS・UX・CMSなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:デマやフェイクニュースを投稿する前に! 真実かどうか確かめる「ファクトチェック」のやり方教えます | 百戦錬磨のSNSマネージャーが手ほどき! 企業SNS活用の悩みに答えます
Copyright (C) IMPRESS CORPORATION, an Impress Group company. All rights reserved.
2020年より私たちは、「SNSマネージャー養成講座」という資格試験をスタートしました。SNSマネージャーの上位資格である上級講座では、実際に運用しているアカウントをサンプルにして、徹底的に運用目的とKPIなどの必要項目を掘り下げて企画書を作成するワークを実施しています。
この記事を読んで「理屈はわかったけど、実際自社のアカウントに当てはめるとピンと来ない。さてどうしたものか……」とお悩みのあなた。ぜひチャレンジを。
タイトルデザイン、タイトルイラスト:995(Twitterアカウント)
三度の飯より猫が好きなイラストレーター。ゆるくてかわいいイラストが得意です。