ミスマッチを防げ!「中途採用」でSNSを活用するため、企業がとるべき効果的なアクションは? | 百戦錬磨のSNSマネージャーが手ほどき! 企業SNS活用の悩みに答えます

SNS
自己紹介
yu-ta(ゆーた)26歳、会社員 PC.スマホ周辺機器やスマート家電など ガジェットを使って スマートな生活を送っています。 このサイトでは管理人おすすめの 最新の便利ガジェット情報や お得に買えるセール情報を中心に 発信しております。
自己紹介
yu-ta(ゆーた)26歳、会社員 PC.スマホ周辺機器やスマート家電など ガジェットを使って スマートな生活を送っています。 このサイトでは管理人おすすめの 最新の便利ガジェット情報や お得に買えるセール情報を中心に 発信しております。

オーガニック運用・広告配信・危機管理など、企業のSNS活用のポイントや最新情報を、SNSマネージャー養成講座の講師陣「チーフSNSマネージャー」のメンバーが、それぞれの得意分野を中心に解説します。

今回は、SNSマネージャーであり、年間約3,000名の転職支援実績のある転職エージェント事業を営む稲葉修久氏(RIコンサルティング代表取締役)が回答します。

質問

以前より、企業の採用活動でSNSが積極的に使われていると聞きました。SNSを活用している世代が社会人として活動しているなかで「中途採用」でSNSを効果的に活用するには、どのようにすべきでしょうか?

稲葉

求職者がSNSを生活の一部として利用している以上、中途採用においても企業がSNSを利用する場面が増えています。効果的に利用するためには転職者の行動に注目してそれに合わせた運用をする必要があります。

新卒採用と中途採用の違い、メリットデメリットをまず把握

前回の「応募数UP! 就活生に刺さる企業SNSの活用方法【新卒採用担当者 必見】」では、新卒採用におけるSNS活用法にフォーカスしてお伝えしました。今回は「中途採用」がテーマです。

そもそも、新卒採用と中途採用の違いはなんでしょうか? 中途採用のSNS活用はここから理解しておくことが重要です。

新卒採用と中途採用は、その対象となる人材の経験に大きな違いがあります。新卒採用は、社会人未経験者、つまりその年に新しく学校を卒業する人々を対象としています。多くの企業では、卒業後3年までを新卒として扱う傾向にあります。新卒者は即戦力として期待されることは少なく、長期的な視点で育成し、将来的に会社に貢献することが期待されます。新卒採用は通常、前年から開始され、毎年4月の入社が多いのが特徴です。

一方、中途採用は社会人経験のある人々を対象としています。これらの候補者は、一度は社会で働いた経験を持ち、即戦力として期待されることが多いです。また、社会人経験が3年未満の人材は「第二新卒」と呼ばれることもあります。中途採用はほとんどが通年で行われ、ポジションによっては不定期での採用となることもあります。

なお、中途採用には多くのメリットがありますが、潜在的なデメリットもあり注意が必要です。

期待と実際のギャップによる影響

中途採用では、候補者に対して即戦力としての貢献を期待するのが一般的です。彼らはすでに社会人経験を有しているため、新たな環境に迅速に適応し、期待される成果を出すことが求められます。しかし、実際には候補者のスキルや経験が企業の期待と一致しない場合があります。このようなミスマッチが生じると、再教育の時間も限られており、期待した成果を得られません。特に、中途採用者の給与水準は新卒採用者よりも高いことが多く、企業にとっては大きな損失となる可能性があります。

既存の働き方への固執

中途採用者は、自身の働き方や業務遂行方法がある程度確立されている人が大半です。これまでの職歴や経験に基づいて仕事を進めることは一般的ですが、これが企業の既存の方法や文化と合わない場合、調整が必要になることがあります。自分のやり方に固執する人だと、企業のサービスやプロセスを十分に理解てもらうのが難しい可能性があります。これは、チーム内の協調性や業務の効率に影響を及ぼします。

こうしたデメリットも踏まえ中途採用を円滑に進めるには、具体的な職務内容やそれを遂行するのに求められるスキル、社風や確立された環境がどういったものかを、可能な限り選考段階から求職者に伝えておく必要があるということです。

中途採用をとりまくSNSの現況

ICT総研の最新調査によると、日本国内のSNS利用者数は年々増加しており、2022年末には約8,270万人に達する見込みです。これは、2021年末の国内ネットユーザー数(約1億78万人)の約80.2%に相当し、2022年の1年間で約121万人が増加すると予測されています。これは月平均で約10.1万人の利用者が増えていることを意味します。

日本の総人口は減少傾向にありますが、スマートフォンの普及は若年層だけでなく高齢者層にも広がっています。特に、格安料金プランの登場により、スマートフォンの普及が進んでおり、その結果、SNSの登録者数および利用者数も増加しています。2024年末には、SNS利用者数は約8,388万人に達し、ネットユーザー全体に占める利用率は83.2%になると予測されています。

一方、転職動向はどうでしょう? マイナビの2023年版転職動向調査によると、2022年の20代~50代正社員の転職率は7.6%に達しました。これは2016年以降でもっとも高い水準であり、前年の7.0%からの上昇を示しています。この結果は、転職活動がより積極的に行われていることを示唆しています。特に、性年代別で見ると、20代~40代の男性の転職率が過去7年間でもっとも高くなっています。

「SNS利用者数」「転職率」の双方が増加傾向ですが、転職率の増加は、コロナ禍以降の労働市場の活発化を示していると言えるでしょう。

転職の背景とその他の理由とは?

SNSを中途採用に活用するうえで転職理由を知ることも重要です。

転職を決意する理由は多岐にわたりますが、その中心には現職での不満や限界、さらなるキャリアアップへの願望があります。多くの転職者は、現在の職場で実現できない目標や夢を追求するため、新たな職場を探すことになります。これは、個人の成長やキャリアの進展を求める自然な動きと言えるでしょう。

しかし、転職の理由はこれだけにとどまりません。たとえば、ワークライフバランスの改善、より良い給与や福利厚生を求める場合、職場の人間関係や企業文化への不満、専門性を活かせる職場への移動など、さまざまな要因が転職を促します。また、技術の進歩や市場の変化により、新しいスキルを身につけたり、異なる業界に挑戦したいといった考えも、重要な転職理由となっています。

これらの要因を理解することは、企業が効果的な採用戦略を立てる上で不可欠です。候補者が何を求め、どのような動機で転職を考えているのかを把握することは、SNSで何を伝えるべきか考えるヒントになります。
 

転職を決意した際の行動とは?

求人情報・転職サイトdodaが提示している「転職活動スケジュール」によると、一般的に、転職には2~3か月の期間がかかるといわれています。SNSと密接に関連してくるのは、「STEP1 事前準備:1.5週間」と「STEP2 書類作成・応募:2週間」の前半です。多くの転職者がここでSNSなどを使って情報収集を行うからです。

興味を持つ業界や企業、仕事内容に関する最新の求人情報を定期的に確認することは、新たなキャリアの可能性を広げるきっかけとなります。この情報収集のプロセスにおいて、SNSは重要な役割を担います。

なお、厚生労働省の調査では、「転職者が転職するにあたってどのような準備活動をしたか?」という質問に対し「産業や職業に関する情報等の収集をした」43%が最多となっています。現職の企業にとってはあまり好ましくない話かもしれませんが、転職者は、在職期間中から積極的に情報収集していることがわかります。

中途採用におけるSNSの役割を再考しよう

こうして転職者の行動の動機や傾向を観察してみると、中途採用におけるSNSの役割が浮き彫りになります。

一般的に、SNSはブランドやサービスの「認知獲得」の手段として優秀であると見なされがちです。確かに、特定の専門職やユニークな商品・サービスを提供する企業、リソースをしっかりと確保できる企業であればこのアプローチは有効です。また、CMなどSNS以外の手段でも認知を獲得できる企業にとっても、SNSは相乗効果をもたらすでしょう。

「認知獲得」を目的としてSNS広告を活用する場面もありますが、経験上成果が成果を上げるケースはやはり専門職や尖った打ち出しができる職種や企業に限られることが多いです。これは、一般的な中小企業がSNSを用いて認知獲得を目指す場合には「非常に創造的なアプローチ」が必要であることを意味します。

中小企業にとってSNSを採用戦略に活用することが無意味であると言いたいわけではありません。むしろ、自社の状況とSNSの特性を理解し、目的と伝え方を適切に合わせていくことがより重要なのです。

SNSは、単に情報を発信するだけでなく、企業文化や職場環境、キャリア成長の機会など、より深い情報を提供するプラットフォームとして機能します。これにより、中小企業でも効果的に適切な人材を引き付け、自社の魅力を伝えることが可能になります。

総じて、中途採用におけるSNSの役割は「興味関心を高める手段」であって、その先に、中途採用で起こってしまいがちなミスマッチの回避があると考えられます。

中小企業におけるSNS活用のポイント

中小企業が採用においてSNSをもっとも効果的に活用すべきなのは、求職者が情報収集を行うフェーズです。ここでの目的は、自社を詳しく知ってもらい、興味を持ってもらうことにあります。SNSは、他の媒体にはない独自の強みを持っており、特に社風や職場の雰囲気を伝えるのに適しています。

求職者は、情報収集の一環として企業のSNSやブログを閲覧します。ここで重要なのは、ウェブサイトのように、プロのカメラマンによる紋切り型の写真ではなく、新鮮で多角的な視点からの情報を提供することです。従業員自身が撮影し、自然な文章で伝えることで、よりリアルで説得力のある情報を提供できますし、それができる場所がSNSです。

このアプローチは、求職者にとっても企業にとっても、ミスマッチを防ぐ効果があります。無駄な応募や選考を省くことができ、双方にとって時間と労力の節約につながります。

また、求人票だけでは伝わりにくい情報も、SNSを通して伝えることが重要です。たとえば、仕事内容の詳細、教育体制、社風、働き方、キャリアアップの機会、ワークライフバランスなど、求職者が知りたいと思う情報を提供することで、より適切な候補者を引き付けられます。

転職者が求めることも変化している

マイナビの最新調査によると、転職者は「働きがい」よりも「働きやすさ」を重視しています。「今後転職を考える際に重要視する要素」として「働きやすいこと」を選んだ人は63.0%に上り、「働きがいを持てること」を選んだ人は33.2%でした。

働きやすさには、場所や勤務体系の自由度が大きく関わっており、「リモートワークの選択肢」や「在宅勤務と出社勤務の自由な選択」が高い支持を得ています。

一方、働きがいに関しては、「責任のある仕事を任されること」や「顧客・取引先からの必要とされること」が重要視されています。これらは、他者からの承認や必要とされることが、仕事の充実感につながることを示しています。

つまり、SNSで発信する内容は、求職者に合わせて変化させる必要があるということです。

SNSで伝えるべき企業の魅力とその具体例

では、どのような投稿内容(コンテンツ)を作成し公開すべきでしょうか?

投稿内容を作成するための具体的なアイデアをいくつか紹介します。教育体制から社風、働き方、キャリアアップの機会、ワークライフバランスに至るまで、求職者が知りたいと思う情報をどのようにSNSで表現するか参考にしてください。

1.教育体制や仕事の任せ方

実際の研修風景や社員が新しいスキルを学んでいる様子の写真や動画。
メンターやコーチとのミーティング、新入社員がプロジェクトに取り組む様子を動画などで伝える。
プロジェクトはダイジェストのように時系列の写真や動画にすることでよりリアルに伝える。

2. 社風

社員がリラックスして交流する日常の瞬間、チームビルディングのイベントや社内行事の様子。
オフィスの日常や社員インタビューを通して、温かく開放的な社風を伝える。

3. 働き方

フレキシブルな働き方をしている社員の一日をドキュメンタリー風に撮影。
リモートワークやフレックスタイムを利用する社員の日常を紹介し、柔軟な働き方の実例を示す。

4. キャリアアップ

昇進した社員のキャリアストーリーやインタビュー。
キャリア開発のためのワークショップやセミナーの様子を共有し、社員の成長とキャリアパスの可能性を伝える。

5. ワークライフバランス

社員が趣味や家族と過ごす時間の写真や動画。
有給休暇を利用した旅行や趣味の様子を共有し、仕事とプライベートのバランスを取る企業文化を伝える。

中途採用におけるSNSの役割

新卒採用でも中途採用でも、ミスマッチを避けることは採用成功の重要な鍵です。特に中途採用では、その特性上ミスマッチを避けたいと考える企業が特に多いでしょう(採用にかかるコストや時間、即戦力としての期待値が高いため、適切な人材を見つけることが一層重要になります)。

完全なミスマッチ回避は難しいかもしれませんが、その可能性を減らすためには、適切な情報の提供が不可欠です。企業は、必要な情報を選び、伝わる形に変換し、最適な手段で伝える必要があります。このプロセスにおいてSNSは非常に有効なツールとなり得ます。

SNSを活用して、求人票だけでは伝わらない「リアルな企業の姿」を伝えることは、より良い採用結果につながります。企業文化、職場環境、社員の声など、求職者が実際に働く場所をイメージできる情報を提供することで、より適切な候補者とのマッチングが期待できます。SNSを通して、企業は自身の魅力をリアルタイムで多角的に伝えられるのです。

中途採用においては、企業側が提供する情報の質と量が、ミスマッチを減らし、効果的な人材獲得に大きく寄与します。SNSはそのための強力な手段であり、適切な活用によって、採用成功への道を開くことができるでしょう。

稲葉でした。

2020年より私たちは、「SNSマネージャー養成講座」という資格試験をスタートしました。SNSマネージャーの上位資格である上級講座では、実際に運用しているアカウントをサンプルにして、徹底的に運用目的とKPIなどの必要項目を掘り下げて企画書を作成するワークを実施しています。

この記事を読んで「理屈はわかったけど、実際自社のアカウントに当てはめるとピンと来ない。さてどうしたものか……」とお悩みのあなた。ぜひチャレンジを。

【SNSマネージャー養成講座 | 企業がSNSを効果的に運用して事業を進化させる講座】

タイトルデザイン、タイトルイラスト:995(Twitterアカウント
三度の飯より猫が好きなイラストレーター。ゆるくてかわいいイラストが得意です。

タイトルとURLをコピーしました