手数料15%の場合、計算方法がわからない
あの案件、うちへの入金額が255万円だったけど、お客様にはいくらで請求しているんだっけ。
代理店さんが絡んでる案件ですよね! 代理店さんの販売手数料は15%だったはずです。先輩、たまには計算してください。
どうぞどうぞ、アユムさんが計算してください。
えー。仕方ないですねえ。電卓電卓…。ざっと293万円ですね。
ん? なんか中途半端な請求金額だなあ…。ちょっとこちらでも計算してみるか…。…300万円だねえ。
えー。(255万円の15%を入金額に足したのはダメ~? 納得いかない!)
昔から、算数も数学も苦手なアユムは、希望が叶ってマーケティング部門に異動してきました。Web担で見るような「すごいマーケターになりたい!」と胸を躍らせていたが、配属後、理想と現実のギャップに苛まれることに。
そこに登場した、大人向け数学教室大人塾を運営し、数学苦手な社会人に対して指導をしているモリさん。
この記事を読むべき人:手数料計算が苦手な方
この記事を読む必要がない人:手数料計算を問題なくできる方
この記事でわかること:割合の手数料の計算方法
割合を見たら「もとになる量」を考える
300万円ってどうやって計算したの? 教えてモリさーーん!
よばれたー。こんにちはー。
なんか超ライトな登場ですね。
たまには変えないと、マンネリになってしまいますからね!
さっそく本題なのですが、255万円の入金があったんです。この金額は、代理店さんがお客様への請求金額の15%を差し引いたあとなんですって。で、お客様への請求金額が知りたい! という状況です。
アユムさんはどのように考えましたか?
255万円の15%を求めて、255万円に足したんですが、違うと先輩に言われました。
なるほど。この計算の少し難しいところは、提示された数字からだけでは直接求めたい値は出せず、それもあって計算式をイメージしづらい点ですね。あらためて考えてみましょう。まず、代理店さんが差し引いた15%、これは何に対しての15%ですか?
何に対してのですか。お客様への請求金額の、ですね。
はい。アユムさんの計算のように入金金額に15%をかけると、そこから出る値の意味は「入金金額の15%」になってしまいますね。請求額が関係なくなってます。
たしかに。
割合の式を確認しましょうか。
それは任せてください。比べられる量 もとになる量=割合 ですね。この連載の第1回で学びました!
その通りです。この式を変形すると、もとになる量×割合=比べられる量になりますね。
それは第11回で学びました!「〇〇の△%」といったら、もとになる量に割合をかけるんでしたよね。
すべてがそうとは言えませんが、このパターンは多いですね。今回はどうでしょうか。
請求金額の15%なので、請求金額が「もとになる量」ですね。この金額がわからないんですよね。
ということなので、請求金額を「𝒳」とおきませんか? どういう式になるでしょう。
𝒳×0.15=255万円ですか?
𝒳×0.15の式が意味するのは、請求金額の15%ですよね。これで求められるのは代理店の手数料ですね。でも、255万円は入金金額ですよね。
たしかに! どうすればいいでしょうか。
100%から15%を引いた残り(100%‐15%=85%)に注目してみましょう。手数料が引かれた分の入金金額の255万円、この金額が残りの部分なので、数直線にすると以下のようになります。
ということは、もとになる量の85%、つまり入金金額が255万円なので、式は𝒳×(1-0.15)=255万円 ですか?
そのと~り! さて、計算してください。
モリさんも、たまには計算どうですか?
いやいや、どうぞどうぞ。
𝒳×0.85=255万円、これを解くと 𝒳=255万円÷0.85=300万円! 先輩の計算のと~りです!
分配法則を使って求めてみよう
請求金額から、手数料として、請求金額の15%を差し引いたので、請求金額-請求金額×0.15でも求められますね。
やってみます。請求金額を𝒳とおいて、𝒳-𝒳×0.15=255万円。 ということは𝒳-0.15𝒳、よって0.85𝒳なので、あ、先ほどの計算と同じになりますね。 0.85𝒳=255万円、𝒳=300万円です。
𝒳-𝒳×0.15、これがいわゆる分配法則が使える部分ですね。
分配法則? 昔流行ったマーフィーの法則の仲間ですか? 「洗車しはじめると雨が降る」とかでしたっけ。
いえ、まったく違います。「ab+ac=a(b+c)」とできる式です。bとcが同じaという要素とかけられている場合、bとcをカッコでくくってaを出すことができます。
カッコの外にある数字をカッコ内のそれぞれの数字にかけるんでしたっけ。
そうです。「請求金額-請求金額×0.15」は、それぞれに「請求金額」の項目が入っていますよね。
でも、最初の請求金額には何もかけていないですよね?
ここに「×1」が省略されていると考えると「請求金額×1-請求金額×0.15」という式であらわせます。
なるほど。だから、請求金額でまとめて、「請求金額×(1-0.15) 」とできるんですね。
ぐっじょぶ!!!
販売価格3150円、手数料5%の場合、商品価格はいくら?
ところで、担当することになったEC事業の目玉商品の販売価格が3150円なんです。この価格には、ショッピングカートの手数料5%が含まれているらしくて…。このとき、手数料を加える前の商品価格はどうやって求めればいいですか?
この手数料の5%というのは、何に対しての5%ですか?
商品価格です。
では、どういう計算式になりますか?
手数料は商品価格の5%なので…。あれ、ちょっとわからなくなってきてしまった。3150×(1-0.05) ではない?
今回の求めたい「商品価格」を𝒳として、数直線を作って整理してみませんか? 商品価格に手数料を足した結果が販売価格であることに注意しましょう。
はい! こんな感じでしょうか?
いいですね。ではどういう計算式になるでしょうか?
𝒳+(𝒳×0.05)=3150円 でしょうか?
せっかくなので分配法則で式を簡略にして、ノリノリで解きましょうか。
さっき学んだこと、さっそく使ってみますね! 𝒳×(1+0.05)=3150円 なので、1.05𝒳=3150
𝒳=3150÷1.05
𝒳=3000円
正解です! これでやっていけますね。 とにかく、何に対しての%なのかをしっかりと把握することが重要です。
割合の基本ですよね。あと、今回のような場合のアドバイスはありませんか?
求めたい数、わからない数を𝒳としたとき、それが割合の計算のどこにいるのかを確かめましょう。今回のように数直線にするのも手です。
わかりました。ついつい、すぐに「〇〇の△%」の計算を使いたくなっちゃいますが、基本に立ち返ってよく考えることが大切なんですね。
ポイント
手数料がかかる場合、その手数料が何に対しての割合なのかを把握する。
ab+ac=a(b+c) 分配法則を理解しておくと、数値をまとめることができる。
今日の問題をおさらい
Q1.代理店さんへの販売手数料が15%、入金金額が255万円のとき、お客様への請求金額は?
請求金額を𝒳とおくと、
𝒳×(1-0.15)=255万円
𝒳=300万円
答え:300万円
Q2.販売価格3150円、ショッピングカートの手数料は、商品価格の5%。さて、商品価格はいくら?
商品価格を𝒳とおくと、
𝒳×(1+0.05)=3150円
𝒳=3000円
答え:3000円
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オリジナル記事:代理店への手数料が15%、自社への入金が255万円、クライアントへの請求はいくら?|割合をゼロから学ぼう | 算数が苦手なマーケター向け「算数基礎講座」
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