みなさん、こんにちは。株式会社アクシスの瀬川です。
この連載「地方の小さなB2B企業がウェブを使って成果を出す鍵とは?」では、私たちの事例をもとに地方の中小企業がウェブで成果を出すためのヒントをお伝えしています。
第4回となる今回のテーマは「お客様の温度感に合わせたCV(コンバージョン)地点づくり」です。
時々、こんな声をお聞きします。
「会社のWebサイトをリニューアルしたけど、全然問い合わせが増えていない」と。もしかしたら、その原因はCV地点の設計が原因かもしれません。
ひと口にお客様と言っても、温度感にはかなり差があります。まだ情報収集段階の方もいれば、商品サービスの導入をすぐにでも考えている方もいるはず。
中長期的に問い合わせを増やすためには、今すぐ顧客だけでなく、問い合わせはしないが商品サービスに興味を持つ方も獲得できる仕組みが必要です。
そこで今回は、お客様の温度感に合わせたCV地点づくりのポイントを紹介していきます。Web集客の伸び悩みを感じているWeb担当者さんは、ぜひご覧ください。
どこからWeb集客の改善に手をつける?
前回までの記事でお伝えしたように、トップ営業に依存していた集客をWebに転換しようと、Web集客の戦略をまとめていた私たち。ある程度戦略がまとまってきたところで、いよいよ改善に向けて施策を進めていくことにしました。
最初の課題は「どこから手をつけるか」でした。改めて自社のWeb集客を見直した結果、取り組まないといけない課題は山ほどあり、どこから手をつけようか迷うほどだったからです。
いろいろと考えた結果、ゴール(コンバージョン)が近いところから改善することにしました。Web業界では、「穴の空いたバケツ」の例えがよく出てきます。穴が空いたバケツにどれだけ水を注いでも、穴から水が溢れてしまい全く水は貯まりません。
同じように、Webサイトにどれだけ集客できたとしても、Webサイト自体に問題があってコンバージョンに至らなければ、せっかく集めたユーザーを無駄にしてしまいます。
またWebサイトに訪問するユーザーを劇的に増やすのは、とても大変です。費用も時間もかかりますし、コンテンツマーケティングを実践している場合は、検索アルゴリズムの変動など、自分たちではコントロールできない部分で成果が変わってきます。
一方で、すでにWebサイトに訪問しているユーザーのコンバージョン率を高める方が比較的容易です。コンバージョン率を上げるサイト改善は、費用も最小限で済みますし、成果が出やすいです。
よってWeb集客の改善では、ゴール(コンバージョン)から集客に向かって改善施策を進めることが最短距離で成果を出す鉄則なのです。
当時のWebサイトで気づいた課題
私たちアクシスの話に戻りましょう。まずは主要となるCV地点を確認することにしました。当時のWebサイトのCTA(=Call to Action)は、こういった状態でした。
一見普通のCTAのような気もしますが、私は致命的な問題がここにあると感じていました。
このCTA(=Call to Action)は、Webフォームもしくは電話での問い合わせへの誘導のみ。他のコンバージョンポイントがなく、問い合わせするには至っていないが、サービスに興味を持っている人を逃している可能性が非常に高かったのです。
問い合わせは、思っている以上にハードルが高い
事業者側になると忘れがちですが、お客様にとって「問い合わせ」は心理的にハードルが高いアクションです。逆を言えば、問い合わせしなくて済むなら、わざわざ問い合わせはしたくないのです。
たとえば、
- 興味はあるけど、まだ話を聞くほどではない
- とりあえず資料だけもらって、自分で考えたい
- 問い合わせしたら、営業電話が多くかかってくるかもしれない
と思っている方は、自らお問い合わせするまでに至らないはずです。また問い合わせるためには、そもそも自分の悩みをきちんと認識できている必要があります。
お問合せをするには、大きく3つの壁があります。
- 自分の悩みが認識できる
- 自分の悩みが言語化できる
- 問合せフォームから相談できる
たとえば、そもそも自分の悩みがわからない方は問い合わせできません。また悩みがわかっていても、うまく言語化ができなければ、相談は難しいでしょう。仮に自分の悩みが言語化できても、問い合わせフォームを通過してもらわなくてはいけません。
このように問い合わせ自体のハードルが高いため、問い合わせを増やすのは簡単なことではありません。それよりもお客様との接点(=CV地点)を増やすほうが、結果として問い合わせが増えることにつながるのです。
お客様の温度感に合わせたCVポイントを設計する
では、どのようにお客様との接点を考えていったらよいでしょうか。ここで役立つのが、前回の記事でご紹介したカスタマージャーニーマップです。
カスタマージャーニーマップの下部に記載した「コンテンツのゴール」「対応するコンテンツ」を見ながら、それぞれの段階で、どんな接点をつくれそうか考えていきました。
たとえば「認知」の段階であれば、
- メールマガジンの登録
- ホワイトペーパー(お役立ち資料)のダウンロード
- セミナー申し込み
がよさそうです。
また「興味」の段階であれば、
- サービス資料のダウンロード
- お客様事例集のダウンロード
がよさそうです。
このようにカスタマージャーニーの段階ごとに、お客様との接点を洗い出していきます。洗い出せたら、それぞれの接点に応じたコンテンツを作成し、Webサイトに実装していきます。
たとえば、メールマガジンの登録であればブログ記事の下部などにフォームを設置すると集まりそうです。セミナー申し込みであれば、Webサイト内に専用の申し込みページをつくるのが望ましいです。
それぞれの接点で、実際にどのようなコンテンツを制作すべきか、については、次回の記事にて詳しく紹介します。
お客様との接点を検討する上でのポイントは、心理的ハードルが低いものから高いものまで、階段状に設計することです。
B2Bマーケティングについて発信されている才流の栗原氏は、著書で以下のように述べています。
本当にリード数や商談数を増やしたいなら、見込み客が不安感なく、楽に階段を登れるように、合間にサービスの操作説明会や具体的な事例共有セミナーなどを設定して、より細かいステップを設けることが必要なのです。
(栗原 康太著「事例で学ぶBtoBマーケティングの戦略と実践」すばる舎 2020)
まずはメールマガジンに登録してもらう。その後セミナーに案内して、参加してもらう。その後、個別相談会に案内する。個別相談会で課題をヒアリングして、自社の商品サービスで解決できそうなら提案する。
こういった流れをつくることで、問い合わせには至らないが将来顧客になってくれそうな人を見つけ、最終的には商談をつくっていけるのです。
私たちアクシスの事例
私たちアクシスでも、お客様の温度感にあった接点(CV地点)を整理することにしました。検討した結果、足りていなかったのは、自社のサービス資料でした。
もちろんWebサイトにはサービスの紹介があります。しかし正直なところ、あまり詳しくは書いておらず、詳しくサービスを知りたい方は問い合わせるほかなかったのです。
そこでWebサイトにサービス資料を掲載できるように準備を進めました。
当時、商談時にお客様向けにお渡ししていた提案書がありました。そこでこの提案書をベースに、自社の強みや提供サービス、実績などがまとめてわかるように資料化していったのです。
資料ができたら、次はWebサイトからダウンロードできる導線をつくります。
WebサイトのCTAに、資料請求のボタンを追加して、問い合わせするか、資料請求するかを選べるようにしました。
またサービス資料をダウンロードするページでは、お名前や連絡先などを入れてもらい、必要に応じてフォローアップできるようにしました。
なおこのダウンロードページには、Googleスライドを使って資料の中身を一部見られるようにしており、より興味を持ってもらえる仕掛けもつくっています。
この施策の結果、実装した翌月から月数十件ほど資料請求が生まれるようになりました。さらに資料請求をした上で問い合わせしてくださる方もいて、商談にもつながっています。
おわりに
この記事では、お客様の温度感に合ったCV地点を設計する方法について紹介しました。
問い合わせは、お客様にとって心理的ハードルが高いアクションです。だからこそ問い合わせだけを増やすのは容易ではありません。
そこで、よりハードルが低いCV地点を設計することで、お客様との接点が増え結果的に中長期的に問い合わせが増えていくのです。思ったように問い合わせが増えないとお悩みの方は、ぜひこの機会にCV地点を見直してみてください。
次回は、忙しいWeb担当者のためのコンテンツ作成法について紹介していきます。
※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業Webサイトとマーケティングの実践情報サイト - SEO・アクセス解析・SNS・UX・CMSなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:会社のWebサイトをリニューアルしたけど、問い合わせが増えない理由 | 地方の小さなB2B企業がウェブを使って成果を出す鍵とは?
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