広告A・Bを合わせた平均購入金額はいくら?
先週出稿した広告Aと広告Bを経由して購入された平均購入金額を調べてもらえる?
はーい。(この数値は、分析ツールにあるから計算しなくてらくちん♪)Aが5,000円、Bが10,000円ですね。圧倒的にBの広告がいいじゃないですか!
それぞれのコンバージョン数は?
(コンバージョンは、広告を経由してサイトに訪れたユーザーがなんらかの申し込みをするって言葉、知ってる!)Aは20件、Bは3件ですね。
では、広告A、B経由での平均購入金額はいくら?
(平均? 5,000円と10,000円を足して2で割ればいいのかな)7500円ですか?
違うよ。平均購入金額は…、大体5,650円か。
(え? 先輩ってもしかして、 コンピューターおにいちゃん?)
平均値はデータを把握する大切な計算だからね。分析ツールに頼らずに、自分でも計算できると感覚がつかみやすくなるよ。
昔から、算数も数学も苦手なアユムは、希望が叶ってマーケティング部門に異動してきました。Web担で見るような「すごいマーケターになりたい!」と胸を躍らせていたが、配属後、理想と現実のギャップに苛まれることに。そこに現れたのが、大人向け数学教室「大人塾」を運営し、数学苦手な社会人に対して指導をしているアジアゾウをこよなく愛するモリさん。
この記事を読むべき人:平均の言葉を知っているが、求め方がよく分からない方。数字や割合に対して苦手意識を持っている方。分数の計算を少し覚えている方。
この記事を読む必要がない人:平均の計算やCVRの計算などを難なくできる方。
この記事でわかること:2組以上の平均から全体の平均の算出方法。単位当たりで求めるWebの指標の計算方法。
平均ってなんだ?
モリさーん、先輩がコンピューターおにいちゃんなんです。
えっ。コンピューターおばあちゃん2世…? アユムさん、年いくつ?
ところで、2つの金額の平均って2で割るんですよね。
2つの金額の平均は、確かに2で割りますね。先輩は違う計算をしたんですね。
はい、2で割ったら違うと…。
なるほど、状況を説明してもらえますか?
先週、広告Aと広告Bを出稿したんです。で、A経由の平均購入金額は5,000円でした。B経由の平均購入金額10,000円でした。では、全体の平均購入金額は? というお題なんですが、(5000+10000)÷2=7,500円じゃないですか?
それぞれA・Bのコンバージョン数も教えてくれませんか?
Aは20件、Bは3件ですね。
さて、平均ってどういう意味でしょうか。
真ん中です!
真ん中、というと、中央値と混同してしまいそうですね。中央値はデータを小から大に並べてちょうど真ん中にあるデータのことで、平均値とは違います。
平均値は、文字の通り、平らにならす感じです。1人あたりの凸凹をなくすみたいな。
それぞれで分け合うみたいな?
そうですね。例えば、たまたまそこにいた5人に同じコップを配り、適当に水を入れます。でも、適当に入れたから高さが違う。平均を求めたい。
となると、全員から水を回収して、5人で平等に分けるって感じですか?
はい、平均の求め方は、そのイメージです。集めて分ける。(ちなみに正確には算術平均といいますが、ここでは触れません)
1人あたりの量が平均なんですね。
その通り。だから、平均を求める計算式は、すべてのデータの値を足して、個数で割るという計算になります。
2つの金額だけれども「÷2」ではない
では、先ほどの広告経由の平均購入金額の話、どうして2で割ってはいけないんですか?
まず、広告A経由の平均購入金額が5,000円、件数は20件でしたね。
はい。
この時点で、1件あたりの金額になってますよね。では、広告A経由で購入した方たち、全員の購入金額はいくらですか?
平均購入金額が5,000円で、件数が20件なので、合計すると 5000×20=100,000円ですね。広告A経由では全部で10万円売れたということですね。
いいですね。それでは、広告B経由はどうでしょうか。
平均購入金額が10,000円で、件数が3件なので、合計すると 10000×3=30,000円ですね。広告B経由では全部で3万円売れていますね。
はい、OKです。それでは、広告A、Bあわせると全部でいくら売れましたか?
10万円+3万円=13万円です。
そして、何件売れましたか?
20+3=23件です。
つまり、1件あたりいくらになりますか?
13万円÷23件=5652.2…つまり、約5,650円。なるほど、先輩はこうやって計算していたんですね!
今回の先輩の質問は全体の平均購入金額を求めるものだったので、最初の数字そのままでは計算できませんでしたね。平均を出すときは何あたりなのかを気を付けましょう。
パーという指標は平均値
つまり、平均は、パー!
チョキ! 勝った! モリさん、突然なんですか。
パーがつく、Webマーケティングの指標って何か思いだしますか?
CPCとかですかね。
正式名称はなんですか?
Cost Per Click でしたっけ。
はい。この「Per」が「〇〇あたり」を表すのです。
つまり、Cost Per Click は、1クリックあたりのコストという意味ですか?
はい、そうすると計算はどうなりますか?
広告費÷クリック数になりますね。
はい、その通りです!
CPA、CPMも一緒に確認しよう
数字が苦手だから、指標とかマル覚えしなくちゃなって思っていたのですが、意味がわかると、覚えなくていいから楽ですね。
では、CPAはどうでしょう?
CPAは、顧客獲得単価、略す前だと、Cost Per Actionでしたよね。Actionってことは行動ってことだから、何か買った件数ということですね。つまり、1購入あたり、コストがいくらかかったかということですかね。
となると、計算式は?
1購入あたりの広告コストなので、広告費÷購入件数ですね!
(※広告掲載費用÷コンバージョン数で計算することもあります。)
それでは、この数値は高い方がいいですか? 低い方がいいですか?
そりゃあ、1人あたりにかかる広告費は低い方がいいですよね。同じ広告費でたくさん売れた、ということですもんね。
はい、その通りです。それでは、CPMはどういう意味で、どういう計算になるかわかりますか?
CPMは、Cost Per Mille ん~? Mille ってなんですか?
これは、ラテン語で1000という意味なんですって。
なるほど、ラテンの血が流れる指標なんですね。1000あたりの広告費? なにの1000なんでしたっけ。
インプレッション数(表示回数)ですね。
インプレッションの文字は消えて1000だけ残ったんですね。つまり、1000回表示あたりの広告費、広告費÷1000インプレッションですね。これも広告費は低い方が効率がいいですよね。
その通りです。
Rのつく指標は、どう計算するの?
ついでに教えてください。CVRとか、あれは、〇〇あたりではないんですか?
CVR、コンバージョンレート(Conversion Rate)ですね。「レート」は日本語にすると?
冷凍?
そうですね。ここまでほぼボケがなかったからどうしようかと思っていたのですが、ボケていただいてありがとうございます。
率、ですね。
率は、「どれだけ」なんです。どれだけといえば……
あれ? 割合ですか? 以前の回で、割合とは全体のうちのどれだけにあたるかと、モリさんに教えてもらいました!
GOOD! では、割合といえば……
比べられる量もとになる量 ですね。
比べられる量がもとになる量のどれだけにあたるかという話、しっかり覚えました!
すばらしいです。
となると、CVR は、何と何を比べてるんですか?
コンバージョン数と、セッション数(サイトアクセス数)ですね。
CVR=コンバージョン数 セッション数
サイト全体の訪問者数やクリック数とかと比べることもありますか?
はい、目的に応じて、何と何を比べるかを意識することが重要です。このR(レート)は、分母のどれだけに当たるかを計算してますね。
となると、CTRも同じ感じですかね。Click Through Rate、クリックスルー率ですね。
このThrough、スルーは、通り抜けるという意味です。
ギャグをスルーするのも同じですか?
いま調べたら、ギャグをスルーするのも、このスルーですね。
まあ、それはおいておいて、CTRの計算方法はクリック数÷広告表示回数ですか?
自分で聞いておいてスルーするなんて、恐ろしい子!
その計算式ですね。広告が表示されたうち、クリックをどれだけされたかということですね。
過去にないまじめな回になりましたね。勉強になりました。ありがとうございます。
そうですね。こんなにボケも突っ込みもないのは新鮮ですね。ところで、2023年7月25日(火)に「Web担当者・マーケターのための数学力基礎講座」というセミナーを開催します。割合の基礎からしっかり学びたいなーという方はぜひご参加ください。(気が小さいので、緊張してます。)
ポイント
- 平均を求める計算式は、すべてのデータの値を足して個数で割る
- 平均を求めるときは 、何あたりなのかを気を付けよう
- P(per)のつくWeb分析の指標は、何あたりなのかを求めている
- CPC(1クリックあたりのコスト)=広告費÷クリック数
- CPA(1購入あたりの広告コスト)=広告費÷購入件数
- CPM(1000回表示あたりの広告費)=広告費÷1000インプレッション
- 何あたりかを考えれば「公式」を覚える必要はない
- R(Rate)のつく指標は、全体のうちのどれだけか(割合)を求めている
- CVR(全体セッションのどれだけCVしたか)=コンバージョン数÷セッション数
- CTR(全体の広告表示回数のどれだけクリックされたか)=クリック数÷広告表示回数
今日の問題をおさらい
Q.広告A経由の購入は20件、平均購入金額は5,000円。広告B経由の購入は3件、平均購入金額10,000円。全体の平均購入金額は?
5000×20=100000
10000×3=30000
(100000+30000)÷(20÷3)=130000÷23=5652.2…
答え:およそ5,650円
※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業Webサイトとマーケティングの実践情報サイト - SEO・アクセス解析・SNS・UX・CMSなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:広告A経由は20件、平均単価5千円。B経由は3件、平均単価1万円。全体の平均単価は? | 算数が苦手なマーケター向け「算数基礎講座」
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