オーガニック運用・広告配信・危機管理など、企業のSNS活用のポイント、最新情報を、SNSマネージャー養成講座の講師陣「チーフSNSマネージャー」のメンバーが、それぞれの得意分野を中心に解説します。
今回は、チーフSNSマネージャーである伊藤雅恵が回答します。
SNS投稿を続けたいと思っているのに、ネタを毎日考えるだけで1時間以上かかってしまい、どんどん負担になり、気が付けば、一週間、一か月投稿していないという状態です。
投稿はコンスタントに行ったほうが成果が出やすいとわかっているのですけど、どうやったら効率よく投稿できるようになるのでしょう?
わかります、わかります!「時間がないからSNSがやれなくなった」という声はたくさん耳に入ってきます。SNS運用に係る時間をどう捻出するかは大きな課題ですよね。今日は考える時間をギュッとまとめて一気にネタ作りができる「投稿表」を紹介しますので、今後の参考にしてください。
多くのSNS担当者が投稿内容を考えるのに時間や手間をかけている
ニュートラルワークスが行った「小売業界でのSNS活用」に関する実態調査(2022年11月・回答者214人)によると、現状の体制下での課題について50%の人が「投稿内容を考えるのに時間や手間がかかる」、26.5%の人が「投稿の実施に時間や手間がかかる」と答えています。そして「時間がかかる」と答えている人の84.1%が週1回以上更新、15.4%が毎日更新していました。
出典
小売業界のSNS担当者、「売上に繋がった」と回答はわずか16%!【SNS活用実態調査】 | QUERYY(クエリー)
業種が変わっても、「SNS運用に時間かけてません。楽にやってます。」と言い切れる企業や、お店はなかなかないのではないでしょうか? みなさんの会社やクライアントはいかがでしょうか?
代わりにやってもらいたいけど、コンテンツはやっぱり自社でひねり出さないといけない現実
私のお客様は1人で経営をされている小規模な事業者がほとんどなので、SNSにかける時間はわずかです。時間がかかるけれども、時間をかけてでもやらねばならないSNS投稿。ではこれを効率よくやる方法はないか?と考えたくなりますよね。
代わりにやってくれないか?とお願いされますが、代わりにやるとなっても、コンテンツを考えていただかないと始まらないわけですしそこにはやっぱり時間が必要になります。
「課題・原因・解決方法」の3要素で投稿内容を考え、決めておいたパターンに当てはめる
「文章は“いつ・どこで・だれが”の順で考えましょう」「文章には起承転結が大切です」など文章作りのコツは小学生の作文を書いているときから聞いて知っていると思います。SNSの投稿も毎回同じパターンを作ってしまうと、あれもこれもと余計な邪念に邪魔されずに投稿内容を作りやすくなります。たとえば私の場合、SNSの投稿は、カギとなるキーワードやネタを思いついたら、「課題・原因・解決方法」の3要素に当てはめて考えていきます。
- ターゲットがいま抱えている課題
- なぜ、その課題が起こるのか(原因の追及)
- どうしたら解決できるか(解決方法のアドバイス)
1つのネタを徹底的に使い倒す! 「投稿表」の作り方を紹介
こうした投稿は1回で終わらせるのでなく、視点を変えて何度も投稿できる内容が多く存在します。こうしたネタをまとめて「投稿表」をスプレッドシートで作っておくとよいでしょう。
ここからは実際に使っている投稿表を例に、詳しく説明しています。どうぞ参考になさってください。この例では、Canvaの一括作成機能を使って、csvファイルから一気に投稿用画像を作っていきます。
(1)「原案表」を作成
読者(ターゲット)の悩みや課題をピックアップし、それが起こる原因、読者(ターゲット)に向けてのアドバイスや解決方法を入力し、「課題・原因・解決方法」の3要素からまず「原案表」を作ります(合同会社オズで実際に使っているデータです)。クライアントと共有して使用する場合は、カテゴリやターゲット、ハッシュタグなどを選択ができるようにして、投稿内容がブレない工夫をしましょう。
- 悩みや課題を30から50個一気に考える。
- 1つ1つの悩みや課題に注目しその原因と考えられるものを出す。
- 原因が3個4個考えられる場合は、行を増やし次の投稿に回す。
- 解決方法は「ターゲットが理解しやすい内容」を心がけ専門的にならないように注意する。
(2)原案表を利用し、Instagram用の「投稿表」を作成
投稿表のテンプレート(赤で塗りつぶされたセル)に、原案表の情報を挿入します。定型文となっているところは毎回同じテキストが入ります。これによって伝え忘れを防ぎ、トンマナの統一もしやすくなります。
さらに下に行くと、あらかじめ登録されたハッシュタグをリストから選択できるようにしてあります。「ハッシュタグは前回何にしたんだっけ?」「この投稿にどんなハッシュタグがいいだろう?」と探す時間を節約し、ハッシュタグの誤入力を防ぎます。
(3)原案表を利用し、X用の「投稿表」を作成
投稿表のテンプレート(赤で塗りつぶされたセル)に、原案表の情報を挿入します。Xでは140文字以内にテキストを収める必要があるので、原案表のどこを使うか取捨選択します。
この例では、「悩み」と「原因」を使い、解決方法はInstagram用に作成したクリエイティブの3枚目を使用し画像でお伝えすることにしました。各セルの文字数カウントは「=LENB関数」を使用しています。
(4)まとめて予約投稿する
完成した投稿表と画像は、同じコンテンツで3メディア(InstagramとFacebook、X)に予約投稿します。
- InstagramはMetaBusinessSuiteを使って予約投稿。
- Facebookページへの投稿を同時に選択し同時予約。
- XはXアプリで予約投稿をセッティング。
まとめ
投稿表を使う最大のポイントは、コンスタントに明確に、コンテンツの投稿を継続できることです。さらに、予約投稿でできた余裕を、SNSコミュニケーションを行う時間に使えることです。
実際に投稿表を使った成功例としては、X投稿にクリエイティブは使わずテキストコンテンツだけとし、投稿原案1日分を複数投稿に分けて予約投稿。ネタが1周した後、もう一度最初から同じネタで投稿を続け、投稿内容を毎日考えていた時間を、ライトな挨拶投稿、SNSコミュニケーションに割き、オーガニック運用でフォロワー0のXが1年で1500フォロワー、インプレッションは毎月6~8万IMPに成長したというものがあります。
SNS運用において、投稿コンテンツの内容を吟味することは大切ですが、投稿に時間や労力がかかりすぎ、コミュニケーションにまで手が回らない現状は本末転倒でしょう。成果を上げるためにはSNSでのコミュニケーションを行うことも重要です。みなさんのSNSが効率よく運用できるヒントになれば幸いです。
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オリジナル記事:時間が割けないSNS運用の救世主「投稿表」とは? 活用方法をぜんぶ解説! | 百戦錬磨のSNSマネージャーが手ほどき! 企業SNS活用の悩みに答えます
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2020年より私たちは、「SNSマネージャー養成講座」という資格試験をスタートしました。SNSマネージャーの上位資格である上級講座では、実際に運用しているアカウントをサンプルにして、徹底的に運用目的とKPIなどの必要項目を掘り下げて企画書を作成するワークを実施しています。
この記事を読んで「理屈はわかったけど、実際自社のアカウントに当てはめるとピンと来ない。さてどうしたものか……」とお悩みのあなた。ぜひチャレンジを。
タイトルデザイン、タイトルイラスト:995(Twitterアカウント)
三度の飯より猫が好きなイラストレーター。ゆるくてかわいいイラストが得意です。