- グローバルサイトがあるが、更新が滞っている……
- 英語だけでなく、中国語やフランス語などにも翻訳したい……
- プロの翻訳家に頼んでいるが、発注や確認のやりとりに手間がかかる……
- サイト内検索が外国語だとヒットしない……
グローバル化を試みる企業のWeb担当者は、このような課題に直面することがあるだろう。そんな言語の壁を解決する企業がある。それが、Webサイトの多言語化ツールを提供しているWovn Technologies(ウォーブン・テクノロジーズ)だ。
同社は6月16日、「GLOBALIZED B2B製造業 海外展開を加速する多言語Web発信とは」を開催した。2019年にスタートしたカンファレンスで、これまでに累計9,000人が参加してきた。イベントをレポートする。
Webサイトを多言語化する「WOVN.io」とは?
主催者講演では、Wovn Technologiesの上森久之氏が登壇。「失注を防ぐグローバルサイト戦略-AI時代の新しい多言語化-」と題し、同社が提供するサービスについて解説した。
Wovn Technologiesは、2014年に日本で創業。「世界中の人が、すべてのデータに、母国語でアクセスできるようにする」をミッションに掲げている。
Webサイト向けの多言語化ツール「WOVN.io(ウォーブン・ドットアイオー)」は、最大43言語・77のロケール(言語と地域の組み合わせ)に翻訳できる。システム開発は不要で、元となるWebサイトが一つあれば、最短5分でスピーディに多言語翻訳できるのが特長だ。
また言語ごとの独自URLも選択でき、かつSEOに関連するタグも自動翻訳してくれるため、外国語でも検索SEOに対応できる。大手企業をはじめ、18,000サイト以上へ導入されている。
近年、B2B製造業からの問い合わせが増えてきましたが、提供する業界は金融やエンタメ・メディア、小売り・流通、学校など多岐にわたります。WOVNで多言語化したページを訪れた人は、累計で30億人を超えました(上森氏)
海外展開している企業のグローバルサイトのみならず、在留外国人向けのサービスやインバウンド対策にも活用されている。なぜ今、WOVNが多くの企業に求められているのか。クライアントからの要望は、大きく2つあるという。
要望1言語拡張
英語や中国語だけでなく、フランス語やスペイン語、タイ語、ベトナム語など多言語に翻訳したWebサイトを作りたいという要望だ。従来のようにグローバルサイトを1から立ち上げようとすると、相当なコストと工数がかかってしまう。
しかしWOVNであれば、言語拡張は容易だ。またWebサイトを多言語展開することで、海外にいる潜在顧客に対して“受け入れる姿勢”があることを示せ、「シグナリング効果」も期待できるという。
要望2更新したい
多言語展開する場合、翻訳会社に発注してページを更新するケースも多いだろう。しかし通常、翻訳会社を利用する場合は「1文字○円」といった契約になることが多く、発注や確認に手間がかかってしまう。そのため情報量は少なくなりがちである。またリアルタイムでは翻訳はできないため、掲載している情報が古くなる傾向にある。
しかしWOVNを使えば、日本語コンテンツをベースにスピーディに多言語化できる。リアルタイムに海外へ発信できるので、新鮮な情報を届けられる。
「Google Chromeでもリアルタイムに翻訳できるのでは?」と思うかもしれないが、翻訳の精度がイマイチなときもある。WOVNでは翻訳の精度を上げるために、複数の機械翻訳エンジンを使用している。
Googleは正確性に特化、DeepLは流暢性など、翻訳エンジンによって特性がありますし、翻訳できる言語数も異なるため、複数の翻訳エンジンを活用しています。さらにAIチェッカーで、表記ゆれやトーン、コンテキストの確認など、品質検証を行っています(上森氏)
ちなみにWOVNのダッシュボードでは、利用状況に応じた「累計コスト削減」と「累計時間短縮」を閲覧できる。とある企業で試算したところ、人力で翻訳するのにくらべて827時間削減し、500万円以上のコストダウンに成功したという。
「欧米にくらべて、日本は多言語・多文化後進国」と上森氏は話す。その背景には、日本には「ローカリゼーションマネージャー」「翻訳マネージャー」といった職種が少ないことが挙げられる。LinkedInを使って、日本・アメリカ・ヨーロッパで「ローカリゼーションマネージャー」を検索したところ、日本にはほぼ不在だったという。
「翻訳やローカライズを専門とする人がいなくても、また社内にエンジニアがいなくてもWOVNならば多言語化できます。多言語・多文化に課題が多くある日本だからこそ、日本発の多言語化プラットフォームとして世の中を良くしていきたい」と上森氏は締めくくった。
グローバルに向けたWebサイトの最適化の事例
導入事例講演では、松井製作所の長谷川翔一氏が登壇。同社は、日本語版のWebサイトと英語版Webサイトの制作会社が別だったため、運用手順やメンテナンスが異なり、更新するだけでも工数がかかっていたという。
WOVNを導入することで、日本語以外のユーザーにも安心感を与えるサイトになり、どの言語でも同じ印象、同じ体験ができるようになりました。また翻訳業務を減らすことで、UI・UX改善に時間を割くことができました(長谷川氏)
そのほかカンファレンスには、横河電機株式会社 常務執行役員 マーケティング本部長の阿部剛士氏や、川崎重工業株式会社 ロボットディビジョングローバル戦略部の山下まいか氏らが登壇し、Webサイトの海外戦略事例などについて解説した。
グローバル経営をするにあたり、障害となるのはやはり言語の壁だろう。まずはWebサイトから言語の壁を越えていきたい。
※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業Webサイトとマーケティングの実践情報サイト - SEO・アクセス解析・SNS・UX・CMSなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
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