1年で売上約9,600万円アップ! GBPの登録だけで終わらない、キタムラのローカルSEO戦略とは? | 成果につなげる! コンテンツマーケティング最前線

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yu-ta(ゆーた)26歳、会社員 PC.スマホ周辺機器やスマート家電など ガジェットを使って スマートな生活を送っています。 このサイトでは管理人おすすめの 最新の便利ガジェット情報や お得に買えるセール情報を中心に 発信しております。
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「ローカルSEO」や「MEO」(Map Engine Optimization/地図エンジン最適化)という言葉が盛んに取り上げられるようになったが、まだ国内での成功事例があまり出ていない。そこで今回は、ローカルSEO施策を正しく進めるためのヒントとして、株式会社キタムラの事例を紹介する。

左から、株式会社キタムラ CRM/ディレクションチームの山内一篤氏と五味敏幸氏、株式会社Faber Company中本俊一

同社では、GBP(Google Business Profile:Googleビジネスプロフィール)経由の電話や経路検索などのアクション数が前年比約113%に増加。売上貢献額も1年で約9,600万円増えるなど、ローカルSEOが成果に結びついている。ローカルSEOを推進しているCRM/ディレクションチームでリーダーを務める五味敏幸氏と同チームのサブリーダーである山内一篤氏にお話を伺った。

キタムラは「ローカルSEO」=「1対nの集団コミュニケーション」と定義

キタムラは、カメラ用品店「カメラのキタムラ」や記念日スタジオ「スタジオマリオ」などを、全国に約1,060店舗(2022年8月末時点)展開する企業。そんな同社で力を入れているのが「3つのDX(Digital Transformation)」だ。商品・営業・顧客基盤の3領域におけるデジタル化を推進し、AIによる買取査定やライブコマースの活用など、幅広い取り組みを行っている。その中で注力する施策の1つがローカルSEOになる。

ローカルSEOのうち、山内氏らの担当はCRM(Customer Relationship Management)領域で、「LINE」や「ローカルSEO」を活用した顧客コミュニケーションを進めている。

2つのチャネルは、

  • 1対1の個別コミュニケーション=LINE
  • 1対nの集団コミュニケーション=ローカルSEO

と位置づけ、チャネルの特徴に合わせてコミュニケーションを設計しているという。

例えば、再来店を促したい場合、LINEでのクーポン配信などを継続的に行うことが効果的だ。しかし、多くの店舗事業者と同じように定期的な来店を求めるだけでなく、「新規顧客との接点をできるだけ広く持つこと」も大切になってくる。ローカルSEOは、この新規集客施策における柱の1つと位置づけている。

同社が展開する事業の1つである「スタジオマリオ」では、需要の減少からWebサイトの検索流入が下降傾向にある一方で、GoogleマップからのWebサイトの流入が増えてきているという。さらに、業界全体で顧客数が減少する中、スタジオマリオの顧客単価は上昇傾向にある。

撮影ニーズが多様化したことに合わせて「GBPでの情報発信を強化した」ことが、単価が上がっている要因の1つだ。例えば、以前であれば「七五三」「お宮参り」などが主な撮影ニーズだったが、昨今では「マタニティ」「子どものバースデイフォト」「家族写真」など、さまざまなニーズが出てきているのだ。山内氏は下記のように語る。

新たなフォト需要に対応できるようになっていることは、ローカルSEO施策の成功例の1つだと考えています。これまで『マタニティ撮影』などで検索したとしても、弊社の運営するスタジオマリオが表示されることはありませんでした。
こうしたニーズでも検索結果に露出できるようになったことで『こんな撮影もスタジオマリオでできるんだ!』とお客様に気づいて、いただけるようになりました。確実に新たなお客様との接点につながっていると感じています(山内氏)

株式会社キタムラ CRM/ディレクションチームのサブリーダー 山内一篤氏

ビジネスチャンスを広げるために、ローカルSEOへの取り組みを本格化

しかし、最初からうまくいっていたわけではない。以前の同社では、海外製のGBP管理ツールを用いて店舗情報を一括管理していた。現在では情報整備が進んだが、次なる課題も見えてきた。当時の状況ついて五味氏は次のように振り返る。

店舗情報の登録はできているものの、その先ができていませんでした。PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)のP(計画)、D(実行)だけで終わってしまい、C(評価)、A(改善)まではできていない状態だったんです。施策の影響を可視化(データ化)できていなかったことが、施策を進められなかった要因だと考えています。

そこで、弊社に足りていない部分をサポートしてもらえる企業を探して、Faber Companyが運営するローカルSEO支援ツール『ローカルミエルカにたどりつきました。GBPを活用してさらに高いレベルでローカルSEO施策を推進できると思ったからです(五味氏)

株式会社キタムラ CRM/ディレクションチームのリーダー 五味敏幸氏

「キタムラさんはビジネスチャンスを逃しているのではないか」――。キタムラの現状分析を進める中で、サポートを担当したローカルミエルカの中本俊一がそう感じた出来事がある。それは中本自身が、年賀状の印刷を近場で探していた時のことだった。

2020年に年賀状を作ろうとした際のことでした。もう店頭印刷しか間に合わない時期になってしまっていたので、店頭印刷ができる場所を探していたんです。『近くの年賀状 印刷』などと検索しても全然参考になる情報が出てきませんでした。

これは“今まさに情報を必要としているユーザー”に対して情報を届けられていない状態で、大きな機会損失だといえます。ローカルSEO施策を通じて我々がやれることがたくさんあると、この経験から確信しました(中本)

上記の「年賀状」のような検索キーワードは、業種・サービス・商品名など、主にブランド名を指定しない検索であり、「間接検索」(GBP内の用語)と呼ばれる。この間接検索をするユーザーは「何かしらの来店行動を必要としている(例:年賀状を印刷したい、食事をしたい、髪を切りたい…等)が、どこのお店に行くかまだ決めていないことが多い」と考えられる。そして、こうした間接検索におけるGoogle マップでの露出は、GBPの店舗情報の登録だけではカバーできない。

中本俊一 Faber Companyに入社後、これまで200社以上のWebマーケティング、Googleビジネスプロフィール活用支援に従事。現在はローカルミエルカの事業責任者としてチェーン店舗向けの店舗情報管理ツール「ローカルミエルカ」の開発に従事している

一体どのようなことをすれば、間接検索をしているユーザーにも情報を届けることができるのだろうか。以下で、キタムラのGBPにおける取り組みを解説する。

キタムラのローカルSEOの取り組み。登録だけで終わらないGBPの活用法とは?

キタムラが重視したのは、「戦略立案」、そしてそれに基づいた「施策推進」だ。ローカルミエルカが伴走した具体的な施策内容について、2つのポイントに絞って解説する。

➀ 独自のロードマップを用いて、進むべき方向を明確化

GBPに営業時間などの基本情報を登録したのみで終わってしまっている事業者は残念ながら多い。しかし、GBPは情報登録してからが本番。行うべきことは多数ある。

GBP運用では、「何をどのように進めたら良いかわからない」とお悩みの企業も多い。そこで、ローカルミエルカでは進むべき方向性を明確化するために、独自に策定したローカルSEOやGBPの活用に向けた「ロードマップ」を定めている。

ローカルミエルカが提唱するローカルSEOのロードマップの一部

上記の図のように、ローカルSEO施策をいくつかのステップに分け、まずその企業がどのフェーズにいるのかを明らかにし、次のステップに行くためにはどうすれば良いのかを考える。キタムラの場合、「ステップ1:情報整備」の段階で止まってしまっていた。そこで、情報整備の課題を洗い出し、順にステップアップできるよう計画を立てて施策を推進していった。

よく勘違いされることとして、ローカルSEO施策には「裏技」のような手法を期待されることがあるが、そのようなものは存在しない。「必ずマップ検索順位を1位にできる」「良い評価のクチコミだけを大量に集められる(悪いクチコミを消せる)」といった勧誘も増えていると聞くが、Googleの規約違反になる可能性が高く、注意が必要だ。

ローカルミエルカの中本はローカルSEO施策を進める意義について、下記のように説明する。

最終的な目標は、『信頼感の醸成』や『顧客体験の向上』です。GBPは、提供するサービスを紹介するだけでなく、コミュニケーションの簡素化や店舗サービスレベル向上など、お客様の体験をより良くするために役立つツールです。検索順位などはあくまで結果であって目的にはなり得ません。

とはいえ、いきなり信頼感を醸成することは非常に難しい。情報の整備や最新情報の配信など地道に施策を積み重ねていくことで、お店に対する信頼度が上がっていくはずです(中本)

➁ 店舗ブログとの連携で情報発信を多面化

ローカルSEOに取り組む企業からよく寄せられるのが「GBP上で発信するネタがない」「何を発信して良いかわからない」という相談だ。

GBP上で情報を発信していくだけに、新たなコンテンツを作ることは手間がかかる。そこで目を付けたのが、「店舗ブログ」だった。店舗ごとのブログを運営し、入荷情報やスタッフの人柄を伝えるなど、店舗ならではの情報発信をしている企業は多い。この店舗ブログをGBPにも活かすことができれば、これまで以上にユーザーの目に留まり、来店数アップの可能性は高まる。

キタムラでは、各店舗がセールや新サービスなどを伝えるために店舗ブログを更新していた。そこで、ローカルミエルカの「ブログ連携機能」を活用し、店舗ブログを自動的に各店舗のGBP最新情報にも反映されるようにした。追加の工数をかけることなく、全店舗(約1,060店舗)のGBPで店舗ごとに最新情報発信が可能となった。

「ブログ連携機能」を使えば、ブログを投稿すると、GBP上にも自動的に投影される

店舗ブログをGBPと連携させることでどのような成果につながったのだろうか。

GBPへの投稿数とビュー数(GBP上での最新情報の閲覧数)の推移を見てみると、2022年4月にはビュー数だけで90万ビューを突破。昨年比の2倍強の数を達成した。またそれに伴い、クリック数(GBP→キタムラWebサイトへの遷移)も増えているため、「店舗ブログ」だけを運営していた場合よりも、ユーザーに認知される機会を増やすことに成功している。

2022年4月にはビュー数だけで90万ビューを突破した

GBP経由の電話や経路検索などのアクション数は、前年比約113%に

こうした施策を推進した結果、2021年4月~2022年3月における全ブランドのアクション数(*)の合計は、前年比で約113%となった。これはGBP経由での店舗への電話や経路検索のタップ数が13%ほど増えていることを意味している。なお、写真スタジオは季節ごとの需要の増減なども激しいため、単純な比較はできない。新型コロナウィルスによる影響もあったと推察される。それでも積極的な施策が実を結んでいると同社は捉えている。

*アクション数:GBPの参考になるデータとしてGoogleから共有されている指標の1つ。合計アクション数として、Webサイト、ルート、通話に関するユーザー行動の合計数をインサイトデータから確認できる
参考:Googleビジネスプロフィールヘルプ)。
2021年4月にはアクション数が昨年比約2倍となった

こうしたGBP上のアクションの増加は、実店舗にどのような価値があるのだろうか。集客への貢献度はGBPのインサイトデータから導くことができるが、実際の来店数や売上にどれだけ貢献したのかを計測することは難しいと思われている。しかし、中本によると、売上貢献度をある程度見積もることが可能だという。

アクション数(経路検索、電話等)の増加は、店舗への興味を持つ人が増えた証明だといえます。それらに“来店率”や“顧客単価”などを掛け合わせることで、GBP運用による売り上げへの貢献度を見積もることが可能です。今回試算したところ、キタムラさまのローカルSEOによる売上貢献額は、1年で9,600万円ほど増えていることがわかりました。『GBP運営は意味があるのか?』と聞かれることが増えていますが、本事例のように、実店舗集客に貢献することは可能だと考えています(中本)

現場も重視した施策推進で、デジタル化を加速

キタムラは、小売・サービス業界の中でもデジタルへの意識が強い企業だ。90年代後半からインターネット事業へ注力し、現在のネット事業の売上高は400億円超。主力事業の1つに成長している。多くの企業ではデジタル化を進めていく際に、現場(実店舗)とデジタル化担当部門で軋轢が生まれるケースもあるという。キタムラではこうした組織内での問題や軋轢が起こらなかったのだろうか。

軋轢といったものはないですね。ECを立ち上げた際、きちんと店舗とECが連携できるような仕組みを作ったことが大きいのではないかと思います。ECで注文しても受け取りをお店にすることで、店舗にも関与売上として利益が入る形にしています。お互いにとってメリットがあることを伝え、社内の理解を浸透させてきた歴史があるため、反発のようなものは起きていません(五味氏)

また、CRMチームのサブリーダーである山内氏が店舗で勤務した経験を持っていることも、店舗との連携がスムーズである理由かもしれない。

デジタルの部門にくる前は、店舗で接客をしていました。その経験は非常に活きていて、『よく来てくれたあのお客様には、どんな情報をお伝えすれば喜んでくれるか』『どんなことを伝えればまた来店してもらえるか』など、たとえ目の前にいないとしてもお客様のことを考えながら仕事をしています。

同時に、店舗スタッフ側の視点に立って『本当にそれは現場が対応しやすいのか』と実体験ベースで想像することもできます。お客様と店舗スタッフ、両方の目線を大切にして施策を考えられることが私の強みだと思っているので、今後もその視点は忘れないようにしたいですね(山内氏)

ローカルSEO施策について具体的に紹介してくださる山内氏(手前)と五味氏(奥)

最後に、今回のローカルミエルカ*との取組みの中で最も良かったと感じている点を、山内氏と五味氏はこう述べた。

圧倒的に施策の数が増やせたことです。PDCAのCとAまでしやすくなったことで、商品の最新情報の発信などの施策を、営業担当者を巻き込んで走らせることができました(山内氏)

週次の定例で、中本さんからいろいろご提案いただいたことで、施策の幅や打ち手の数が広がっています。そのことが検証の質にもつながっていると思います(五味氏)

今後のローカルSEO施策については、各店舗のクチコミも活用して、接客応対の改善やニーズ分析の強化を行っていくという。

キタムラはEC事業を長年運営しているが、山内氏と五味氏の所属するデジタル推進部やCRMチームはまだできて数年の新しい部署。そのため体制づくりや施策などで、試行錯誤を続けている。ただツールを使って終わるのでなく、現場もうまく巻き込みながらデジタル化を推進していく姿勢は、多くの企業にとって参考になる部分があるのではないだろうか。キタムラの挑戦は今後も続く。

ローカルミエルカ・コンサルティングポリシー:ローカルミエルカを運営する株式会社Faber Companyでは、企業活動や社会貢献のためにお預かりした個人情報はプライバシーポリシー(https://local-mieruca.com/privacy-policy.php)を定め、厳正な管理の下で履行しています。また、契約いただいている企業に対しては、Googleビジネスプロフィール(https://support.google.com/business/answer/3038177?hl=ja)についてのガイドラインなどの順守を求めています。ローカルミエルカのログイン画面上で禁止事項等について喚起しているほか、弊社からお送りするメール署名に順守いただきたい内容のリンクを掲載するなど対策を進めております(しかし、契約するすべての店舗における施策や運営、過去の運用まで確認しているわけではございません)。

編集協力:落合真彩
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