日本広告審査機構(JARO)は、2022年度上半期(2022年4月〜9月)の審査状況を発表した。JAROが受け付けた広告に対する相談について、分析・集計を行っている。
総受付数は6,405 件、うち苦情は4,844件。全体的に減少傾向
2022年度上半期の総件数は6,405件で、そのうち「苦情」は4,844件であった。2020年度上半期から 2021 年度上半期までは苦情が増加していたが、今期はコロナ以前と同じような水準となった。受付経路別では、ウェブサイトでの送信フォーム経由の「オンライン」が770件減少していた。
苦情1位は「医薬部外品」。2位の「化粧品」は前年よりも半減
「苦情」の業種別件数は上図のようになった。1位は「医薬部外品」2位は「化粧品」であったが、ともに前年よりも減少。「医薬部外品」は美容健康商品が約8割を占めており、「化粧品」については不快感を与えるような画像のバナー広告が減ったことで、今期はほぼ半減した。しかし、医薬品的な効能をうたうなど、著しく不適切なものはなくなっていない。「健康食品」は2020年度下半期に急減して以降、さらに件数は減っている。
一方で、「専門店」への苦情は前年の約2倍に増加。ゲーム関連グッズ販売のアドトラック(トラック広告)が、風俗店の求人あっせん広告を模した表現であったことに苦情が集中した。
苦情の媒体別件数、1位「インターネット」僅差で2位「テレビ」
「苦情」の媒体別件数は、「インターネット」「テレビ」「ラジオ」の順となった。インターネットが2割減、テレビはほぼ前年並み、ラジオは4割減となっており、インターネットとテレビはほぼ同じ件数であった。内訳をみると、インターネットの上位業種は「化粧品」「医薬部外品」「電子書籍・ビデオ・音楽配信」、テレビの上位業種は「携帯電話サービス」「団体」「自動車」となった。
最も多い苦情内容は「広告の虚偽や誇大」「音・映像」
苦情申立者の年代・性別内訳をみると、今期はコロナ禍で増加していた10代~40代の苦情が大きく減少していた。男女別でみると、徐々に女性の割合が増加しており、10年前には男女比7:3だったのが、6:4に近づいていることがわかった。
苦情内容別でみると、広告の虚偽や誇大を訴える「表示」についての苦情が全体の52.9%を占めていた。前年同期を上回ったのは「音・映像」「差別・ジェンダー」のみで、他の項目は減少していた。
JAROは今期13件を審議し、「厳重警告」6件、「警告」6件、「要望」0件、「助言」1件に対して「見解」を発信した。対象となった商品・サービスはさまざまであったが、媒体別では「インターネット」が12件を占めた。
2022年度上半期のトピックス
不適切なNo.1表示
「警告」を受けたハウスメーカーの事例では、「コストパフォーマンス〇〇県内 No.1」などの表示が根拠となる調査と合っていないというものがあった。
サブスクのように誤解させる役務提供契約
実際には高額契約の分割払い1回分の支払額であるのに、サブスクリプションであるかのように誤解させるという事例があった。
二段階契約による悪質な定期購入
回数しばりのない定期購入契約で誘引しながら、契約の申し込み直後にお得であるかのようなオファーを表示して契約させ、2つ目の契約で回数しばりをもうけるという事例があった。
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オリジナル記事:2022年度上半期「不適切な広告」への苦情は4,844件。コロナ禍以前まで減少【JARO調べ】
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