CX視点で「患者中心」の医療を実現することが、ビジネスチャンスの拡大につながる【電通デジタルコラム】 | 電通デジタルコラム特選記事

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yu-ta(ゆーた)26歳、会社員 PC.スマホ周辺機器やスマート家電など ガジェットを使って スマートな生活を送っています。 このサイトでは管理人おすすめの 最新の便利ガジェット情報や お得に買えるセール情報を中心に 発信しております。
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デジタルを活用して、医療現場における医師の側面と、治療を受ける患者の側面と双方の側面からコミュニケーションをサポートする、メディカル統合ソリューション「DDMEX(ディーディーメックス):Dentsu Digital Medical Experience Transformation」。デジタル技術を活用することで、医師・MR・患者それぞれの立場から「より良い治療体験」を実現します。

社会構造の変化やコロナ渦を経て医療現場が大きく変わる中、医師と患者の「より良い治療体験」を実現するために、製薬・ヘルスケア業界においては、これまで以上にCX視点が重要となります。DDMEX VOICEでは、製薬・ヘルスケア業界に日々向き合うCXのプロフェッショナルたちが、ビジネス視点で見たCXの重要性や、CX視点で患者の解像度を高める方法などについて、ファクトや事例を交えて解説していきます。第1回は、製薬・ヘルスケア業界におけるCX視点の重要性を紐解きつつ、なぜそれがビジネスにつながっていくのかについて、DDMEX立ち上げメンバーが語り合います。

――製薬・ヘルスケア業界において、なぜCXが重要なのでしょうか。

神松:私たちは普段、多くのクライアント企業の顧客体験を改善するご支援をしています。その中で、製薬・ヘルスケア企業の方々ともご一緒する機会があり、CX視点からもっとできることがあるのではないかという発見があったのです。基本的に、製薬・ヘルスケア企業は医師を顧客と見ていますが、その先のエンドユーザーである患者を見ることで、新しいコミュニケーションのあり方が提案できるのではないかと考えました。

前田:カスタマージャーニーを作って顧客視点を深掘りすることが多いのですが、実際に、患者や医師のジャーニーを作ってみると、まだ読み解けていないオポチュニティが見えてきました。製薬・ヘルスケア業界という専門性の高い領域とはいえ、CX視点の重要性は変わりません。

登坂:製薬・ヘルスケア業界には、医師と患者の情報の非対称性という構造上の課題があります。その中で、企業と医師は、「病気を治すためにどうするか」という部分にフォーカスしがちでした。しかし、米国の医療現場から「ペイシェントセントリック」という考え方が生まれ、患者を中心とする医療のあり方に注目が集まっています。これが、今のCX視点が求められる流れにつながっていると思っています。

神松:医師、患者、企業などいろいろなステークホルダーが存在する製薬・ヘルスケア業界は、人とのコミュニケーションが重視される産業であることもあり、もともとCXとの親和性が高いのです。だからこそ、顧客をある特定疾患の患者群と見るのではなく、より解像度を上げていく必要があります。都心に住んでいるのか、地方に住んでいるのか、小さなお子さんを持たれている方なのか、学生なのか、デジタルのリテラシーはあるのかなど、詳細に紐解いていくと、ビジネスとして向き合うべき患者像が変わってくるはずです。

前田:CXの取り組みは、一見遠回りに見えますが、患者の解像度を上げてアプローチすることは、きちんとビジネスにもつながるという点が非常に重要なポイントです。こうしたことへの理解が進んでいる企業からの相談が増えてきていますね。

登坂:例えば製薬会社では、薬の形状や投与法などを工夫することで患者への負担を軽減し、安全で適切な治療を行うために、創薬・開発の面から患者中心の医療の実現に取り組んでいます。これをコミュニケーション領域でも、CXを通して、医師とともに医療体験を患者中心にしていこうという考え方が、少しずつ浸透しつつあるように思います。

この考え方が先行する欧米では、“ファーマCX”として、製薬会社は医師と患者の顧客体験を進化させています。オンラインとリアルが融合し繋がり続ける時代、製薬会社がシームレスな体験デザインを新たに創造し、ビジネス成果を上げ、医療に真の変化を生み出すプロセス、それが“ファーマCX”です。

神松:私たちが考える「患者中心」とは、患者に向けたコミュニケーションのクオリティを上げるだけに留まりません。本質的には、医師と患者の治療体験を上げることが目的です。医師のニーズと患者のニーズのギャップが治療効率を下げてしまう場合もあります。こうした部分での気づきは、まだまだ発掘のしがいがあると思っています。

現場の医師は、患者と向き合う時間が限られているので、治療設計をする上でもいろんな歯痒さがあると思います。彼らが手に負えないことは、裏を返せば、患者が感じる「負」として現れるので、治療体験や薬剤選択におけるボトルネックが見える場合があります。そういう意味で患者の解像度を上げることが、すなわち医師や医療現場、ビジネスにとっての新しい一手につながると私たちは考えています。

前田:我々のメインの仕事は、こうした構造を紐解いて、どのように患者にアプローチすべきかというコミュニケーションを考えていくことです。こうした方針があるからこそ、それに基づいた、Webサイトやアプリの構築、資材の作成などが可能となります。

登坂:製薬・ヘルスケア企業と医療従事者が目標としているのは、患者の状態変化を評価する、いわゆる「医療のアウトカム」を最大化することです。その上で、私たちが目指しているのは、患者への負担を軽減し、安全で適切な治療を行うために、医師と患者の顧客体験をポジティブなものに変化させることです。ここで大切なのは、「あなたに何が起こったのか」だけではなく、「あなたにとって何が重要なのか」ということに着目することだと思います。

前田:私たちのアプローチとしては、患者も医師も企業も、みんなが良くなる「三方良し」を実現することで、クライアント企業のビジネスを成功させたいと思っています。


患者中心の医療が、「医療アウトカム」の最大化につながる

――これまでに実施した具体的な事例を教えてください。

神松:女性特有疾患のオンコロジー領域、乳がんのプロジェクトの例があります。

医師は一刻も早く最適な治療を選択したいけれども、患者はさまざまな感情が絡み合って混乱している状況で上手くニーズが汲み取れない課題がありました。患者の想う「最適な治療」の認識にズレがあると、治療の途中でモチベーションが削がれてしまうなど、治療体験に影響が及ぼされます。

診断当初のコミュニケーションの質がその後の治療に大きく影響することも分かり、患者のインサイトを深掘り、どういうコミュニケーションがポジティブな治療選択や医師とのスムーズな意思決定につながるのかを深掘りました。

治療の意思決定に関わる、治療費や家族・周囲とのコミュニケーション、仕事をはじめとする社会との関わり方、自分の想いを他者に伝えるための方法が分からないことなどに課題感が見え、それらがまた、治療期間によって複雑に変化していくことも分かり、診断初期から中期、後期と治療体験全体に寄り添うトータルコミュニケーション・プログラムの開発につながりました。

医師と患者のより良いコミュニケーションを構築し、最適な治療の選択ができるようになればという願いを込めたプロジェクトでした。こうした取り組みによって、医師と患者の体験改善だけでなく、製薬会社のMR(営業担当者)が自社の薬を医師に提案しやすくなるというビジネスにつながっていることが、重要なポイントです。

私たちは、「誰に、何を、いつ、どう伝えるか」という点を見極めることに関して、プロフェッショナルだと自負しています。これにクライアント企業の視点やプロフェッショナリズムを掛け合わせて、最善のコミュニケーションが実現できた成果だと思っています。

前田:「患者中心」と言いながらも、患者だけを見ているわけではないことが、こうした事例からもお分かりいただけると思います。医師のニーズもしっかりと組み込み、治療体験全体を改善していくことが重要なのです。

登坂:意外と、医師は本当の患者を知らない部分が多いと言われています。病院に行って、医師にうまく伝えられないことや正直に話せなかったことは、誰しも経験があるのではないでしょうか。診察時間が限られる中で、医師が適切なコミュニケーションを取るためには、多様な患者を理解することがとても重要なのです。製薬・ヘルスケア企業が医師に対し患者をより深く理解するために必要なサポートをすることは、医師と患者のより良い治療体験を生み出します。結果、企業とのエンゲージメントも高まり、自社の製品を選択してもらうことにもつながっているようです。


製薬・ヘルスケア業界の環境変化にCXとデジタルで対応する

――製薬・ヘルスケア業界も、今後さまざまな変化が見込まれています。どのような対応が求められているのでしょうか。

前田:法規制が緩和されることで、医療のデジタル化がさらに進んでいくはずです。その場合、例えばアプリのUI/UX改善などは、よりダイレクトにCX視点が必要になる部分でしょう。また、オンライン診療なども増えてくると、患者とのコミュニケーションを改善したいというニーズは高まっていくと思います。

神松:医師が行う患者へのカウンセリングにも、保険点数が付くようになり、より患者とのコミュニケーションを意識する病医院も増えてくると思います。そこの医療者側のニーズに寄り添うことも製薬会社のプレゼンス向上を狙えるポイントだとも考えています。

登坂:2024年4月より、医師の働き方改革として、時間外・休日労働の上限規制が適用されます。MRとの面会時間がさらに制限される中で、デジタルによる医師の仕事の効率化は非常に歓迎されると思います。DDMEXのチームには、医師との接点を、デジタルチャネルを使ってどう構築していくかに取り組んでいるメンバーもいます。今後は、製薬・ヘルスケア企業から医師へのアプローチの仕方も、変化せざるを得ないでしょう。

――最後に読者の方に向けて、メッセージをお願いいたします。

神松:医師と患者のニーズのギャップを把握しているかどうかで、展開できるコミュニケーションは変わってきます。患者をCX視点で捉えることができれば、まだまだ新しい発見の余地はあると思っています。ビジネスをさらに広げるチャンスが、そこにあるはずです。新しい一手を、クライアント企業と共に一緒に作っていきたいと思っています。

前田:製薬・ヘルスケア業界は、いろいろな課題を抱えるステークホルダーが多くいる中で、状況も複雑ですし、打ち手も複雑になる傾向があります。ただ、私たちと直接話をさせてもらえれば、そこから何か見えてくることもあるはずです。まずは、ワークショップを一緒にやってみたり、ペイシェントジャーニーを作ってみたりして、「患者を見る」という、その一歩を踏み出すきっかけにしていただければと思っています。

登坂:治療体験の向上というのは、デジタルによる単なる効率化ではなく、患者の思いをどう理解するかが非常に大切になってくると思っています。その上で、“ファーマCX”は、製薬・ヘルスケア企業の顧客(患者、介護者、医師、その他のHCPを含む)と企業の双方に利益をもたらします。良いCXは、ブランドや製品との長期的なつながりを生み出し、顧客が良い結果を得るために必要なサポートを提供します。この大きなビジネス成果を生み出すための仕組みづくりを継続していきたいと思います。

医師と患者のより良い体験設計を実現するペイシェントジャーニーの作り方

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