「何をするかより誰とするか」JTマーケティング担当に聞く、楽しく働くための行動指針 | デジマ4つのマイルール

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yu-ta(ゆーた)26歳、会社員 PC.スマホ周辺機器やスマート家電など ガジェットを使って スマートな生活を送っています。 このサイトでは管理人おすすめの 最新の便利ガジェット情報や お得に買えるセール情報を中心に 発信しております。
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仕事をしていると、自分の弱点に直面することがある。そんなとき、どう対処するか。弱点を克服しようと必死になって、かえって空回りしてしまうことはないだろうか。

日本たばこ産業株式会社(以下JT)でマーケティングを担当する久保田賢氏は、そんな経験をしたことがある。「プレッシャーに強くないので、毎日押しつぶされそうになっていた」と振り返る。

久保田氏はその弱みを野放しにせずに、認めることにした。それが結果的に、自分の強みを見出す気づきになり、次のキャリアへつながったという。そんな久保田氏に、キャリアや仕事に関する4つのマイルールについて聞いた。

日本たばこ産業株式会社 デジタルマーケティング推進部 次長 久保田 賢氏

期待に答えられない不安に押しつぶされていた若手時代

久保田氏のマイルール

ルール1「大事にしたいこと、大切にしたいものはなんだろうか」に立ち返る

久保田氏は新卒のときに、WebサイトのUXを高めるツール提供やコンサルティングを行う会社のコンサルタントとして働いた。クライアントのWebサイトの売上を向上させ、サイトを利用するユーザーの不満や不便の解消に取り組む仕事だ。
 
そのときに、久保田氏は最初の壁にぶつかった。クライアントやユーザーの期待に応えられると考えた提案を上司に見てもらうと、「この提案で満足しているのか?」と問いかけられるのだ。自身も管理職になった今なら、上司が期待をかけてくれていたのだとわかるのだが、当時の久保田氏は強いプレッシャーを感じていた。

上司の期待に応えようと思うと、仕事の際限がなくなってしまうんです。僕はプレッシャーに強い人間ではないので、押しつぶされそうな気持ちになり、空回りしている状態でした。誰のために仕事をしているのかわらなくなってしまったんです(久保田氏)

プレッシャーに押しつぶされそうだった久保田氏は、「改めて自分が大事にしたいことや大切にしたいものはなんだろうか」と考えるようになる。そこでカフェに行きたばこを吸いながら、モヤモヤした気持ちを思いつくままに、ノートに書き出してみたのだ。

書き出していくうちに、自分の行動指針が2つ明確になりました。1つ目は他者貢献をすること。自分のエゴではなく誰かの役に立つために動くことが重要だと思いました。自分の直感として「正しい」「楽しそう」と思ったことについては突き詰めることにしました。2つ目は他者貢献をしない人とは合わないので、誰と仕事をするかを大切にしようというものでした(久保田氏)

久保田氏はノートに書き出した内容をベースにして、自分の「人生目標」としてドキュメントにまとめた。自分が仕事に乗り気にならないときやモヤモヤしていると感じたとき、自分の心の置き場となるように書き続けているという。

久保田氏の「人生目標」ノートの一部

ルール2想いがある人のやりたいことを実現していく

自分の想いを書き出して言語化していくうちに、自分の強みや弱みが客観的にわかるようになってきました。自分は戦略を描くことは苦手で、誰かの描いたビジョンや想いを形にしていくことに強みを発揮できると気づいたのです。だからこそ『誰と一緒に仕事をするか』が自分のキャリアにとっては重要なのだと思うようになりました(久保田氏)

「誰と仕事をするか」を大事にすると決めた久保田氏は、自分の考えと合う人と一緒に仕事ができる環境を選ぼうと考える。多くの本を読んだり、自分が働きたいと思える人に出会うためにビジネスマッチングアプリを利用したこともあったという。

そんな久保田氏にキャリアのターニングポイントが訪れる。コンサルタント時代に担当したことのあるJTの担当者から「うちに来ませんか?」と誘われたのだ。

その方は『JTをこうしていきたい』『世の中はこう変わっていく』とよく話していて、ビジョンを描く人なんです。でも、ビジョンを具現化するタイプの人ではない。その点、私はビジョンを描くより形にするのが得意なタイプです。この人と一緒に働くのはとても面白そうだと転職を決意しました(久保田氏)

これまでのキャリア

マーケティングの定石を使えないからこそ、マーケターとしてレベルアップできた

ルール3制約を言い訳にしない、マーケティングの原点に立ち戻る

JTに入社した久保田氏は、これまで経験してきたマーケティング手法を活用できないことに驚く。JTは筆頭株主が財務大臣であり、日本たばこ産業株式会社法という法律に基づいて会社運営をしているなど一般企業と違う点が多い。「TIOJ自主基準」などの規制によって、20歳未満にマーケティングをしてはいけないため、TVCMはもちろんWeb広告を出すことに制約があるのだ。

これまで定石としていたマーケティング手法が使えない状況でした。マーケターとしてのこれまでの経験や能力をすべて封じられたように感じました。
しかし、既存の広告を出せないからこそ、マーケティングの基礎に立ち返れたと感じています。Web広告はできなくても『この方法なら、お客さんとの接点がもてるかもしれない』など、お客様との接点を考え抜くようになりました。こうした環境だからこそ、デジタルマーケティングのスキルが一段上がったと感じています(久保田氏)

久保田氏が実際に手がけたのは、2020年に立ち上げた「CLUB JT」というデジタルIDプラットフォームだ。CLUB JTが立ち上がるきっかけは、2020年4月に条例が変わり、東京都では屋内は原則禁止になったことだった。「たばこを吸う」ことをJTとしてサポートできるものを作ろうという背景のもとに生まれたサービスだ。CLUB JTでは喫煙所MAPやポイントプログラムなどを実施している。

喫煙所MAPについては『この機能は本当に使われるかな』と話していたのですが、今では月間100万UUを超え、多くの方に利用いただいています。生活圏内の喫煙所の場所は把握していても、仕事先や旅行先で喫煙できる場所はなかなか探せません。そんなときに利用いただいているようです(久保田氏)

また、たばこの箱の中にあるインサーターに印字して「CLUB JT」を宣伝するなど、リアルとデジタルの接点を作るようにしている。喫煙者に情報を届けたいと考えたときに、必ず目にするものはなんだろうと考えたらたばこの箱だと思いつき、インサーターの活用を考えたのだ。

不特定多数にマーケティングをしないと決めているからこそ、自分たちのもつアセットで使えるものはあるのか、最大限勝つようにするにはどうしたらいいかというマーケティングの原点に立ち返れたように思います(久保田氏)

こうした仕事の成果によって、久保田氏は29歳のときに当時最年少で管理職になった。はじめに聞いたときは「責任範囲が増えるのは大変そうだ」と思っていたが、CLUB JTの立ち上げを経て、自分のフェーズも変わってきているのだと考え、前向きに受け止めたのだという。

既存の手法が使えないからこそ、マーケターとして成長できた(久保田氏)

ルール4ピンチの経験は上司になったときに生きてくる

CLUB JT立ち上げのタイミングで、久保田氏はシステムトラブルを経験したことがある。結果として大事には至らなかったが、当時は非常に慌てたという。「会社に損害が出るのではないか」と思いながら上の空で喫煙所にいたときに、マーケティング部署の統括をしている上司が現れて、開口一番に笑顔で「まぁ、こういうことよくあるから。落ち着いて対応すれば大丈夫だよ」と言ったのだ。

その時点ではどのくらいの影響範囲なのかわかっていない状況で、大きなトラブルに発展すれば上司にも責任が及ぶかもしれません。そんな状況の中でも落ち着いた物腰でドンと構えていた上司を見て、張りつめていた気持ちが少し楽になりました(久保田氏)

「これが上司としてあるべき姿だ」と感じた久保田氏は、自身が部下に接するときにも気を付けているのだという。チームメンバーが萎縮せずによいパフォーマンスを出せるよう、心理的安全性の高いチームを作ることを心がけている。具体的には「チームの価値観」を明文化して共有している。

チームの価値観

  1. 徹底的に成果へコミットする
  2. 情報(データ)が武器、⾜を使って情報を集める
  3. トークストレート・オープンコミュニケーション
  4. ⾃分の関わっている仕事に主体性と、⾃分の意思(エゴ)を持つ
  5. 仮説を持って仕事する
  6. 上司・先輩の仕事をもらう。⾃ら時間を奪う
  7. やらない理由を作るより、どうやってできるか? を考える
  8. 明⽇⾃分が死んでも、業務が回るように意識する

最後に、なかでも一番大切にしてることを聞いた。

特に大事にしているのは、ちゃんと自分で考え仮説を立てたうえで成果を出すことです。メンバーみんなで言語化して共有しているからこそ、チームとしても良いパフォーマンスを発揮できていると感じています(久保田氏)

久保田氏のマイルール(再掲)
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