Webコンテンツの新陳代謝が悪くなる要因とは?
先生、実は数カ月放置しているSNSがあるんです。昔は結構バズっていい感じだったんですが、最近はめっきり……何かやらねばと思いつつそのままにしてしまって。
なるほど。そんなふうに、SNSを含めたWebコンテンツの更新頻度が少なくなってしまうのは、意外とよくあることなんです。更新が滞ってしまう要因を解明し、再び活発なコンテンツに蘇らせましょう。
何のためのコンテンツか、目的を見失ってしまっていませんか?
この相談のように、Webコンテンツの、いうなれば「新陳代謝」が悪くなった場合、考えられる要因の1つに「目的を見失ってしまっている」ことがあげられます。
御社は、何のためにそのコンテンツを立ち上げ、運用を始めたのでしょうか?
- 自社のことをもっと多くの人に知ってほしい
- 商品やサービスの購入や問い合わせにつなげたい
- プロフィール欄にあるECサイトURLのクリック数を増やしたい
そうした明確な目的があるはずです。
しかし、それが運用を続けるうちにいつしか
「いいね!をたくさんもらってバズらせなくては!」
「とにかくフォロワーを増やさなくては!」
と目的が変わってしまっていないでしょうか? 実はこれ、SNSの運用ではありがちです。
バズったコンテンツを安易に真似るのは危険!
「いいね!やフォローを増やしたい」にベクトルが向いてしまうと「今バズっている投稿を参考にして発信しよう」「バズっている投稿の真似をすればうまくいくはず」という思考になります。確かに、バズった投稿を真似れば、注目を集めるかもしれません。しかしこの方法は、手っ取り早い反面、中途半端なパクリだとむしろ失敗します。1、2本類似したコンテンツをアップしたら更新が途絶える、といった感じで続かないケースがほとんどです。
その理由こそが、前述したように「目的を見失っているから」なのです。コンテンツの真の目的をきちんと考えず、ただバズりたい一心で安易に他所を真似る。すると、結局のところ自分たちから生まれたアイデアではなく、目指すゴールもあいまいなため、「次の一手が考え出せず、前へ進めない」事態を招きがちで、更新が途絶えやすくなります。
また、他所を参考にした発信が運良くバズり、フォロワーを大量に獲得できたとしても、「自社のターゲットとは異なる顧客層ばかり」では意味がありません。自社が狙った顧客層ではないフォロワーは、自分の望む情報が得られなくなったり、コンテンツの更新が途絶えたりすれば、簡単に離れていくと思ってください。さらに、他所を真似たコンテンツばかり発信していると、昔からの既存顧客やファンが「何だかテイストが変わった」「好きな雰囲気ではない」などと感じて、離れてしまう可能性も否定できません。
つまり、目的を見失ったWebコンテンツ運用は、コンテンツの新陳代謝が悪くなるだけではなく、新規見込み顧客と既存顧客の両方を失うことにもなりかねないのです。そのためコンテンツ運用では、「運用の目的を明確に把握する」ことが非常に重要となります。
目的を明確にし、自社を徹底リサーチ! 話題のTikTokにもぜひ注目を!
うっ……まさに自社のSNS運用を聞いているようで耳が痛いです。
でも、新陳代謝が悪くなっている要因がわかってよかったですね。次のステップで何をやるべきなのかも、詳しく見ていきましょう。
自社のリサーチを行おう
新陳代謝の悪いWebコンテンツを甦らせるには、まずあらためて運用の目的を確認すること。そして、自社がどのような雰囲気の会社で、どんな商品・サービスを販売しているのか。顧客層やターゲット層にはどのような人がいるのか。自社の強みや弱みも含めて、「自社のリサーチ」を徹底的に行うことが大切です。
その上で「見込み顧客に効果的にアプローチするならどんなコンテンツが刺さるだろう」「既存顧客にはどんな情報が喜ばれるだろう」、といった視点で発信内容を考えていきましょう。
考え出されたコンテンツが既存コンテンツとあまりにかけ離れている場合は、思い切って更新が止まっている現アカウントを捨て、新たにアカウントを開設するのも一案です。
戦う土俵を変えてみる、あるいは増やしてみよう
もう1つ、「戦う土俵を変えてみる、増やしてみる」のは、おすすめです。会社のホームページで発信をしているコンテンツなら、SNSやブログサイトなどにも発信してみる。もしくは、よりターゲットと親和性の高い媒体に変えてみるといった感じです。
例えば、最近SNSではTikTokの人気が非常に伸びてきています。ショート動画が特徴的なSNSで、ユーザーは10~20代の若者が中心ですが、近頃は30~40代も増えてきているようです。
TikTokのすごいところは、「フォロワーが1人もいなくてもバズる」ことです。なぜかというと、使っている方はわかると思うのですが、TikTokはアプリを開くとフォローしているかどうかに関わらず、「ユーザーの興味」に合わせて今話題となっているさまざまな投稿がバンバン自動再生される「おすすめ」フィードがあるからです。検索・閲覧履歴はもちろん、視聴時間や視聴回数、見直した動画、視聴後に見た動画などさまざまな情報をもとに、一人ひとりによりマッチした動画が表示されているのです。
X(旧Twitter)にも「おすすめ」タイムラインがありますが、基本的にそのユーザーがフォローしているアカウントと興味に合わせた投稿が表示されていますし、フォロワー数の多い人気アカウントの投稿ほど表示されやすくなります。一方、TikTokは「ユーザー体験中心のおすすめ」なので、極端な話、運用を始めたばかりのフォロワーの少ないアカウントにもチャンスはあるのです。
であれば、運用目的などをしっかり把握して、ブレのない発信をしていれば、求める顧客層が自然と集まってくることも期待できます。さらに、TikTokログインや会員登録をしなくても気軽に見られるので、普段接触できない層ともコミュニケーションをとれること、そして比較的どのような業界とも相性がよいことなどもTikTokの魅力といえます。たとえば、神奈川県のタクシー会社「三和交通のTikTok」は、採用活動の一環で投稿した動画が大きくバズり、話題となりました。社員の男性が、ノリのよい曲に合わせて軽快に踊る動画はご覧になったことがある方もいらっしゃるでしょう。
次の一手に悩んだら、今勢いのあるTikTokの運用も検討してみる価値は十分にあると思います。
「今」だけでなく、「過去」の新陳代謝も忘れずに!
先生、ありがとうございます。早速、自社リサーチをしっかりして、新しいコンテンツ作りに着手したいと思います!
ちょっと待ってください! もう1つ、過去の発信を見直すことも重要な場合があるんです。
えっ? 過去ですか?
既存コンテンツをチェックしよう
Webコンテンツの新陳代謝を活発化しようとすると、つい「新しく何をするか」ばかり考えてしまいがちです。
ですが実は、過去のコンテンツを見直すことも非常に重要なプロセスなのです。なぜなら、企業のホームページやサービスサイトなどの過去の発信をチェックすると、新陳代謝が悪いコンテンツが見つかるケースが多々あるからです。
例えば、Webサイトのコンサルをしていると、このような事例を結構見かけます。
- 「最新版ランキング」と題しているにも関わらず、「2022年」のように古い情報が掲載されている
- 税金や法律などの情報が、最新の内容になっていない
- 他のサイトのコンテンツと非常に類似している(コピーコンテンツ)
ちょっとしたことに感じるかもしれませんが、閲覧者側からは意外と評判が悪くなるポイントです。あなたも、「最新版じゃないじゃん!」「整合性が取れていないよ!」「パクリじゃん!」など、他社のサイトを見て思ったことが一度くらいはあるのではないでしょうか。
またこうしたことは、顧客から嫌われてしまうだけでなく、Googleにも「信頼性にかけるサイト」とみなされて嫌われてしまう恐れがあります。つまり、検索結果の上位に表示されにくくなり、まだ出会えていない見込み顧客とも出会えなくなる可能性が出てくるのです。
特にコピーコンテンツは、Googleの評価が悪くなるだけでなく、後々トラブルになる場合もありますので十分に注意しましょう。最初は楽でも、最終的に自分の首を絞めることになります。
既存コンテンツが大量にある場合などチェックが大変とは思いますが、ぜひ過去を検証する時間は惜しまずに設けてください。誤っている内容は修正する。補足が必要な部分は補足する。そして、「読みやすいか」「わかりやすいか」といった顧客ファーストの気持ちで再度見返す。1人では見落とすこともありますから、第三者も交えながら隈なくチェックしましょう。その一つひとつの努力が、確実にWebコンテンツを活性化させていくことになるのですから。
森先生からのアドバイス
Webコンテンツの新陳代謝を促す方法、ご理解いただけたでしょうか?
活性化するぞ、と勢いだけで新しいコンテンツ出しまくるのはおすすめできません。お伝えしたように、「実は見当違いの発信ばかりしてしまう」危険性があるからです。まずは、自社の施策やターゲットをあらためて確認することから始めましょう。
また、古傷をそのままにしておくと思わぬ大病につながることがあるように、過去のコンテンツの放置にも注意が必要です。
自社の方向性の把握は問題ないけれど、どうしてもSNSの更新が滞ってしまうとお悩みの方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてくださいね。
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※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業Webサイトとマーケティングの実践情報サイト - SEO・アクセス解析・SNS・UX・CMSなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:更新頻度は数カ月に1回⁉ 「新陳代謝の悪いコンテンツ」に注意! | やってはいけないWeb集客 6つの罠
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