60人待ちの行列、1分間に2人ずつ増え、受付がピンチ!
アユムさん、今、時間あるかな、展示ホールの受付を手伝ってもらえる?
何を手伝うんですか? 1曲歌うとかですか?
アユムさんのリサイタル! じゃなくて、入場無料の展示会を開いているんだけど、来客が思いのほか多く、受付がパニックになってるんだ。ヘルプをお願いしたくて。
いいですよー。今は何人くらい並んでるんですか?
さっき確認したときは、60人が並んでいて、1分間に2人ずつ、エンドレスに増えている様子だった。受付は1分間に3人処理できているね。アユムさんが手伝ってくれたら、1分間に6人処理できるようになりそうだから…。そうすると、何分で行列がなくなるかな?
あっという間じゃないですかね。ちょちょいのちょいですよ!
……15分だね。では、手伝いながら計算してみてね!
え? 15分? なんで? どうやって計算するの~? モリさーん!!
昔から、算数も数学も苦手なアユムは、希望が叶ってマーケティング部門に異動してきました。Web担で見るような「すごいマーケターになりたい!」と胸を躍らせていたが、配属後、理想と現実のギャップに苛まれることに。データ、数字、%、小数。うわぁーん、どうしたら、数字に強くなれるのでしょうか……。
そこに現れたのが、大人向け数学教室「大人塾」を運営し、数学が苦手な社会人に対して指導をしているアジアゾウをこよなく愛するモリさん。
この記事を読むべき人:仕事算を応用させたい方
この記事を読む必要がない人:一定の量で仕事が増えていく状況でどう仕事を片付けるかという問題が解ける方、ニュートン算が得意な方
この記事でわかること:ニュートン算の解き方
2人態勢になると、何分後に行列が解消される?
はーい、こんにちはー。元気ですかー。元気でーす。
(自己完結!)先ほど先輩に出されたお題、どう計算するのかわからなくて。すでに人が並んでいて、そこに次々と人が来るんです。で、その受付を手伝うんですが、行列がなくなるまで、どれくらいの時間がかかるかなと。
なるほど、ニュートン算ですね。
New豚さん?
ボケが混迷を極めてますね。ニュートン算は、万有引力で有名な科学者であるアイザック・ニュートンに由来してます。一定の量で仕事が増えていく状況でどう仕事を片付けるかという問題です。
根性論ですね!
違います。さて、今回、先輩から出題されたのは、60人がすでに並んでいて、毎分2人ずつ増えていく行列において、アユムさんが手伝って毎分6人ずつ受付すると、何分で行列が解消されるかという問題ですね。
はい。頑張って手伝う所存です! だから、解き方を教えてください!
では、順番に考えていきましょう。アユムさんが手伝いはじめて、𝒳分後に行列が解消されるとしましょう。さて、手伝いはじめてから行列の解消まで、何人が並んだでしょう?
最初に60人で、1分間に2人ずつ増えるのが𝒳分続くので、2𝒳。となると、並んだ人は60+2𝒳ですね。
その通りです。では、その𝒳分間に受付が終わるのは何人ですか?
1分間に6人を受付できるので、6𝒳ですかね。
並んだ人数、受付された人数がわかりました。さて、行列が解消するときって、これらの数がどうなるときでしょう?
行列がなくなる、人がゼロになる…。ということは、すべての並んだ人数と受付が終わった人数が同じということですか!
なので、60+2𝒳=6𝒳。で、4𝒳=60、𝒳=15
あ! 先輩の言ってた15分と同じ答えになった!
ばっちりです。ニュートン算、こんな感じで未知数を𝒳とおけば計算できます。ちなみに、中学受験でも出題されるこの問題、小学生は𝒳の使い方を習っていないので、順を追って数字を出したり、図解したりと時間や工夫が必要です。なので、苦手意識が残ってる方も多いようです。残念ですね。
大人でよかった~!
ついでに、アユムさんが忙しくて手伝えなかったら、行列がなくなるまでにどれだけ時間がかかったかわかりますか?
感覚的に考えると、2倍の30分じゃないですか?
詰めが甘い! 計算してみましょう。
爪が甘い…? ちがうか。このボケはビミョーですね。えっと、並んでいた人数は、60人、増える人数は毎分2人、かかる時間を𝒳分とおくと、60+2𝒳 ここまでは前と同じか。
この場合、受付をできるのは1分間に3人なので、受付する総数は3𝒳ですね
となると、60+2𝒳=3𝒳 だから、𝒳=60
60分! 大変! 手伝えてよかった!
120人並んでいる列、1分間に8人増加、レジ1台だと120分かかるが、レジ2つだと?
甘い爪で思い出したんですが、この間、デパートの催事場で期間限定のスイーツを販売してたので、行ったんですよ。もう、ニュートン算そのものの阿鼻叫喚でした。わんさか人は来るし、どんどん列は長くなるし。
では、デパートの催事場を舞台に、次の問題です。その催事場のレジには、すでに120人並んでいます。
殺気だちますね。
落ち着きましょう。で、1分間に8人ずつ、人が増えます。
レジの人が千手観音にでもならないと回りませんね。
レジ1台だと、この行列を処理するのに120分かかります。
お客さん、待たないですよね。自分なら帰ります。
待つんですよ。待ってください。問題にならないので。
待ちましょう。…そして?
レジを2台にしたら、何分でレジ待ちの行列を解消できますか?
さきほどのように、レジが2倍になったから時間は半分、ってことにはならないんですよね。ちなみに、レジは同じ速さで処理できる前提なんですか?
はい、能力差はないとしましょう。今いる2組は超ベテランです。なんなら、この催事場のレジ打ちの担当者はみなベテランです。
なるほどです。では、計算してみます。レジが1台だけのとき、処理が終わるまでに、全部で何人並んだかを計算すると、120(人)+(8(人)×120(分))=1080(人)
1080人を120分で処理するので、1080÷120=9 1分あたりの処理は9人! (え、鬼速じゃないですか?)
目にもとまらぬ早ワザですね! ちなみに、先日、大学生と話していてこのネタを使ったら、忍者ハットリくんを知らなくて、このネタが通じなかったんです。悲しいですね。
(忍者ハットリくん…? 自分もよく知らない…)レジが2台になる場合、1分間に処理できるのは9×2=18人ですね。鬼に金棒! 森にカナブン!
カナブンはいいとして、2台体制になると、行列が解消されるのは何分後ですか?
処理にかかる時間を𝒳分とおくと、最終的に処理するのは18𝒳ですね。
それでは、並ぶ人数を確認して計算しましょうか。
120+8𝒳(人)。なので、これをイコールでつなぎます。120+8𝒳=18𝒳 120=10𝒳 𝒳=12
え~、12分で行列を解消できちゃうんですか?
そうなんです。すごいですよね。時間を1/10に短縮できる。
最初から2台体制でやればいいじゃないですかね。
まあ、そうですね。余談ですが、昔々、私、通信販売のテレオペでバイトをしてたんですよ。そのとき、鬼のように注文があって、無茶苦茶なスピードで処理してました。速度がめっちゃ上がっても、オペレーターが増えても、電話は鳴り続ける…。1時間にべらぼうな数をこなしたのはいい思い出です。あれが、ザ・ニュートン算ですね…。問題を見ると思い出して、しみじみしちゃいます。
そんな時代があったんですね。昭和ですか?
平成です…。インターネットがそんなに一般的ではない時代でした…。
そんな時代が!
【ニュートン算の復習】水漏れをするタンクの容量を求めよう!
ところで、ニュートン算は、もともと、牧草が生える速さと牛が食べる速さから、どれだけで草がなくなるか、という想定から始まった問題らしいですよ。現代では、水漏れの問題などに使われます。早速やってみましょうか。
毎分決まった量の水が漏れるタンクがあります。空の状態から毎分6Lずつ水を入れると20分で満タンになるのですが、毎分10Lずつ水を入れると10分で満タンになります。さて、このタンクの容量はどれだけでしょうか?
その前に、わかっているなら、穴をふさいだ方が良いのでは? 資源は大切にしないと。
そうですね。今は、ふさがずに進めます。さて、どうやって解きましょうか。
水漏れの量がわからないので、漏れる量を毎分𝒳Lとしましょうか。となると、毎分6Lの水を入れても、漏れるので、毎分(6-𝒳)Lしか溜まらないんですよね。これが20分続くので、(6-𝒳)×20=120-20𝒳 えーと、これがなんでしたっけ…。
満タンになったときの水の量ですね。つまり、タンクの容量です。
ということは、もうひとつの毎分10L入れる場合も同じように計算して、タンクの容量としてイコールでつなげますね!
はい、求めましょうか。
(10-𝒳)×10=100-10𝒳
ここから2つをつないで、120-20𝒳=100-10𝒳
これを解いて、120-100=-10𝒳+20𝒳 20=10𝒳 𝒳=2
この𝒳ってなんでしたっけ?
問題を解くときは、自分が何を𝒳とおいたか忘れたらダメですよ〜。
はい、気をつけます…。えっと、𝒳は1分間に漏れる量でした。で、問題は、タンクの容量を求めなさい、なので、どちらかに当てはめればいいですね!
120-20×2=80 。もうひとつの式で確認しても 100-10×2=80
タンクの容量は80Lですね!
ブラボー!
増えたり減ったりしても、何かを𝒳とおいて、イコールを見つければ解けるんですね! 楽しいです。
ね! 助け合えば早く終わる! 何もかも勢いと実行が大切! 毛利元就も3本の矢があれば大丈夫って言ってました! 今日は、ニュートン算から人生についていろいろなことを学べましたね。
え?
ポイント
- 同時間に増えたり減ったりする問題をニュートン算という
- わからないものを𝒳とおいて、問題からイコールを探す
今日の問題をおさらい
Q1. 60人並んでいて、1分間に2人ずつ増えている。受付は1人につき、1分間に3人処理できるとき、2人で受付をすると何分で行列が解消するでしょうか。
時間を𝒳分とおく
並んだ人数 60+2𝒳
1分あたりの処理人数 3×2=6
処理人数 6𝒳
並んだ人数と処理人数が一致すると行列が解消されるので
60+2𝒳=6𝒳
これを解いて 𝒳=15
答え:15分
Q2. 同様の状況で受付が1人だった場合、行列解消までに何分かかるでしょうか。
時間を𝒳分とおく
並んだ人数 60+2𝒳
1分あたりの処理人数 3×1=3
処理人数 3𝒳
並んだ人数と処理人数が一致すると行列が解消されるので
60+2𝒳=3𝒳
これを解いて 𝒳=60
答え:60分
Q3. 120人並んでいる列、1分間に8人増加、レジ1台だと120分かかるが、レジ2つだと何分で行列が解消されるでしょうか。
レジが1台のとき
並んだ人数 120+8(人)×120(分)=1080人
レジ1台当たりの処理人数 1080÷120=9
レジ2台のときの1分あたりの処理人数 9×2=18
レジが2台の時の処理人数 18𝒳
120+8𝒳=18𝒳 これを解いて𝒳=12
答え:12分
Q4. 毎分決まった量の水が漏れる入れ物があります。空の状態から毎分6Lずつ水を入れると20分で水が満タンになるのですが、毎分10Lずつ水を入れると10分で満タンになります。さて、この入れ物の容量は何Lでしょうか。
1分あたりの水漏れの量を𝒳とおく
6Lずつ水を入れた場合、満タンを表す式は、(6-𝒳)×20=120-20𝒳
8Lずつ水を入れた場合、満タンを表す式は、(10-𝒳)×10=100-10𝒳
これらがイコールなので、120-20𝒳=100-10𝒳
𝒳=2
求めるのは、タンクの容量なので、120-20×2=100-10×2=80
答え:80L
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オリジナル記事:【計算できる?】60人の行列、毎分2人増え、受付は1人で毎分3人処理。2人で受付すると何分で行列が解消できる? | 算数が苦手なマーケター向け「算数基礎講座」
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