2024年のSEOとコンテンツに関する専門家の予測を前中後編の3回に分けてお届けしているこの記事。後編となる今回は、「SEOとコンテンツマーケティングにおけるAI」と「サステナビリティ(SDGs)とSEO」に関する専門家の予測を見ていこう。
- SEOとコンテンツのAIに関する予測
- 19. 高度なAIとマルチプラットフォーム戦略でSEOを多様化する ターシャ・アントウィ氏 - SEOおよび検索戦略コンサルタント
- 20. コンテンツにおけるエモーショナルインテリジェンスの台頭 プルナ・ヴィルジ氏 - LinkedInのコンテンツソリューション主任コンサルタント
- 21. AIイノベーションのなかで、オーダーメイド戦略とダイナミックな体験が予想される ティエリー・グテグール氏 - SALTのデータインサイト担当責任者
- 22. オーセンティックなブランドが、AI生成コンテンツにトラフィックを奪われるかもしれない ギャレット・サスマン氏 - iPullRankのデマンドジェネレーション担当マネージャー
- 23. 検索エンジンは、オーディエンスの洞察を深めるためにAIと機械学習を重視する ファビオ・エンバロ氏 - Viaduct Generationの共同創設者兼CEO
- 24. 2024年末までに、ウェブ上のコンテンツの半分以上がAIで生成される ロクサーナ・スティング氏 - Alamyの検索およびSEO担当責任者
- 25. GoogleのAIコンテンツフィルタを多様なコンテンツ形式で操作する デーナ・ディトマソ氏 - Kick Point Playbookの創設者兼リードインストラクター
- 26. AIにより、コンテンツマーケターとSEO担当者はレベルアップを迫られる リディア・インファンテ氏 - SEOコンサルタント
- サステナビリティ(SDGs)とSEO
SEOとコンテンツのAIに関する予測
19. 高度なAIとマルチプラットフォーム戦略でSEOを多様化する ターシャ・アントウィ氏 - SEOおよび検索戦略コンサルタント
SEOにおけるAIの統合は今後、さらに高度化するだろう。この進化は、ユーザーの意図を理解し、コンテンツの作成を効率化し、よりパーソナライズされた検索体験をもたらすうえで役立つ。Googleの検索アルゴリズムと生成AIは、さまざまな声によるコンテンツ(GoogleのPerspectivesフィルタ)を優先するようになると予想している。
そのため、セマンティック検索(リンク先は日本語記事)のオーディエンスを深く理解することで最適化を推進し、GoogleのSERPに表示されるコンテンツの種類や形式に影響を及ぼす必要がある。
また、マルチプラットフォーム検索戦略の導入は不可欠だ。ユーザーの検索ジャーニーで、Googleはもはや入り口ではなくなる。TikTokなどのプラットフォームは、Googleでの検索需要やYouTubeで話題のトピックを一新している。こうした状況で、ウェブサイトは(車のエンジンのように)あまり目立たないが中心的な役割を果たし、(車体のように)さまざまな接点でデジタルプレゼンスを支える。
ユーザーを効果的に誘導するには、プラットフォームごとにどう検索しているかを把握し、ユーザージャーニーにおける各プラットフォームの役割を理解することが不可欠だ。この洞察によって、さまざまなプラットフォームや接点での検索戦略を調整できるようになる。
20. コンテンツにおけるエモーショナルインテリジェンスの台頭 プルナ・ヴィルジ氏 - LinkedInのコンテンツソリューション主任コンサルタント
2023年にはAIがブームになったため、振り子は逆にEI(エモーショナルインテリジェンス)を重視する方向に振れ始めると考えている。平凡なコンテンツを量産してアルゴリズムを操作するためだけにAIを使っているマーケターに、成功は見込めないだろう。代わりに成功するのは、AIの力を使ってよりインパクトのあるコンテンツを構築し、人々の進化する欲求や期待に応えようとするマーケターだ。
しかし、状況が好転する前に悪化する事態に備える必要がある。インターネットでさえ、今日のようになるまでには、ドットコムバブルの崩壊を経験しなければならなかった。
AIの本質は、私たち人間の効果を高めることにある。しかし、私たちを人間たらしめている要素は、常にどこかで求められている。つまり、参入障壁が低くなり、誰もが同じツールを同じような方法で使うようになると、差別化するには人間の要素が必要になる。そのため、コンテンツの大きなトレンドとして、次のようなものが重視されると考えられる:
顧客のニーズを理解したソートリーダーシップのコンテンツ(信頼を築く)
オーディエンスの能力強化を目的とした啓発コンテンツ
21. AIイノベーションのなかで、オーダーメイド戦略とダイナミックな体験が予想される ティエリー・グテグール氏 - SALTのデータインサイト担当責任者
AIが実験的な段階から移行し、検索でより広範に実装されるようになるのにともない、絶え間ない変化を受け入れることが不可欠となる。この進化にはアジャイルな学習と適応が求められ、小規模事業者にも、Googleなどの業界大手にもこれが不可欠だ。成功の鍵は、「テストと微調整」の繰り返しにある。
このAI主導のアプローチによって、一般的な戦略から、個々の嗜好やニーズに合わせたオーダーメイド戦略へと移行することになる。
旅行業界を例に挙げよう。静的なペルソナに基づく従来のパーソナライゼーションによるアプローチは、旅行の意思決定に影響を与えるダイナミックなオーダーメイド体験に取って代わられる。治安、天候、食事のニーズ、アクセスのしやすさ、予算などを考慮してカスタマイズされた旅行を提案することを想像してみてほしい。
こうしたイノベーションのなかでは、倫理基準を維持し、プライバシーを優先することが極めて重要だ。信頼と信用を築くには、責任あるAIの利用とデータの処理が基本となる。
22. オーセンティックなブランドが、AI生成コンテンツにトラフィックを奪われるかもしれない ギャレット・サスマン氏 - iPullRankのデマンドジェネレーション担当マネージャー
GoogleがAI生成コンテンツの流入に適応するにつれ、予期しなかった傾向を目にすることになるかもしれない。それは、オーセンティックなブランドが最善の努力を尽くしても、オーガニックトラフィックを失う可能性があるということだ。この過程で、大手ブランドが専門外の検索結果で上位に表示されることに対してペナルティを科されるという前例ができるかもしれない。ただし、ほとんどの大企業は確立されたアプローチを守り通す可能性が高く、コンテンツ戦略を大きく変えることはないだろう。
また、「模倣」コンテンツの問題はなくならないだろう。現在のシステムでは、今後もそうしたコンテンツが意図せずに恩恵を受ける可能性があるからだ。また、Googleは市場で支配的立場を維持するが、興味深いことに広告収入は減少すると予想されている。
検索結果はますますパーソナライズされ、個々の状況に特化したものになると見ているが、だからと言ってGoogleの検索結果の質について続いている議論は今後もなくならないだろう。こうした変化にもかかわらず、これからも1つはっきりしているのは、SEOは死んでいないということだ。
23. 検索エンジンは、オーディエンスの洞察を深めるためにAIと機械学習を重視する ファビオ・エンバロ氏 - Viaduct Generationの共同創設者兼CEO
2024年、SEOはAIと機械学習から大きな影響を受けるだろう。検索エンジンは、アルゴリズムをさらに改善してユーザーの意図をより深く理解するために、AIと機械学習などのテクノロジーを重視するだろう。コンテンツの作成では、ユーザーからの問い合わせを中心として、明確な言葉や関連キーワードを組み込み、セマンティック検索のトレンドに合わせる必要がある。
ユーザー体験(UX)も検索順位決定要因として極めて重要な役割を果たすだろう。次の要素を適応させ、UXを改善しよう:
- モバイルの最適化
- 読み込み時間の速さ
- 直感的なナビゲーションの優先
加えて、特にInstagramのリールやTikTokなどのプラットフォームでは、動画コンテンツの重要性はいくら強調しても強調しすぎることはない。魅力的で有益な動画を作成し、タイトル、説明文、トランスクリプトを十分に最適化しよう。
24. 2024年末までに、ウェブ上のコンテンツの半分以上がAIで生成される ロクサーナ・スティング氏 - Alamyの検索およびSEO担当責任者
2024年末までに、ウェブ上のコンテンツの半分以上がAIで生成されるようになる。こうしたAIコンテンツの流入を機に、検索エンジンは検索順位を決定するシグナルとしてのコンテンツの重要性を見直し、他の要素に目を向けるようになるだろう。
そのため、強力で信頼されるブランドシグナルを備えているウェブサイトは、特に商業的なクエリで優位を保つことになる。
また、被リンクの役割が復活し、現在より重みが増す可能性もある。こうした変化を受けて、被リンクの品質と関連性を規制するために、Googleのペンギンアルゴリズムがより厳しくなることが予想される。ただし、Googleがこのアップデートを明らかにするかどうかはまた別の話だ。
25. GoogleのAIコンテンツフィルタを多様なコンテンツ形式で操作する デーナ・ディトマソ氏 - Kick Point Playbookの創設者兼リードインストラクター
この記事に登場する多くの専門家と同様、私もAIが2024年の中心テーマになると考えている。Googleは、AIで生成された低品質なコンテンツをフィルタリングする取り組みを強化すると思う。その結果、AIコンテンツをまったく使っていないウェブサイトが思いがけずペナルティを科されることになるかと言えば、もちろんそうなる。
これを避けるには、E-E-A-Tの原則に従っていることを確認する必要がある。さらに、サイト上でコンテンツの見せ方を多様化しよう(リンク先は日本語記事)。たとえば、ブログ記事の動画バージョンを提供することで、さまざまなユーザーの好みや、検索結果の進化する機能に対応することになる。
26. AIにより、コンテンツマーケターとSEO担当者はレベルアップを迫られる リディア・インファンテ氏 - SEOコンサルタント
AIがもたらす大変革を受けて、コンテンツマーケターやSEO担当者は、仕事を続けたいのであればレベルアップすることを迫られると思う。成功の鍵は次のものを組み合わせることであり、いずれもAIツールが役立つ:
- オーディエンスに関する深い知識
- 書き手が持つ専門知識の強調
- スキーマを使ったコンテンツの拡充
その目的は、コンテンツの作成や検索ボリュームの追求ではなく、どのようなコンテンツであればビジネスの目標を前進させられるかを理解し、書き手の専門知識とスキーママークアップによってコンテンツを充実させることだ。
サステナビリティ(SDGs)とSEO
27. サステナビリティと倫理がSEOコンテンツ戦略を推進する リジョイス・オジアク氏 - SEOマネージャー
2024年には、SEOコンテンツで次のことに重点を置くことが何よりも重要になるだろう:
- サステナビリティ
- 社会的責任
- 倫理的実践
消費者は自らの価値観に沿って購入の意思決定を下すようになっているため、コンテンツ戦略にこれらのテーマを組み込むことが、各ブランドにとって極めて重要になる。
サステナビリティに関連するキーワードをコンテンツに自然な形で組み込む
自身のブランドの持続可能な手法や社会的取り組みに関する事例を紹介する
オーディエンスにサステナビリティや倫理的実践に関する情報を提供する有益なコンテンツを作成し、自身のブランドをこの分野のソートリーダーとして位置付ける
サステナビリティのトピックに関するフィードバックやディスカッションを促すコンテンツを作成することで、ユーザーとの交流を促進する
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オリジナル記事:2024年のSEO/コンテンツをプロ27人が予測 ❰後編❱ AIとサステナブルなSEO | Moz - SEOとインバウンドマーケティングの実践情報
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