2024年1月、LINE広告がアップデートし、ユーザーが一番多く訪れる、「LINE」の「トークリスト」最上部の広告枠に動画形式の広告を出せるようになった。
動画広告は、静止画広告に比べて注意を引きやすく、多くの情報を盛り込むことができるため、静止画とは異なる層のコンバージョンを取れるという特徴がある。静止画と動画を組み合わせることで、より効果的な広告配信が実現できる。
とはいえ、動画広告にチャレンジしたことがない広告担当者にとっては、ハードルが高く感じられるのも事実だ。そこで本記事では、LINE広告でクリエイティブに関する検証や情報発信を担当する相樂長宏氏に、LINE広告の動画広告で効果を出すためのコツと、効果の高い動画クリエイティブの実例を聞いてきた。
ユーザー数が最も多い配信面にも動画広告が配信できるように!
LINE広告には以前から、動画広告として横長の「Card」型、正方形の「Square」型、スマートフォンの画面を意識した縦長の「Vertical」型の3種類のフォーマットがある。ショート動画が楽しめる「LINE VOOM」をはじめ、多様な配信面に配信が可能だった。
それに加えて、2024年2月のアップデートで、「トークリスト」にも動画広告が掲載できるようになったという。
「トークリスト」は、LINE広告のなかで最も多くのユーザーが訪れる場所で、インプレッションも一番多い配信面です。これまで、この面に配信が可能なのは静止画広告だけでした。GIFアニメーションで動画のように見せた静止画広告や、Talk Head Viewと呼ばれる予約型広告の配信は行えたものの、いわゆる“動画”広告は配信できませんでした。
今回、その配信面に動画で広告が出せるようになったことで、さらなる広告効果の向上が期待できます(相樂氏)
トークリストに動画広告を掲載したい場合は、LINE広告の管理画面において、動画広告を作成・編集するページに表示されている「小さい広告枠への動画配信を有効にする」をオンに設定するだけで配信対象となる。
まずは「静止画広告に動きをつける」方法が手軽でおすすめ
とはいえ、「動画を作成する」ことにハードルを感じ、動画広告に二の足を踏む担当者も多いだろう。そんな動画クリエイティブ初心者におすすめしたいのは、もともと効果が高かった静止画広告に、簡単な動きをつけることだ。作成の手間を最小限に抑え、訴求したい箇所を目立たせるだけでも、LINE広告では十分な効果を上げられるという。具体的には次のような手法だ。
テキストに動きをつける
- 拡大・縮小する:大きくしたり小さくしたりすることで、その箇所を強調する。短い文がおすすめ
- 点滅させる:短い文を光らせたり、なかったところにテキストを出現させたりする
- 色を変える:色が変わることで目を引く。長い文の場合は、読む速度に合わせて変化させてもよい
- ラインをひく:強調したいところにラインを引いたり、囲んだりする。読む速度に合わせて変化させてもよい
デザインに動きをつける
- 色を変える:背景の色を変えたり、目立たせたい部分の色を変えたりすることで注意を引く
- 光らせる:一部をキラキラと光らせる、全体を一瞬だけ光らせるなど、エフェクトをかけることで注意を引く
- 背景を動かす:ユーザーの注意を引きながら、動かない部分を逆に強調できる
- スライドさせる:ビジュアルの一部または、全体を紙芝居のようにスライドさせて順番に絵や情報を見せる
シンプルな動画であっても、「どの部分を動かすか」×「どう動かすか」の掛け合わせでさまざまな表現ができるため、いろいろなパターンを試して、より効果の高いものを見つけていきたい。
シンプルで効果が出る動画クリエイティブ4例
ここからは、LINE広告で効果が出る動画クリエイティブの具体例を4つ見ていこう。
短いテキストに動きをつけた動画
短い単語や文は、文字を拡大したり、出現させたりなど目を引く動きをつけるのがおすすめだ。ひと目で伝えたいことがわかる。
例①:全体はクーポン風のデザインにして、強調したい「500円 モニター募集中」の部分に、文字が飛び出してくるような動きをつけたもの。「500円」だけ、「モニター募集中」だけ、など動く部分を変えたり、「点滅させる」「文字の色を変える」など、変化のパターンを変えて効果のよいものを探すとよい。
長いテキストの一部分に動きをつけた動画
長いテキストは、ユーザーにしっかりと情報を与え、商材理解を促したい場合に有効だ。テキストの中で、ユーザーに読ませたい部分だけを目立たせたり、ニュースのテロップ風に文字を流し入れたりすることで思わず読んでしまう効果を狙う。
例②:「肌ケア保湿クリーム」「朝晩兼用」「お肌を乾燥から守る」など商品を説明する文章を長めに入れることで、ユーザーの商品理解を促す。同時に、重要な部分にアンダーラインを引く動作を加えて、注目を集めやすくする。
デザインの一部分に動きをつけた動画
一枚絵風の動画広告であっても、イラストを動かす、背景の色を変える、全体がきらめくようなエフェクトを入れるなど、簡単な動きをつけるだけで注目を集めやすい。
例③:ターゲットや商品内容をテキストで説明し理解を促すとともに、かわいいイラストを背景として、左右に流れていく動きをつけ広告そのものを目立たせた例。テキストは固定にするとメリハリがつく。
複数の情報をスライドさせて見せる動画
上下左右のいずれか1方向にスライドさせ続けることで、より多くの情報を見やすく届けることができる。
例④:求人情報を複数並べてスライドさせ続けることで、他の求人情報も気になったユーザーからクリックしてもらいやすくなる。
動画広告で「しっかり効果を出す」ための5つのTips
相樂氏によると、いくら動画広告の効果があるといっても、動きをつけすぎるのは逆効果だという。下記に効果の出る動画クリエイティブ作成のためのTipsをまとめてみた。
① 複数箇所を同時に動かすのはNG
複数の訴求ポイントを目立たせたいがゆえに、複数箇所を同時に動かしてしまうのは気が散ってしまい逆効果になる。「伝えたいところ」は一か所にフォーカスし、強弱をつけることが大切だ。
② 激しすぎる動きはNG
激しい点滅や、スピードが早すぎて可読性の低い文字の動きなどは、ユーザーにとって視覚的に不快感を与えかねない。それ以前に、LINE広告の審査に「不快な表現」として抵触する可能性が高いので避けよう。
③ 商材と関係のないビジュアルは入れない
スライドショーに、商材とは関係のないビジュアルを入れ込むことは誤解につながるため、広告審査に通らない可能性が高い。サブリミナル効果を狙った演出もLINE広告ではご法度だ。
④ 動画の最初と最後は広告内容がわかるような画に
動画の冒頭、あるいは見終わって静止したタイミングでも広告の内容がわかるようにしておくことで、ユーザーに商材を印象づけることができる。背景色だけ、風景だけのような内容がわからない絵は避けよう。
⑤ 音声がなくても意味がわかるようにしておく
動画広告は音声がオフの状態で視聴される場合もある。音声がなくても訴求メッセージが伝わるように字幕を活用しよう。
LINE広告は、情報を盛り込みすぎず、シンプルな方が可視性も高まります。UGC(ユーザー生成コンテンツ)など、手作り感のある動画の効果も高く、手の込んでいないシンプルな動画でも成果が上げられるんです。
「作りこんだ動画でなければ……」などと躊躇していては機会損失につながります。まずは、簡単な動きのものでトライしてみてください!(相樂氏)
動画のアテンション力&情報量で、新しいターゲットに訴求
静止画広告に比べた動画広告の特長としては下記が挙げられる。
- 動きがあるためユーザーのアテンション(注意)を引きやすい
- 強調したい部分をわかりやすく目立たせられる
- 尺があるため情報量を盛り込みやすい
- 時間軸でストーリーを見せることができる
動画広告は、工夫次第で静止画よりも魅力的な広告に見せられるということだ。
相樂氏によると、静止画クリエイティブを、簡単な動画クリエイティブに作り替えて配信してみたところ、多くのケースにおいて、動画フォーマットのほうがCTR(クリック率)は向上したという。
もちろん、全体の配信数およびインプレッション数は静止画のほうが多いですが、「LINE NEWSをよく見る」など特定の面を好むユーザーには、静止画よりも動画の方がリーチしやすく、コンバージョンも高い傾向にあります。静止画とは異なるユーザーにリーチできるので、静止画と動画の両方を配信することで、より幅広い層に訴求することができます(相樂氏)
静止画と動画、両方のクリエイティブを設定しておくのは、「ユーザーの取りこぼし」を防止する、LINE広告の“鉄板テクニック”だ。より効果が高いものに配信が絞りこまれていくというLINE広告の特性上、やっておかないと損ともいえる。まだ動画にチャレンジしていない企業は、ぜひ試してみてほしい。
日本国内でMAU9,600万人(2023年12月末時点)という圧倒的な利用者数を擁するLINE。老若男女、幅広いユーザーにリーチできるLINE広告だが、その配信面のなかでも、もっともユーザーに見られている「トークリスト」に動画広告を出せるようになったことで、より動画広告の価値が高まっている。
動画はクリエイティブの作成が大変だと思われがちだが、ここまで紹介したとおり、「シンプルなもので十分効果を上げられる」と相樂氏も太鼓判を押している。
静止画よりも注意を引きやすく、CTRが高い動画広告。静止画だけでは取りこぼしてしまう層にリーチし、より広告の効果を高めるためにも、ぜひ本記事を参考に、動画広告にチャレンジしてみてはいかがだろうか。
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