2016年にリリースされたコカ・コーラの公式アプリ「Coke ON(コークオン)」。対応自販機でドリンクを購入するごとにスタンプがたまるほか、電子決済機能やドリンクをお得に買えるサブスクリプションサービス、独自の電子マネーなども備える。
2024年2月末時点でCoke ONのダウンロード数は5200万にのぼり、対応する自販機は約48万台となる。
また4月には新機能として「自販機チャージ」がリリースされた。自販機に現金を投入して電子マネーをチャージできるほか、ドリンクを購入した際のお釣りのチャージも可能だという。
Coke ONのこれまでの歩みや「自販機チャージ」の特徴、展望を日本コカ・コーラの永井宏明氏に取材すると共に、新機能を体験してみた。
約48万台の自販機で使える「Coke ON」の特徴
コカ・コーラの公式アプリ「Coke ON」では、次の機能が提供されている(2024年3月現在)。
- ドリンク購入ごとにスタンプがたまる「スタンプカード」
- 歩数目標を設定して、クリアするとスタンプがたまる「Coke ON ウォーク」
- キャッシュレス決済機能「Coke ON Pay」「Coke ON IC」
- コカ・コーラ独自の電子マネー「Coke ON Wallet」
- ドリンクをお得に購入できるサブスクサービス「Coke ON Pass」
- ドリンクをお得に購入できる回数券「Coke ON ドリンク回数券」
- コークオン限定のキャンペーン企画への応募
- 自販機で独自の電子マネーをチャージできる「自販機チャージ」※1
Coke ONは、さまざまな外的要因で自販機製品の販売数が伸び悩むなか、消費者と直接つながり継続的な購買関係を構築するための施策として誕生しました。
当時、コンビニカフェの浸透やオフィス内のリフレッシュメントコーナーの充実、自販機製品の販売価格の引き上げなどを理由に、自販機離れが起きていました(永井氏)
Coke ONのサービス開始以前にもプロモーションやキャンペーンを仕掛けていたが、全国の自販機にポスターを貼る、応募ハガキを手作業で管理するなど効率が悪かった。そのうえ、無人なので消費者のニーズに沿ったアプローチも困難だったという。
そこで、コカ・コーラの販売チャネル部門とマーケティング部門がタッグを組んでCoke ONを開発。スマートフォン経由のアプローチに切り替えたことで、消費者とのタッチポイントが広がった。現在、ダウンロード数は5200万を突破。従来の自販機のコアユーザーである40代〜50代の男性だけでなく、Coke ONのユーザーは10代〜60代までと幅広く、女性ユーザーも多いそうだ。
Coke ONではキャッシュレス決済にも注力しており、現在のCoke ON Pay登録者は1000万人を超えている。Coke ONの全取引のうち、71%(Coke ON Pay:60%と電子マネー・タッチ決済:11%の合計)がキャッシュレス決済だという。
Coke ONを使う際は、スマホの「Bluetooth設定」と「位置情報サービス設定」がオンの状態でアプリを起動し、自販機の金額表示部の黄色く点滅しているバーに近づける。接続されるとバーが青色に変わる。
新機能「自販機チャージ」を試してみた
Coke ONでは2024年4月以降、新機能「自販機チャージ」が全国約30万台の自販機に随時導入される。これは自販機で電子マネー「Coke ON Wallet」がチャージできるサービスで、次の2通りのチャージ方法がある。
チャージ方法1現金チャージ
現金チャージの手順は、次のとおりだ。
- Coke ONを起動して自販機に接続する
- 支払い方法の選択で「Coke ON マネー 現金チャージ」を選択する
- 現金を投入し、画面上の投入金額を確認する
- 自販機に表示された「認証番号」を画面で入力する
チャージ方法2おつりチャージ
おつりチャージの手順は、次のとおりだ。
- Coke ONを起動して自販機に接続する
- 支払い方法の選択で「現金/電子マネー」を選択する
- 自販機で購入したい製品のボタンを押す
- 現金を投入すると製品が搬出され、おつりがチャージされる
「現金チャージ」「おつりチャージ」いずれも、チャージできる金額は自販機ごとに異なる。ただし、どの自販機も紙幣は1000円札のみ利用可能だ。
同サービスは、約48万台のCoke ON対応自販機のすべてではなく、約30万台で提供予定となる。自販機本体にも開発が必要になる関係で、古いタイプの自販機では実装が難しいとのこと。
開発の背景には、「キャッシュレス利用者を拡大したい」という狙いがある。
Coke ON Walletは2022年11月の提供開始から、ほぼ計画どおりに利用者や利用金額が推移しています。とはいえ、未だに現金派は少なくありません。
自販機はもっとも身近に利用できる販売チャネルの一つですし、普段使っている小銭を手軽に電子化できるため、Coke ON Walletを利用するハードルが下げられるだろうと考えました(永井氏)
ユニークデータを活用した「CRM施策」も利用増に貢献
Coke ONの利用者数が順調に伸びているのは、利用できる自販機の数が多く、お得にドリンクを購入できる点が大きいようだ。加えて、「ドリンクを買う」だけにとどまらないサービスの幅広さも利用促進につながっている。
ポイ活好きの方がCoke ON ウォークを使ってポイントをためたり、コンビニやスーパー、ECでドリンクを購入した方がアプリからキャンペーンに応募したり、自販機での購入時以外もアプリを活用いただいています(永井氏)
そうして利用者を拡大したことで、次のような膨大なファーストパーティデータを取得でき、CRMに役立てているという。
- 利用者がいつ、どのようにアプリを利用したか
- どんな製品をどのくらい購入したか
- どんなキャンペーンに応募したか など
たとえば、購入製品のカテゴリや購入頻度、各サービスの利用頻度などでターゲティングして個別のオファーを送るなど、コミュニケーションの質の向上を図っています(永井氏)
具体的な数字は非公表だが、Coke ONの導入により自販機製品の売上が伸びているという検証データも出ているそうだ。今後も利用者のニーズに寄り添い、利便性を追い求めていきたいと永井氏は展望を語った。
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