みなさんの、Google Discoverでの今日の調子はどうだろうか? あるいは、ここ数か月のことを考えれば、次のように聞くべきかもしれない
Google Discoverの最近のアップデートで、どんな影響があっただろうか?
というのも、私のようにメディアでSEOに携わっている人や携わったことがある人なら、この質問をしたことがあるか、またはされたことがあるに違いないからだ。メディアでなくても、SEOコンサルタントやコンテンツ制作に従事している人なら、同じ質問をされたことがあるだろう。
グーグルは、2023年第4四半期に最悪の展開を用意していた。ヘルプフルコンテンツに関連する重要なコアアップデートが、小規模なシステム変更がリンクしたことで、影響が広範囲に及ぶ流れになったのだ。
Discoverフィードの業務を日課にしている人のなかで、Discoverで得られるトラフィックについて同僚や知人に尋ねてまわった人もいたことだろう。メディアコンテンツのオーディエンスを担当する人であれば、「特定のソースからのトラフィックが減少したときに、それが一般に見られる現象かどうかを確認する」のは、普通の行動だ。
そうした行動の目的は、その日のトラフィックが想定どおりでない場合に、次のどちらかをするためだ:
- こちらに原因がない場合に、どういう状況になっているかを社内にフィードバックするため
- 何か技術的な要因による可能性がある場合に、編集チームに注意を促すため
Discoverは、変動が大きい。しかしすべてが無作為というわけではないため、戦略とスキルが重要であることに変わりはない。
Discoverに表示させるためのコンテンツ最適化について、君はきっと多くのガイドを読んだことがあるだろう。この記事はそうした単なるガイドの1つではない。その理由は次の2つだ:
今日のパブリッシャーにとってDiscoverというチャネルの重要性を状況に応じて理解することは極めて有効だから
Discoverというチャネルについて懸念を抱いているという点でも共通している、最高の専門家たちの見解を集約している記事だから
ぜひ最後まで読んでほしい。次のような価値を得られる:
Discoverに表示されるようにするには(ひいてはトラフィックの獲得という恩恵を受けるには)記事に何を追加すればいいかを学べる
Discoverの新機能や、最新のコアアップデートによる影響についても学べる
コンテンツを最適化できるツールや、Discoverのトラフィックを測定できるツールの情報を把握できる
Discoverに関する著名な専門家たちの見解を学べる
Google Discoverとは
ほとんどの人(SEO担当者も)にとって、グーグルと言えば、
- Google検索
つまり検索エンジンのことだ。しかし、テクノロジー業界では、他にもよく話題になるチャネルがある。次の2つだ:
- Googleニュース
- Google Discover
Googleニュースは、デスクトップとグーグルのモバイルアプリケーションで利用できるニュースアグリゲーターで、メディア(メディアとしてグーグルが検証を済ませている媒体)が公開しているさまざまなコンテンツが表示される。
それに対してGoogle Discoverは、モバイルデバイスのユーザー向けにパーソナライズされたコンテンツフィードだ(デスクトップでも表示される場合がある)。しかし、まずGoogle Discoverとは何なのかを理解してから、新しい機能について解説しよう。
Google Discoverは2018年に導入され、当初は一部の国で限定的に展開された。その後すぐにトラフィックを押し上げる効果が明らかになり、広く注目されるようになった。
最初は、モバイルデバイスからの直接トラフィックがなぜか急増していることに、一部のSEO専門家・ブロガー・その他のコンテンツクリエイターが気づいた。Google DiscoverはGoogleアナリティクスで測定できなかったため(現在も測定できない)、Discoverのトラフィックを追跡する方法についての情報が明らかにされて初めて、このチャネルとの関連性が十分に理解されるようになった。
Discoverの動作を把握することの難しさをイメージしてもらうために、ドイツのメディアサイトt-online.deでSEOおよびオーディエンス開発担当ディレクターを務めるヴァレンティン・プレッツァー氏がDiscoverの参照元として検出したさまざまな参照元の一部を以下に示す。
Google Discoverに表示されるコンテンツの種類
Google Discoverにはどのような種類のコンテンツが表示されるのか
これが、みんなが知りたがっている疑問(と回答)だろう。グーグルはこれまで何度も次のように述べている:
(Discoverの)コンテンツはユーザーごとにパーソナライズされており、フィードはユーザーのアクティビティに関するデータを収集して作成されている
この「ユーザーのアクティビティに関するデータ」とは、具体的に言うとグーグル登録ユーザーのデータで、次のようなものがある:
- 過去の検索
- 閲覧した動画
- ニュースのインタラクション(クリック)
- 位置情報
- フォローしたトピック
検索との違いとして最も重要な点は、次のように整理できる:
検索では、私たちは「能動的に情報を探したりクリックしたりする」
Discoverでは、私たちは「受動的に情報を受け取る」
ユーザーとしての行動はスクロールとタップだけだ。自分のユーザーデータにあわせてグーグルが選んだコンテンツが表示されるという点では、ソーシャルネットワークのフィードのようだ。
2023年10月、グーグルはデスクトップにDiscoverフィードを追加するテストを実施した。すでにソーシャルネットワークでフィードを公開しているユーザーもおり、グーグルはこの機能の追加をテストしていることを認めている。
Google Discoverはすべての国で利用できるのか、どの国でも同じように重要なのか
iOSデバイスでは、GoogleアプリまたはGoogle ChromeにアクセスすればGoogle Discoverが見つかる。それに対してAndroidデバイスでは、グーグルの検索エンジンがデフォルトでインストールされているため、Googleアプリで左にスクロールするとGoogle Discoverにアクセスできる。
この情報を考慮すると、Androidデバイスの利用率が高い国では、Google Discoverの利用が増え、したがってWebサイトへのDiscoverトラフィックも増えると予想される。
国別のiOS/Android利用比率は、StatCounterのデータで確認できる。たとえば欧州をみてみると、2023年には67.9%のユーザーがAndroidデバイスを持っている。Discoverでの表示はDiscoverトラフィックの獲得に直接影響することから、国によって重要性が変わる。この期間の同じデータによると、Androidデバイスの利用率が特に高い国々は欧州と中南米に位置している。
これとは逆に、米国市場ではアップルのOSを選ぶ傾向が強いため、iOSへの浸透がはるかに重要となる。同じ時期の市場シェアはアップルのデバイスが55.4%であるのに対し、Androidは44.3%だ。
Google Discoverがパブリッシャーにとって重要な理由と、獲得が見込まれるトラフィックボリューム
Google Discoverは今日のメディアにとって最も重要なトラフィックチャネルの1つであり、ニュースメディアによっては最大のトラフィックソースになっているところもあるだろう。
メディアのオーディエンス担当マネージャーたちは、業界内でGoogle Discoverのデータやトラフィック比率を公開したがらない。ある種の機密情報の1つだからだ。しかし、冒頭で約束したように、この記事は単なるガイドではないので、パブリッシャーの視点から見たDiscoverの重要性を示すデータを紹介したい。
私は、ニュースの消費をリアルタイムで測定し、Google Discoverでフィルタリングできるツールのチームに相談してみた。次の2つのツールだ:
どちらも、メディアのSEOチームには必須のツールだ。というのも、Googleアナリティクス4では過去30分間にトラフィックがどこへ向かったかの概要しかわからず、ニュース速報が入った場合に数秒で意思決定を下さなければならないニュースルームにとって、それでは不十分だからだ。
Marfeelは、Discoverからのトラフィックを初めて追跡して把握できるようにした測定ツールだ。同社は世界中のパブリッシャー3000社以上を調査した結果として、次のことを明らかにした(平均値であり、公式には確認されていないが、この分野の専門家の間ではデータとして共有されている):
Discoverは現時点でトラフィック全体の20%〜25%を占め、全体で2位のトラフィックソースになっている。
メディアトラフィックの32%〜35%を占める最大のチャネルはGoogle検索だ。
もう1つの測定ツールであるChartbeatは、2023年3月の時点でDiscoverのトラフィックをモニタリングできた。同社から聞いた社内調査の結果によると、世界のパブリッシャー4500社以上を対象にしたデータでも、Discoverは非常に大きな割合を占めているという。Chartbeatが提供してくれたDiscoverの国別比率データを見ると、各地域のパブリッシャーにとってこのチャネルがいかに重要かわかる。
以下のグラフで分かるように、Google Discoverのトラフィックが突出していることを示す2つの明確なパターンがある。それはスペイン語圏と欧州諸国だ。
さまざまなニュースメディアのSEO担当者と話をしてきた私の経験から言えば、Discoverの重要度はさらに極端な場合もある。Discoverのトラフィックが最大70%や80%になることもあるのだ。実際、LiberationでSEOを担当するジョーダン・サックシック氏は、次のように話してくれた:
フランスでは、パブリッシャー(人々のウェブサイト)によっては、DiscoverがSEOトラフィックの80%にもなることがある!
世界の他の地域に目を向けると、台湾のTNL Mediageneでプロダクトマネージャーを務めるデイジー・ウー氏は、次のように話してくれた:
映画や番組のサイトと料理サイトの場合、Discoverからのアクセスは全体の20%に届かない程度だ。しかし、ライフスタイルに関するサイトでは、Discoverからのページビューが全体の45%に達することもある。
Google Discoverとパブリッシャーは愛憎関係にあるのか
好きから嫌いになるのは、ほんの一歩だと言われる。実際、Google DiscoverはメディアやコンテンツのSEO担当者に多くの喜びを与えてくれるだけでなく、多くの厄介な問題ももたらしている。というのも、2023年10月の最後のコアアップデートで起こったように、何の説明もなく一晩でトラフィックが消えてしまうことがあるからだ。
だからこそ私は、業界で最も著名なGoogle Discoverやニュースの専門家たちに、Discoverというプラットフォームが何を意味するか、自分ならどう定義するかを聞いてみた。各氏の見解を紹介する。
Discoverは、パブリッシャーがオーディエンスとつながって忠実な読者層を築けるようにするレコメンデーションエンジンだが、極めて予測不能であり、ニュースサイトのオーディエンス獲得の基盤にするべきではない。
Google Discoverは現在、各サイトがグーグルからオーガニックトラフィックを受け取る最大の機会の1つとなっている。1本の記事から1日のクリック数が数百万回に達したサイトもある。
とはいえ、Discoverに表示させるにはどうすればいいかは、わかりにくい。グーグルは、Discoverで何が有効か(または有効でないか)についての一般的なガイダンスしか提供していないため、多くのサイトオーナーは、自分のサイトがDiscoverでどのように表示されるかを知ることが可能なのかどうかすらわからずに困惑している。
我々は多くのパブリッシャーと協力し、Google Discoverのパフォーマンスに対して独自の編集戦略を策定し、SEOとDiscoverに合わせてコンテンツを別々に最適化する方法を理解できるようにサポートしている。
パブリッシャーの社内SEO担当者である私にとって、DiscoverはニュースSEOの最も興味深い部分となった。その理由はトラフィックにもあるが、私はこれをキーワードのない検索エンジンへと向かうグーグルの進歩と考えているからだ。
基本的な記事の最適化と継続的なオーディエンスの追跡ができれば、Google Discoverは信頼できるトラフィックソースになる。しかし、グーグルがいずれルールを変更するのはわかっている。我々はグーグル検索に対応し、Googleニュースに対応し、そして新製品にも対応していく必要があるだろう。
Google Discoverは、従来の検索結果ページよりもソーシャルメディアのフィードに似ており、検索履歴や検索結果のインタラクション(記事やサイトなどのクリック)に応じたユーザーの好みに関するグーグルの理解に応じて結果が表示される。
共感されやすい記事や、最近のニュースについて信頼できる記事が表示されることが多いようだ。
我々は、大量のコンテンツのビジビリティを高めようとするグーグルの初の試みが成功している状況を目にしている。
Google Discoverは、最も中核的なコンテンツの影響力を増幅できるソーシャルネットワークのようなものだとパブリッシャーから誤解されることもある。しかし実際にはGoogle Discoverは、ファネルの最上部(トップオブファネル、認知の初期状態)に適切な方法で働きかけ、質の高い情報源であることを新規ユーザーに示す、パブリッシャーにとって絶好の機会となる。
残念なことに、ほとんどのパブリッシャーはこのチャネルを使って成果につながらないクリックを得ているが、それは方向性も目的もなく戦略を練って、このプラットフォームの真の可能性を無駄にしているからだ。
スポーツニュースに携わる私にとって、Discoverは「あれば助かる」レベルのトラフィックだ。
読者はまだ大半がオーガニック検索から来るが、Discoverは、スポーツ記事の中でも気合いの入ったものや少しひねったものにとって素晴らしい手段となる。たとえば社会全体で応援するような記事や、休憩時間に話題にしたいような記事だ。
パブリッシャーとしては、そうした特定の性質に基づいて読者と記事の関わりを考える新しい手段となる。
この記事は、前中後編の3回に分けてお届けする。前編となる今回は、Google Discoverの概要とそれに対する専門家の見識を紹介した。中編となる次回は、Google Discover向けに記事を最適化する10の方法を説明する。
(中編は6/17公開予定)
※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業Webサイトとマーケティングの実践情報サイト - SEO・アクセス解析・SNS・UX・CMSなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:Google Discoverとは? どんなコンテンツが出る? トラフィックはどれぐらい来る? プロの見解は?(前編) | Moz - SEOとインバウンドマーケティングの実践情報
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