【この連載について】
この連載では、「1週間でGoogleアナリティクス4の基礎が学べる本」を執筆されているウェブ解析士のみなさん(GA4アベンジャーズ)を中心に、初心者が引っかかりがちな疑問・トラブル解決の基礎知識から、知っておきたい役立ちノウハウ、解析の設定事例、個々の機能解説、最新のホットな話題までをお届けします。
今回は、株式会社Task it代表取締役である佐々木秀憲さんによる解説です。
【今回のポイント】
- 日々刻々と変わっていくGA4の新機能・変更点をチェック
- 2023年1月10日:eコマースのディメンション・指標が増えました
- 2023年4月12日:コンバージョンのカウント方法追加
- 2023年6月1日:ビジネス目標別のコレクション追加
- 2023年10月17日:一部アトリビューションモデルの終了
- 2024年2月28日:「メインのチャネルグループ」新登場
- 2024年3月27日:「コンバージョン」が「キーイベント」に名称変更
など
2020年10月に正式リリースされたGoogleアナリティクス4(GA4)も、すでにリリースから3年半が経とうとしています。
日々刻々と変わっていくGA4の新機能や変更点のなかから、特に「これは知っておいたほうが良いだろう!」と思ったものをご紹介します。
GA4、2023年1月から2024年4月までの変化を追う
2020年10月に正式リリースされたGoogleアナリティクス4(GA4)も、すでにリリースから3年半が経とうとしています。
今回の記事は以下のような皆様にオススメの記事です。結構、共感いただけるのではないかと(笑)。
- リリース当初は「へー、新しいバージョンが出るんだ~、まぁUA使うから関係ないけど…」
- 2022年頃「え? 2023年7月でUAが止まる? やば! ちゃんと使えるようにならなきゃ…!」
- 最近では「とりあえず入れたときに少し触ってみたけど、なんかけっこう画面とか違ってない?」
こんな方、多いのではないでしょうか?
そんなみなさまに、日々刻々と変わっていく(ちょっと言い過ぎですかね…)GA4の新機能や変更点のなかから、特に「これは知っておいたほうが良いだろう!」と思ったものをご紹介していこうと思います。2023年1月から執筆時点(2024年4月)までの限定的な内容です。なおこれらの変化は、あくまで筆者視点で「これは!」というもののみのご紹介ですので、すべてを網羅はしていません。ご了承ください。
2023年
では、2023年1月から順を追って見ていきましょう。
2023年1月10日:eコマースのディメンション・指標が増えました
eコマース設定はリリース当初からできていたものの、レポートが弱かったり、取れているはずのデータが画面上で見られなかったりしました。
ここでのアップデートで、大幅にeコマース系のディメンション・指標が拡充しました。たとえば、カートに追加されたアイテム数、決済されたアイテム数、送料、税額などです。
2023年3月14日:「カスタムチャネルグループ」実装
長らく待ち望まれていた「カスタムチャネルグループ」がついに実装されました。
「カスタムチャネルグループ」というのは、Googleが定めている、流入元の大分類である「デフォルトチャネルグループ」に対して、自社基準でカスタマイズしたチャネルを作成できる機能です。たとえば、外部サイトからの流入は通常「Referral」に分類されますが、自社所有の別サイトからの流入などは「Group Site」として、別分類にするといった使い方ができます。
作成は「新しいチャネルグループを作成」から可能。
編集は「管理>データの表示>チャネルグループの画面」から可能です。
作成したカスタムチャネルグループは、ディメンションとして選択できるようになりますし、「メインのチャネルグループ」(後述)に設定すると、集客>チャネルレポートで最初に表示されるレポートにすることもできます。
2023年3月22日:アカウント配下に作成できるプロパティ数、激増
もともと1つのアカウントの配下に作成できるプロパティ数は100が限度でしたが、今回のアップデートで2,000に増えました。なかなか100プロパティが必要なこと(100サイト持っているなど)はないとは思いますが、安心して使えるようになりました。
2023年4月12日:コンバージョンのカウント方法追加
もともとはコンバージョンのカウント方法は「イベントごと」のみでした。つまり、コンバージョンとして設定されているイベントが発生したら、その都度コンバージョン1件目、コンバージョン2件目と記録されるカウント方法です。
そのため、たとえば「thanksページのpage_viewイベント」をコンバージョンと設定している場合、ユーザーがリロードをかけるなどして「thanksページのpage_viewイベント」が発生すると、もう1件コンバージョンが記録されてしまっていました(別途GTMなどを使うことで、リロードの場合はカウントしないと設定は可能でしたが)。
このタイミングのアップデートで、「イベントごと」もしくは「セッションごと」の2択から選択ができるようになりました(ユニバーサルアナリティクスはセッションごと)。状況によりイベントごとが良い場合もセッションごとが良い場合もあるので、「こちらの設定がおすすめ!」とは言い難いのですが、選択できるようになったことは大きな進化でした。
変更するには、管理>データの表示>キーイベント(コンバージョンのこと)画面で、変更したいコンバージョン右側の縦三点リーダをクリックし、「カウント方法を変更」をクリックしてください。
「イベントごと」もしくは「セッションごと」を選択できます。
2023年6月1日:ビジネス目標別のコレクション追加
この日より前にGA4を作成・導入された方はなかなか目撃する機会がない変更かと思いますが、何も知らずにGA4を新規作成すると、レポートの左側メニューが今までとまったく違うため、戸惑ったのではないでしょうか。
こちらが追加される前は、GA4のレポートメニューは「ユーザー」と「ライフサイクル」という大メニューのなかに「ユーザー」「集客」「エンゲージメント」などのメニューがあるという構成のみでしたが、プロパティ作成をする際の選択肢によってはまったく違うものになります。
ちなみに、元に戻したい場合はレポートメニュー下部の「ライブラリ」から、どのコレクションを公開するか? を編集することで可能です(編集権限を持っているユーザーのみ可能)。
2023年8月4日:レポートフィルタで正規表現が使えるように
これまではレポートのフィルタで正規表現が使えず、あまり細かい抽出ができませんでしたが、このアップデートで使えるようになりました。
“正規表現ってなに?”という方のために軽く説明すると、たとえば通常「"column"を含む」というフィルタをかけると、ディレクトリとしての「/column/」配下すべてのページと、「/how-to-write-a-column」のように、ページURL内にcolumnが入っている場合と、両方が絞り込まれます。
しかしながら、正規表現を使って「.*column$」とフィルタすると、「.*」が“何でも”という意味になり、「column$」が“columnの後方一致”ということになるので、つまり「最後にcolumnがある場合」というフィルタに変わります。詳しくは、こちらを参照してください。
参照元:
正規表現(regex)について - アナリティクス ヘルプ
なので、たとえばですがページレポートやランディングページレポートなどで、「/column/ディレクトリと/news/ディレクトリのどちらかに当てはまるものを抽出したい」と思った場合には、フィルタ条件で「正規表現一致」を選び、「.*/column/.*|.*/news/.*」を条件とすることで、抽出が可能になりました。
2023年10月17日:一部アトリビューションモデルの終了
GA4では、「データドリブン」「ラストクリック」「ファーストクリック」「線形」「減衰」「接点ベース」というアトリビューションが存在しましたが、2023年5月に新規プロパティでは使えなくなり、このアップデートにより、既存プロパティでも使えなくなりました。
個人的には、通常はラストクリックにしておき、広告のモデル比較でファーストクリックと比較してみて、実は認知に役立っている広告や流入元を把握する、という目的でよく使っていたので非常に残念です。
2023年10月17日:計算指標の追加
「計算指標」というのは、既存の指標を四則演算するなどして、独自の指標を作成できる機能です。個人的には3月14日のカスタムチャネルグループ同様に、長らく待ち望んでいた機能の1つが実装されたという感覚でした。
たとえば、GA4上には総ユーザー数(全ユーザーの数)と新規ユーザー数はありますが、リピートユーザー数という指標はありません。そこで、非常にシンプルですが「総ユーザー数-新規ユーザー数」という計算をすれば、新たな「リピートユーザー数」という指標を作成できます。
2023年11月14日:管理画面の見た目がガラッと変更に
機能的にはまったく影響ないのですが、ある日画面構成がまったく変わってしまって、どこに何があるのかを把握して、慣れるのに少し時間がかかりました。告知される前に急に画面が変わってあれ? と思って、しばらくしたら、やっと正式に告知されたという感じだったことを記憶しています。
旧来は、ユニバーサルアナリティクスと同様に「アカウント」「プロパティ」と列ごとに区切りがされて管理できるものが分けられていましたが、現在ではカード形式で、「アカウント」「プロパティ」「データの収集と修正」「データの表示」「サービス間のリンク設定」と分かれています。
2024年
ここから、2024年のアップデート内容を紹介していきましょう。
2024年2月28日:「メインのチャネルグループ」新登場
これまでGA4での基本は「デフォルトチャネルグループ」だったため、カスタムチャネルグループを作成しても、チャネルレポートを開くとまずはデフォルトチャネルグループのレポートが表示されました。そのため、カスタムチャネルグループしか見ないような人だと、いちいちプルダウン選択でカスタムチャネルグループを選択する必要がありました。
しかし、この「メインのチャネルグループ」という考え方・機能が登場したことにより、カスタムチャネルグループを「メインのチャネルグループ」に設定すると、いちいちプルダウン選択をする手間が省けるようになりました。
ぜひ、カスタムチャネルグループを使っている方は、併せて使ってみてください。
2024年3月27日:「コンバージョン」が「キーイベント」に名称変更
ただの名称変更と言ってしまえばそれまでではありますが、個人的にはここ最近一番の衝撃を受けた変更内容でした。
簡潔に言うと、GA4上では(広告セクションを除き)「コンバージョン」という名称は使わなくなり、今までコンバージョンと呼んでいたもの(商品の購入、問い合わせ、申し込み、メルマガ登録など)は「キーイベント」と呼ぶように変わったということです。
「コンバージョン」という言葉はなくなってしまうわけではなく、Google 広告上では引き続き使われます。
Googleの説明では、ツール間で同じ言葉を使うことによる混乱を避けるための処置とのことでした。Google 広告との関連では、今までどおりGA4のキーイベントを元にコンバージョンを設定することもできますし、Google 広告とGA4を連携して、コンバージョンも設定している場合は、GA4の「広告」セクションでコンバージョンレポートを見ることもできます。
まとめ
ということで、全新機能というわけではありませんでしたが、2023年以降の主要なアップデート項目をご説明してきました。
久しぶりにGA4を操作する必要が出てきたという方は、ぜひ一度お目通しいただくと違和感なく操作ができるのではないかと思います。
また、新機能が溜まったらこのような記事をお出しできればと思います。
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オリジナル記事:GA4登場から早3年半!「なんか前に見たときと違う」という方向けに主要アップデートをご紹介! | GA4最前線コラム
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