「導入事例」を作った後どうする? 効果を最大限に引き出すための“4つの施策” | 成果につなげる! コンテンツマーケティング最前線

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yu-ta(ゆーた)26歳、会社員 PC.スマホ周辺機器やスマート家電など ガジェットを使って スマートな生活を送っています。 このサイトでは管理人おすすめの 最新の便利ガジェット情報や お得に買えるセール情報を中心に 発信しております。
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BtoBマーケティング支援を行っているGAXマーケティングの佐藤岳氏に「導入事例」についてお聞きする対談の最終回となる第3回のテーマは、作成した導入事例の効果的な活用方法です。聞き手は、Faber Companyの月岡克博です。

「導入事例制作と運用のメソッド」に精通している佐藤氏に、今回はズバリ「受注を呼び込む導入事例の運用」について具体例を踏まえてご紹介いただきます。

導入事例を作ってそのままにしていないか? 使い方を考えよう

ウェブ公開しただけではもったいない! 導入事例活用の幅に迫る

月岡克博(以下、月岡)第1回では「なぜ導入事例は重要なのか」、第2回では「効果的な事例の作成法」を深掘りしましたが、今回は「導入事例の効果的な活用法」について考えていきます。作成した導入事例は、どうすれば使いこなせますか?

Faber Company 月岡克博

佐藤岳氏(以下、佐藤)コーポレートサイトや製品・サービスサイトに掲載したり、リーフレットに掲載したりという活用法は、さすがにほとんどの企業で行っています。しかし、せっかく作成した導入事例が単にサイトに掲載されているだけで、導線が考えられていないケースも多いです。

第2回で紹介したように、読者(=買い手)は購買活動の「情報収集」「比較検討」「稟議申請」のいずれの段階でも参考にしようとしているわけです。この購買活動を考えると、特にBtoBマーケティングにおいては「導入事例」をもっと貪欲に活用すべきです。

導入事例はバイヤーの購買を支援します

導入事例は“引き合い”を呼ぶケースが多い

佐藤作成した導入事例が多くの読者(=買い手)にとって「いま抱えている課題を解決できそうだ」と共感を呼べる内容であれば、「導入事例の内容と同じことをやりたい」と問い合わせるケースが出てきます。

同規模で同じ課題を抱えている同業他社が「●●という製品を導入して〇〇という効果を上げている」「その際に△△と比較したが、●●はこの点がよかったので決めた」という事例を見た場合、この時点で買い手である読者は自ら学習し、すでにリサーチ、比較検討、選定を終えているのと同じ状況になっています。

ここまで持ってこれれば、もう製品を「指名」で問い合わせてくるというわけです。

【導入事例が引き合い獲得につながった例】
  • 航空会社で航空機の機体整備にウェブ会議を活用している事例を閲覧した同業他社が、同様のシステム構成や利用方法で導入を決定
  • 1on1が頻繁に行われる期初、期末の「会議室たりない問題」の解消を目的とした「ウェブ会議用個室ブース」の導入事例を閲覧した同業他社が、同じ個室ブースを20台導入
  • オンラインヨガ最大手の企業の事例を閲覧したフィットネス事業者が、オンラインレッスンのサービスに同じ製品を導入
佐藤岳(さとうがく)氏
2000年より事業会社とサービス提供会社で営業、マーケティング担当者としてBtoBマーケティングに従事。2015年11月に株式会社ブイキューブへ入社し、2016年4月〜2020年12月までマーケティング本部長としてほぼゼロベースで組織を立ち上げ、マーケティング活動からの新規受注を2016年比で9倍へと拡大。コンテンツの企画制作、広告運用、アナリティクスを完全内製化し商談の創出、受注に貢献。得られた知見やノウハウ・ドゥハウを提供するBtoBマーケティング総合支援サービスGAX(ガックス)を2021年1月より提供開始。

月岡導入事例を読んだことで、もうその時点では競合比較も済み、製品も決定した状態で商談ができるわけです。検討フェーズがかなり進んだ状態でパスされた営業はとても楽です(笑)。そうなると「作成した事例を見つけて、読んでもらう施策」が重要になってきます。

佐藤そのとおりです。それでは導入事例の活用法を「ウェブ記事やオウンドメディアでの展開」「メディアの記事広告」「印刷物の配布」「その他」の4つに分類し、体系的に紹介していきますね。

活用法①ウェブ記事やオウンドメディアでの展開

MA(マーケティングオートメーション)での活用例

佐藤導入事例は購買活動のさまざまなフェーズで用いられているだけに、MAツールとの相性が非常に良いです。

月岡MAツールを導入したものの使い切れていないというマーケターや、導入は検討しているけれどもまだ踏み切れないという企業にとっては、関心が高そうな内容ですね。

佐藤単にウェブページやオウンドメディアで公開するのではなく、そこにもう1手法を組み合わせると、効果が格段に上がります。下記のような手法が考えられるでしょう。

導入事例の活用法(1)Web、メール、PDF

導入事例PDFダウンロードフォームを設置

  • ウェブ公開している事例と同内容のPDFをダウンロードさせることで見込み客の情報を獲得
  • 取得する情報はメールアドレスのみにすることで読者のハードルを下げる

ダウンロードした事例と同様の事例紹介メールを送信

  • 導入事例PDFをダウンロードした読者に、同じ業種の導入事例紹介メールを自動配信
  • 導入事例紹介メールは、1つのメールで1つの事例を紹介
  • 見込み客が他の事例をダウンロードしたら、その事例に関連する事例紹介メールを自動送信
  • 見込み客が、事例以外の資料ダウンロード、セミナー申し込みや問い合わせをしてきた場合にはその時点でメールの自動送信を停止

CMSとの連携で来訪者と同様の事例をウェブページで表示

  • CRMで見込み客の業種情報を格納しておく
  • 見込み客がウェブサイトへ来訪したら、その顧客と同じ業種、同じ地域の事例を紹介するバナーを自動的に表示

事例ページに誘導してPDFダウンロードを促す

  • 営業担当者名で同業種・同規模の事例紹介メールを自動送信
  • ウェブサイトやオウンドメディア掲載の導入事例への導線としてメールを送信することでナーチャリングに活用

プレスリリースで事例を配信

  • 自社の広報部門と連携してプレスリリースを作成
  • 事例インタビュー先にもリリースを共同作成してもらうとさらに有効

月岡MAツールを導入済みなら、すぐにでも行える施策が多数ありますね。効果を上げた具体的な数値なども紹介いただけますか?

佐藤ウェブページやオウンドメディアでの公開事例から、事例PDFをダウンロードしてもらうのは、商談創出に最もつながりやすい手法の1つです。GAXで支援させていただいているとあるお客様では、事例を公開したことでリード獲得数が約1.5倍へ増加しています。

また、地方自治体でのとある製品の導入事例を公開したところ、その地方の同規模自治体すべてから同じ製品への問い合わせがあり、多くの案件を受注したというケースもありました。

活用法②メディアの記事広告で事例を紹介

導入事例の記事広告の平均滞在時間はそれ以外の記事広告の2倍以上長い

佐藤メディアとのタイアップ記事広告を活用しているマーケターも多いと思いますが、記事広告での導入事例訴求は実に効果が高い結果を得ています。

もともと導入事例は「顧客の生の声で効果を訴求できる」メリットがあるのは最初に紹介したとおりですが、メディアに掲載された導入事例記事広告は、読者観点からするとメディアが介在する分、より客観的にとらえられるわけです。

月岡そもそもメディアに来訪する読者は、そのメディアが扱っているテーマやトピックスに関連する記事を読むために来訪しています。記事広告であっても、読者にとってはメディアに掲載されているコンテンツの一部という認識で閲覧しているので、記事の中身に共感しやすいのかもしれません。

佐藤私は以前、事業会社で約80本の記事広告を出稿しましたが、導入事例の記事広告の平均滞在時間は、それ以外の記事広告よりも2倍以上長かったのです。

また、記事広告のサイドメニューに関連リンクとして、自社のウェブサイトの導入事例記事やサービスサイトへの導線を掲載することで、関連リンク経由での流入やコンバージョンが発生するほか、メディアの記事広告を読んだ方から自然検索経由での流入も多数見られました。

月岡記事の内容に沿った関連リンクは、製品サイトだとしてもクリックされる可能性が高そうです。

佐藤導入事例の記事広告は、連載することで興味関心がさらに醸成されるというメリットがあります。同じ製品の異なるユーザーの事例を掲載するという手法です。そして、関連記事として、それぞれの事例の記事広告を相互リンクさせるのです。

月岡読者が事例の記事広告を回遊してくれるという、理想的な流れが生まれるわけですね。メディア掲載となると、SEOの面でも効果がありそうですが、その点はどうでしょうか?

佐藤そのとおりです。メディアのドメインはそもそも信頼性が高くSEO的にも評価されやすいことが多いですし、事例が扱っているトピックのキーワードで検索上位表示が期待できます。

前述のとおり、事例の記事広告を相互リンクすることで、検索上位表示への期待値がさらに高まります。事例の記事広告自体が、見込客を創出する資産となるのは、記事広告出稿の切り口を導入事例とする大きなメリットの1つと考えてよいでしょう。

活用法③印刷物の配布

業界/業種によっては回覧されるメリットも

月岡ペーパーレス化が進む中、導入事例の印刷物のニーズはいかがでしょうか?

佐藤これは業界や業種によって傾向が異なります。たとえば官公庁や自治体などでは、事例に限らず紙の回覧や稟議書への添付が必要なケースもまだ残っています。特に自治体などは、DMでの郵送という営業手法も、コストを考えると今なお効果的でしょう。

また、展示会などで「実際の展示物を見せるのが効果的」という製品の場合、展示会で配布するにはやはり物理的な紙の印刷物が必要というケースもあります。

第2回で7割超がPDFのフォーマットも重要視という調査結果もご紹介しましたが、A4規格でデザインしたPDFは、印刷も容易に行えます。自社および顧客の業界/業種では今なお紙が有効ということであるならば、制作すべきでしょう。

導入事例の活用法(2)印刷物

佐藤あと意外とニーズがあったのが、代理店へ販促物として紙フォーマットの導入事例提供です。

以前在籍していた事業会社で「製品パンフレット以外に販促物が欲しい」という代理店が多かったのです。「導入事例のパンフレットがあるのでお届けします」というようにアポ取りに使われているケースもあると聞きました。とある代理店には1000部単位で事例の印刷物を提供していたこともあります。

活用法④導入事例の活用法はアイデア次第でますます拡大

「導入事例」=「情報資産」と考えるべき

佐藤他にも、導入事例を活用するシーンはいろいろ考えられます。たとえば展示会のブースにパネルで掲示したり、セミナーやユーザー会で事例を紹介するというのはイメージが付きやすいでしょう。

第1回で「導入事例のインタビューで得た“お客様の本音”をセールストークに活かす」というケースも紹介しましたが、私が在籍していた事業会社では、インタビューで得た情報をインサイドセールス部門がトークスクリプト作成に活用していました。

導入事例の活用法(3)記事広告など

月岡導入事例というと、見込み顧客向けのツールというイメージでしたが、広く「情報資産」と捉えると社内でも活用できる範囲が広がっていきそうですね。

導入事例は「コンテンツの王様」

「作らないともったいない! 使わないともったいない!」と佐藤氏

月岡漠然と「導入事例は効果的だから作らなきゃ」と思っているマーケターの方も多かったと思いますが、3回の対談を通じて「なぜ導入事例が有効なのか」という点と、具体的な作成法、活用法が見えてきました。

マーケティングの課題としてよく挙げられる「バリュープロポジションの確立」や「MAツールを使いこなすためにはどうすればよいのか」という面でも、導入事例は非常に有効なコンテンツだったんですね。

佐藤私には事業会社で2016年から2020年でマーケティング活動を行い、新規受注を9倍へと拡大した実績がありますが、案件創出や受注を増やすための施策としては常に導入事例を重視してきました。

その経験からわかったのは「導入事例はコンテンツの王様」ということです。作らないのはもったいない。そして作った事例を有効活用できていないのももったいない。

ぜひ皆さんも自社の導入事例制作フローや運用を見直して、効果を最大限に引き出してください。

※本文内の写真は、 WeWork 神谷町トラストタワーにて撮影されたものです。
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