2024年第2四半期(4月~6月)は、何というか、「興味深い」ものだったと言っておこう。次のようなことがSEO業界全体を揺るがしたのだ:
- アルゴリズムのアップデート
- 「人工知能(AI)による概要」
- グーグルの大規模な文書流出
こうした動きはローカル検索にも影響を及ぼす可能性がある。私たちの専門分野も猛烈な勢いで変化しているので、早速本題に入ることにしよう。
今回取りあげるGoogleローカル検索の最新トレンドは次の18件だ:
- Googleビジネスプロフィール機能の廃止と、代替機能の可能性
- チャットとメッセージの終了
- 通話履歴機能の終了
- レビュー関連のニュース
- Local Services AdsからGoogleビジネスプロフィールへレビューを切り替え
- レビューの要約
- レビュー機能のレイアウト刷新
- Googleビジネスプロフィールとマップの変更
- 競合他社の情報が表示される新しい機能
- 米国におけるEU式のカルーセル
- 「QRコードは死んだ」などと誰が言ったのか
- 新しいアクセシビリティアイコン
- オーナーの特定
- Googleビジネスプロフィールとマップの変更(続き)
- Googleビジネスプロフィール確認用の動画
- Googleビジネスプロフィールの「AIによる概要」
- SERP表示
- リスティング5件(または4件)の表示
- 常に、すべてローカル
- Googleマップのスパム
- 史上最悪のスパム手法の1つ
- その他のローカル関連
- Appleマップ上でリスティングが「閉業」と表示される可能性がある理由
- プライバシーの向上
- それから、グーグルの流出文書について
Googleビジネスプロフィール機能の廃止と、代替機能の可能性
1. チャットとメッセージの終了
2024年5月末、ソハン・ジェイン氏など複数の人が、Googleビジネスプロフィールのチャット機能とGoogleビジネスメッセージの両方が7月に終了するという通知を受け取った。これらの機能を利用してビジネスリスティングの双方向性向上に取り組んでいたローカルビジネスのオーナーやマーケターにとって、これは残念なニュースだ。
しかし、よく考えてみると、それほど失望すべきことではないかもしれない。おそらくチャット機能やビジネスメッセージは、グーグルが期待していたほど使われていなかったのだろう。
また欧州の複数のユーザーは、これよりはるかに直感的に使える代替機能が表示されると報告している:
SMS(ショートメッセージ)機能や(欧州で人気の高い)WhatsAppをGoogleビジネスプロフィールに追加できる新しいフィールドが表示されるという報告を私が最初に目にしたアカウントは、Francastrokwだ。
これまでにスペイン、フランス、英国で表示されるとの報告をもらっているが、北米でも利用できるようになることを期待しよう。ビジネスオーナーがコミュニケーションチャネルを最大限に管理できるのは良いことだと思うし、これらのオプションがテストされていることを嬉しく思う。より多くのローカルブランドにとって、使いやすくなるかもしれないからだ。
2. 通話履歴機能の終了
一方、マット・マギー氏は、Googleビジネスプロフィールのチャット機能と同時に通話履歴機能も終了すると報告したが、今のところ代替機能は提供されていない。
この機能は以前からバグが多かったが、そのアトリビューション(貢献度)分析機能を評価するローカルSEO担当者も多かった。グーグルがより優れた機能をリリースするかどうか、引き続き注目しておこう。
レビュー関連のニュース
3. Local Services AdsからGoogleビジネスプロフィールへレビューを切り替え
英国の各ビジネスに届いた通知によると、LSA(Local Service Ads)のレビュープロセスがGBP(Googleビジネスプロフィール)のレビューに置き換えられるという。GBPのレビュープロセスはLSAよりもはるかに優れているが、それでもまだ十分ではない
Near Mediaは、Local Service Adsに関する今後の重要な変化に気づいた。7月、英国に拠点を置くビジネスを対象として、問題の多かったLocal Service AdsのレビューがGoogleビジネスプロフィールのレビューに切り替わるというのだ。
Near MediaがXで指摘しているように、どちらもスパムレビューの問題は深刻だった。とはいえGoogleビジネスプロフィールのプロセスの方が若干優れているため、この措置は改善と言えるだろう。
詳細はNear Mediaのディスカッション動画で確認できる。グーグルが今後、これをグローバルに広げるか注目だ。
4. レビューの要約
GoogleビジネスプロフィールでSGE(生成AIによる検索体験)が表示される。
モバイルでの位置は、ビジネス名とローカルナビゲーション要素の下だ。
個人的には、まったく不要だと思う。
ローカルブランドは知っておくべきだろう。
ギャレット・サスマン氏は3月、AIによるこのレビュー要約テストを発見した。しかし、その後は表示されなくなったという。
グーグルのSERPでローカライズされたAIコンテンツが表示されなくなったことに気づいたのは私だけではないようだ。2023年7月、私はSGEのラボ環境でローカル検索クエリの90%が以下のようなAIによる結果を返していたことを報告した:
しかし、5月に「AIによる概要」がリリースされて以降、私はこの種の表示を一度も目にしていない。いずれは何かが表示されるだろうが、AIの利用に関して言えば、ローカル検索はオーガニック検索と比べて今のところ特に変化はないように思われる。
5. レビュー機能のレイアウト刷新
ジョイ・ホーキンス氏は、Googleビジネスプロフィールでレビューの報告や返信ができる、この気の利いた新しいレイアウトのスクリーンショットを投稿した。自分が管理しているアカウントにログインすると表示される。
Googleビジネスプロフィールとマップの変更
6. 競合他社の情報が表示される新しい機能
アイルランドのスティーブ・ホワイト氏が最初に報告した表示形式は、私も米国で確認できた。
Googleビジネスプロフィールのスクリーンショット内で丸で囲んだ矢印をクリックすると、ローカルパックの次のリスティングに移動する。一種のスクロール操作であり、他にも広い範囲で多くの人に表示されるのか知りたいところだ。
直感的に、現在表示されているビジネスの詳細情報が表示されると思うかもしれない。この矢印をクリックすると別のビジネスが表示されるとは思わないだろう。しかし実際には、矢印をクリックすると他のビジネスの情報が表示される。
言うまでもなく、ローカルビジネスのオーナーは自分のリスティングで競合他社が目立つような機能を喜ばない。それも無理はないが、リスティングはすべてグーグルの機能であることを思い起こす必要がある。
7. 米国におけるEU式のカルーセル
EU(欧州連合)域内のローカル検索結果で起こっていた、デジタル市場法(DMA)に関連しているとみられる大きな変更について、私は3月に記事で書いた(リンク先の1つ目の項目)。その記事で紹介したEU式カルーセルは、ローカル検索において、Googleマップ以外のローカル情報サービスの項目を検索結果に含んでいるというものだ(たとえばTripadvisorやYelpのカードが表示される)。
これと同様のもの米国のグーグル検索結果でテスト表示されているのをデビッド・ミーム氏が発見したと、グレッグ・スターリング氏が4月に教えてくれた。
これについては、検索の中でも報道が少なくあまり注目されていないと私が感じている分野だ。米国民は、プライバシーや独占禁止について法制化を進めているEUの取り組みから恩恵を受けることになるのだろうか?
ここで本題から少し脱線する。というのも、DMAのシナリオは、米国で食品メーカーに遺伝子組み換え原料の表示を義務付けようと長年続けられてきた懸命な努力を思い起こさせるからだ。
一般的な認識として、バーモント州などで遺伝子組み換え原料の表示を法制化できれば、ケロッグなどのメーカーは自社のコーンフレークのすべてのパッケージに「原料は普通のトウモロコシではなく遺伝子組み換えトウモロコシだ」と記載しなければならなくなる(1つの州のためだけに特別なパッケージを用意する費用をかけたくはないだろう)。2014年、バーモント州は法制化を果たし、その後2年以内に、ケロッグは州レベルではなく米国全域で一部の商品へのラベル表示を始めた。
もちろん、ウェブは実体のある商品ではないので、グーグルはケロッグのように表示を統一する必要はない。米国では米国向けのインターフェイスのバージョンを展開し、英国では別のバージョン、オーストラリアではまた別のバージョンを展開できる。
しかし、グローバルブランドとその多国籍からなるスタッフは、米国より欧州の方が独占が少ないであろう状況について、あるいは米国より欧州の方がプライバシーが守られているであろう状況について、どう感じているのだろう? 何もかもが、かなり不平等に感じられる。
おそらくいつの日か、世界規模で合意できるだろう。いずれにせよ、北米のローカルSEO担当者に対しては、検索をめぐる欧州の法規制に常に注意しておくようアドバイスしたい。
8. 「QRコードは死んだ」などと誰が言ったのか
このQRコードは、Googleマップのデスクトップ版で新たにテストされているようだ。
テキサス州オースティンで人身障害を専門とする弁護士のこのリスティングを見ていたら表示された(Chromeのシークレットモードだった)。
QRコードのリンク先はここだ(Googleマップの同じ項目へのリンクで、URLパラメータとして
utm_campaign=tt-qrp
が付いている)。
QRコードなんてもう古いと思っていた人は、実際に表示されているのをジャスティン・モーズバック氏など複数の人が見つけたことを知って驚くかもしれない。私は初め、このコードがウェブサイトにリンクされていると思ったのだが、その意図されている機能は、以下でモーズバック氏が説明している通りだ。
Miriam Ellis
もしかして、Googleビジネスプロフィール上でQRコードを読み取ると、Googleマップの同じリスティングが表示されるだけ?
Justin Mosebach
そう。このスクリーンショットはデスクトップで撮ったものだ。用途として、僕はデスクトップで作業していて、場所を調べている。
必要な場所を選んだとしても、今度はスマホでその場所への行き方を調べる必要がある。
自分宛てにリンクをメールする(など)しなくても、スマホですぐに開けるんだ。
QRコードについては、リスティング用にQRコードを作成する方法など、ここ数年ローカル分野でかなり話題になっている。
QRコードはまだ有効なのか、それとももう使い物にならないのかについて多くの解説記事が書かれているが、2024年の時点でこれらの機能が実際どれほど使われているのか理解を深めるためにも、大規模で正確な調査を実施してほしいところだ。
9. 新しいアクセシビリティアイコン
これまでにGoogleビジネスプロフィールで車椅子対応のアイコンを見たことがあるか、はっきり思い出せない。
このアイコン上にカーソルを置くと、「At the entrance」(入口で)とまで表示される。
ベン・フィッシャー氏は、Googleマップで一部のリスティングに便利な新しいアクセシビリティアイコンが表示されているのを見逃さなかった。これらのアイコン表示は特定のビジネスの属性に紐付けられていると思われる。
しかし、同氏のスレッドへのコメントによると、アクセシビリティ情報を制御する機能は廃止されたようだ。それがどうなったのか、私は時間がなくて調査できていないが、該当するビジネスで新しいアイコンが表示されるような場合は特に、そうした機能が使えればいいのにと思う。
考えてみると、簡単な記号から膨大な情報を直感的に読み取れてしまうのは驚くべきことだ。スマイルマーク、星、共有ボタンなど、私たちはウェブサイトを見るたびにこれらの記号を解釈している。ローカルビジネスのリスティングに表示される記号が、画面上のほんの数ピクセルのスペースを駆使して一般ユーザーに情報を伝えていることを思うと興味深い。
10. オーナーの特定
バリー・シュワルツ氏はGoogleビジネスプロフィールで、あるソフトウェア企業のオーナーの名前が表示されているのに気づいた。大手ブランドの最高経営責任者(CEO)の名前など、ローカル以外のナレッジパネルに表示されるデータなら誰もが見慣れているが、この属性はNew Merchant Experience(NMX)のフィールドではなくFast Companyのサイトから取得された情報であり、私は初めて見た。
この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。今回は、18の最新トレンドのうち10個を紹介した。後編となる次回は、残る8個のトレンドを見ていく。(後編は10月28日公開予定)
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オリジナル記事:Googleローカル検索 最新18トレンドまとめ(前編) | Moz - SEOとインバウンドマーケティングの実践情報
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