砂の量を2倍にすると、砂時計の砂が全部落ちるのにかかる時間は…?
~~ビール屋さんにて~~
このお店のこのビールは3度注ぎなんだ。3度注ぎって、その名の通り、3回に分けて注ぐんだけど、注ぐタイミングを砂時計で測っているんだよね。これがおいしいんだなー。
砂時計を使うのって、カッコイイ! 砂時計って、美しさと切なさと心強さがありますよねー。手からこぼれていく砂を想像させるようで…。
なんか詩的。ところで、測れる時間と砂の量が比例するとしたら、砂の量を2倍にすると、全部落ちるまでの時間は2倍だよね。
感覚的にそう思います。
加えて、測れる時間と中央のくびれの断面積は反比例するとしよう。すると、中央のくびれの断面積を半分にしたら、落ちる時間は2倍になるよね。
なんか、通りの悪そうな砂時計ですね。はい、そういう感じですよね。
ここに5分で砂がすべて落ちる砂時計があります。砂の量を2倍にして、くびれの部分を半分にした砂時計は、何分ですべての砂が落ちるでしょうか。
ん? 量が多くなってくびれが半分だから5×5で25分?
正解は20分でーす。アユムさんが計算している間にビールのんでるねー。マスター!
昔から、算数も数学も苦手なアユムは、希望が叶ってマーケティング部門に異動してきました。Web担で見るような「すごいマーケターになりたい!」と胸を躍らせていたが、配属後、理想と現実のギャップに苛まれることに。データ、数字、%、小数。うわぁーん、どうしたら、数字に強くなれるのでしょうか……。
そこに現れたのが、大人向け数学教室「大人塾」を運営し、数学苦手な社会人に対して指導をしているアジアゾウをこよなく愛するモリさん。
この記事を読むべき人:反比例をよく理解していない方
この記事を読む必要がない人:反比例の計算をできる方
この記事でわかること:反比例の考え方と計算方法
まずは解いてみよう
モリさん、モリさん
はーい、イマジナリーモリです。アユムさんの脳に直接語りかけています。
意外と芸達者ですね。ところで、先輩から砂時計の問題が出されました。
どれどれ見せてください。「5分で砂がすべて落ちる砂時計があります。砂の量を2倍にして、くびれの部分を半分にした砂時計は、何分ですべての砂が落ちるでしょうか」ですか。…20分ですね。
その計算過程を教えてください!
この問題において、砂の量と落ちる時間は、比例関係があります。なので、砂が2倍になると、時間も2倍になります。よって、砂の量だけを考えると、5分 × 2 = 10分かかることになります。
なるほど、ヒレイ…。
次に、くびれの断面積の大きさは、落ちる時間と反比例の関係にあります。断面積が半分1/2になると、落ちる時間は2倍になります。
ハンピレイって、ヒレイの半分…?
そこはのちほど説明します。つまり、かかる時間は2倍になるので10分×2=20分となります。
とりあえず、答えは出ましたー! ビールいただいてこようかな♪
アユムさん、「とりあえず」では、まだ3度注ぎの1回目ですよ。反比例とは何なのかを、もう少し掘り下げましょう。
は、はいー。
比例・反比例とは?
それでは、比例と反比例について説明します。
なんか、音だけ聞くと、礼がなってない人と、悪い人になり切れなくて気が弱い人みたいですね。
それ、非礼と半非礼? それではなく、比例と反比例です。
比例とは、2つの量の関係で、一方が2倍、3倍、4倍...と変化すると、もう一方も2倍、3倍、4倍...というように、一定倍変化する関係のことです。
たとえば、1個100円のリンゴを1個買うと100円、2個買うと200円のように、買うりんごの数が増えれば増えるほど、支払う金額も同じ割合で増えていきます。2つの量の比𝒴/𝒳が一定なのが特徴です。
比例、なるほど。
次に反比例です。反比例とは、2つの量の関係で、一方が2倍、3倍、4倍...と変化すると、もう一方が1/2 倍、1/3 倍、1/4 倍...と変化する関係のことです。
たとえば100個のお団子を5人で食べると20分かかり、10人で食べると10分かかる、みたいな感じですね。2つの量をかけ合わせた値が常に一定になるのが特徴です。
なんか、以前教えてもらった仕事算みたいですね。
はい、その通りです。仕事算の考え方は反比例の関係ですね。
なるほど、あらためて理解できました。砂の量が2倍になったので、かかる時間が2倍(比例)。くびれの大きさ(断面積)が1/2 になったのでかかる時間は2倍(反比例)。もとの5分にそれぞれが作用して5×2×2=20分!
すばらしい、その通りです。大切なことなので、もう一度言いますね。比例は式にすると、𝒴 = a𝒳 (aは比例定数)、反比例は𝒳𝒴 = a (aは比例定数)とあらわします。このaは「比例定数」といって、比例であればわった値(𝒴/𝒳)、反比例であればかけ合わせた値(𝒳𝒴)にあたります。0はとらず、なにかしらの定まった数となります。
電子レンジに思いを馳せる
砂時計以外に反比例の考え方で計算できるものってありますか?
モリ 電子レンジで温める時間も反比例の考え方ですね。たとえば、600W(ワット)で100秒温めるお弁当があるとき、1200Wだと何分でしょう?
ワット数が倍になるので、時間は半分の50秒ですか?
はい、そうです。ワット数と加熱時間をかけた値は『ジュール』というエネルギーの単位で表されます。この関係は反比例で、式にすると𝒳𝒴 = a (aは比例定数)です。では具体的に、600Wで100秒温めるお弁当は、500Wだと何秒温めますか?
600×100=60000ジュールですね。60000ジュールが一定となると、500Wのときは、60000÷500=120秒ですか?
はい、その通りです。このように、反比例は、𝒳×𝒴が一定の値を持つというのが特徴です。
お弁当の量が2倍になった場合はどうでしょうか?
理論的には、1つ温めるのに60000ジュールが必要であれば、2つ温めるには120000ジュールとなり、500Wの電子レンジでは、120000÷500=240秒、つまり2倍の時間がかかります。ただ、電子レンジの性能や、温めるものにもよりますので、必ずしもこの通りになるとは限りません。
ほかに反比例が使われている例は?
色々ありますよ。一定の距離を前提にしたときの、速度と移動時間の関係もそうですね。1時間で60キロ進んだら時速60キロ、2時間で60キロ進んでいたら時速30キロですね。反比例の考えかたは、こういった日常の中でもたくさん使われていますよ。
𝒳𝒴 = a (aは比例定数)の「aは比例定数」ってどういう意味でしたっけ?
繰り返しになりますが、このaは「比例定数」といって、比例であれば一定となる比(𝒴/𝒳)、反比例であればかけ合わせた値(𝒳𝒴)にあたります。0はとらず、なにかしらの定まった数となります。
反比例の式とグラフ
𝒳𝒴 = a を変形しましょう。𝒴=の式にすると、𝒴=a/𝒳 になります。
aが一定なので、𝒳が大きくなると、𝒴が小さくなっていくのがわかりますね。
aが正の数(プラス)の場合はそうですね。グラフにするとわかりやすいので、かきます。
正の数と負の数でグラフの形が違うって覚えた記憶があるけど、具体的なことは忘れました。
あるあるですね。理解しているとグラフをかけるので、進めます。まず、a=6としましょう。𝒳が1のとき、𝒴はいくつですか?
6÷1=6です。
では、突然出てきた方眼紙の 𝒳=1 𝒴=6 の位置に点を打ち込みます。
なんかゲームみたいですね。𝒳軸が横線、𝒴軸が縦線だから、ここですね。
次に、𝒳=2、3、6のときは?
6÷2=3、6÷3=2、6÷6=1 ですね。
それぞれ点を入れましょう。
こんな感じですね。
点を線で結びます。このときに直線ではなくて、滑らかな線をかきます。
何か見たことあるやつ! でもなぜ曲線にするんでしたっけ?
いまは整数でわかりやすく点を打ちましたが、小数まで考えると𝒴はなだらかに減っていくからです。こんな感じです。
次に、𝒳がマイナスの場合を考えます。𝒳=-1の場合、𝒴はどうなりますか?
6÷(-1)=-6です。
同様に𝒳=-2、-3、-6のときは?
6÷(-2)=-3、6÷(-3)=-2 、6÷(-6)=-1 です。
それぞれ点を入れていきましょう。
こんな感じですね。反比例のグラフは2本の曲線でできているんですね。
反比例のグラフは、𝒳軸と𝒴軸に近づきいていきますが、決して交わることはありません。𝒴=a/𝒳 はいずれの値も0をとらないからです。なので線は理論上、無限に伸びていきます。
aがマイナスの場合はどうなりますか?
a=-6のときも同様に計算し、点を打ってみましょう。
あ、反転した!
そうなんです。中学校のとき、数学はまる覚えで乗り切る! という方もいたかと思います。でも、適当な数字を入れてグラフをかくと、形がわかるので覚える必要もないんですよ。身の回りにある反比例を見つけて、式を作って楽しんでください!
それでは、3度注ぎの美味しいビールをいただいてきます!
ポイント
- 反比例は、かけると一定の値を取るもの。
今日の問題をおさらい
Q1. 5分で砂がすべて落ちる砂時計があります。砂の量を2倍にして、くびれの断面積を半分にした砂時計は、何分ですべての砂が落ちるでしょう?
砂の量が2倍なので、比例で時間が2倍になる。
さらに、くびれの断面積が半分になるので、反比例で時間が2倍になる。
よって、5(分)×2(倍)×2(倍)=20(分)
答え:20分
Q2. 600Wで100秒温めるお弁当があるとき、1200Wだと何秒でしょう?
600(W)×100(秒)=60000(ジュール)
60000(ジュール)÷500(W)=120(秒)
答え:120秒
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オリジナル記事:【計算できる?】5分で落ちる砂時計、砂2倍・くびれ半分にすると何分で落ちる?|大人が忘れている「反比例の計算」 | 算数が苦手なマーケター向け「算数基礎講座」
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