東京商工リサーチ(TSR)は、「2023年度 賃上げに関するアンケート調査」の結果を発表した。
連合が2023年度春闘で掲げる「5%以上」をクリアできる企業は3割未満か
まず「来年2023年度に、賃上げを実施予定ですか?」と聞くと、「実施する」は80.6%(3,333社)でコロナ禍前と同水準(全4,131社が回答)。規模別では、大企業の85.5%(478社中、409社)、中小企業の80.0%(3,653社中、2,924社)が「実施する」と回答した。
産業別・規模別で見ると、「製造業」85.9%(1,319社中、1,134社)、「卸売業」81.8%(931社中、762社)、「建設業」81.2%(511社中、415社)、「情報通信業」80.4%(235社中、189社)が上位。10産業すべてで大企業の実施率が中小企業を上回った。賃上げ率(2022年度比)では「3%以上4%未満」29.9%(630社)が最多で、連合が掲げる「5%以上」の賃上げを実施予定の企業は29.2%にとどまり、3割を下回った。
賃上げには、定期昇給・ベースアップ・賞与(一時金)・新卒者の初任給の増額・再雇用者の賃金の増額などが考えられるが、実施企業3,278社では「定期昇給」77.7%(2,548社)が最も多く、「ベースアップ」50.0%(1,640社)、「賞与(一時金)の増額」35.2%(1,156社)がそれに続く。
一方で「来年2023年度に、賃上げを実施しない」と回答した企業747社にその理由を聞くと、「コスト増加分を十分に価格転嫁できていない」58.0%(434社)、「原材料価格が高騰しているため」53.9%(403社)、「電気代が高騰しているため」46.4%(347社)、「受注の先行きに不安があるため」45.9%(343社)が上位となった。基本的に“目先の収益悪化”を理由に挙げる企業が多い。なお「既往債務の返済に影響を与えるため」は、大企業の5.4%(3社)に対し、中小企業は18.4%(128社)と体力の差が浮き彫りとなった。
調査概要
- 【調査時期】2023年2月1日~8日
- 【調査方法】インターネットによるアンケート調査
- 【有効回答数】4,465社
- 【賃上げの定義】定期昇給、ベースアップ、賞与(一時金)、新卒者の初任給の増額、再雇用者の賃金の増額。
- 【企業規模の定義】大企業:資本金1億円以上、中小企業:1億円未満(個人企業等を含む)
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オリジナル記事:2023年春闘、約2割の企業が賃上げできず? 「価格転嫁できていない」【東京商工リサーチ調べ】
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