お問い合わせ数UPを目指したWebサイトリニューアルの裏側 | 地方の小さなB2B企業がウェブを使って成果を出す鍵とは?

コラム
自己紹介
yu-ta(ゆーた)26歳、会社員 PC.スマホ周辺機器やスマート家電など ガジェットを使って スマートな生活を送っています。 このサイトでは管理人おすすめの 最新の便利ガジェット情報や お得に買えるセール情報を中心に 発信しております。
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みなさん、こんにちは。株式会社アクシスの瀬川です。

この連載「地方の小さなB2B企業がウェブを使って成果を出す鍵とは?」では、私たちの事例をもとに地方の中小企業がウェブで成果を出すためのヒントをお伝えしています。

最終回となる今回のテーマは、「Webサイトのリニューアル」です。

B2Bサイトに関する調査によると、仕事上の製品・サービスを購入を検討する際の情報源として、Webサイトはもっとも参考にされています。実際、みなさんも何かサービスを導入する際には、Webサイトでサービス詳細を調べたり、事例を見たりしているはず。それだけB2BのWeb集客において、Webサイトが果たす役割は大きいのです。

私たちアクシスもWeb集客を強化するタイミングで、自社のWebサイトの全面リニューアルに踏み切りました。リニューアルにあたっては、私自身がプロジェクトリーダーを務め、いろいろと失敗しながら何とか公開までこぎつけることができました。

そこで今回の記事では、私の経験を踏まえてWebサイトリニューアルのステップと気をつけたいポイントを紹介していきます。

これからWebサイトのリニューアルを考えている方は、ぜひご覧ください。

何のため? Webサイトリニューアルの目的を考えよう

私たちがサイトリニューアルを決意した背景

遡ること約2年半前。ほぼ役員による新規営業に依存していた状況から脱却するため、自社マーケティングの立ち上げを任された私は、PCを前に悩んでいました。その理由は「自社のWebサイトで、実態とのズレが生じていたから」です。

当時のWebサイトは、(私が自社マーケティング立ち上げを任された当時から)さらに3年前にリニューアルしたものでした。これだけ時間が経てば、お客様のニーズも変化しており、その変化に合わせて、自社が提供するサービスもアップデートされていました。しかし、サイト自体はほとんど手が加えられておらず、お客様のニーズや提供サービスと、Webサイトの見え方との間にズレが生じていたのです。

このズレの結果、本当に売りたいサービスの問い合わせはほとんど来ず、お問い合わせが来ても、自社で提供するサービスとあまりフィットしないお客様で、受注には繋がらない…といった状況が続いていました。

「根本的な解決には、Webサイトのリニューアルしかない」

こう考えた私は、経営層を招集して会議を行いました。自社の現状を説明して、今後Web集客を伸ばすためにはリニューアルが必要不可欠であることをデータを踏まえて伝えました。

このリニューアルの目的は、大きく以下の2つです。

  • 見込み顧客の獲得を増やす
  • 最終的に商談数を増加させる

丁寧に必要性を社内に伝えた結果、Webサイトの全面リニューアルが決定されました。

大きな買い物だからこそ、目的とゴールをきちんと決める

Webサイトリニューアルを考え始めるきっかけは、会社によってさまざまです。ただ忘れていけないのは、目的とゴールを決めてリニューアルを始めることです。

よくある失敗例は、「途中で目的を見失ってしまう」パターンです。「Webからの問い合わせを増やしたい」とリニューアルを始めたはずなのに、いつの間にかデザインが優先されてしまい、結果として見た目は変わったが、ほぼ内容は一緒で問い合わせ件数は変わらない。こういった目的と手段が入れ替わってしまったパターンはときどき耳にします。

Webサイトリニューアルには、多くの時間とお金がかかります。特にリソースが少ない中小企業では、本業と兼任してリニューアルのプロジェクトを進めることになり、少なからず担当者さんの負荷が増えるはず。

だからこそ、リニューアルする前には、以下の問いの答えをクリアにしておきましょう。

  • 何のためにWebサイトをリニューアルするのか?(目的)
  • Webサイトのリニューアルで、将来どんな状態になりたいのか(ゴール)

この問いがクリアになっていれば、チーム一丸となってリニューアルが進められるはずです。

Webサイトリニューアルの5つのステップ

Webサイトの全面リニューアルが決まり、そのプロジェクトリーダーを務めることになりました。そこで、私が実際にリニューアルの中で、どう考えて進めていったのか、ポイントごとに紹介していきます。

  1. 関係者を巻き込んだプロジェクトチームをつくる
  2. やりたいこと・理想を言語化する
  3. Webサイトの戦略を立てる
  4. 戦略を踏まえてサイトを設計する
  5. 設計に基づいてWebサイトをつくる

①関係者を巻き込んだプロジェクトチームをつくる

まず始めたことは、サイトリニューアルを進めるプロジェクトチームづくりでした。

プロジェクトには、サービス提供を担う各部署のマネージャーのほか、営業マネージャー、さらには経営陣にも参画してもらいました。そして隔週で定例会を開催し、リニューアルに関わる情報共有と議論する場づくりを進めました。

サイトリニューアルを進める上で、チーム作りは重要です。特に、営業やカスタマーサポートなど、できるだけお客様に関わる部署の方に参加してもらえるように依頼してください。これらのメンバーがいれば、お客様の理解度が深まり、よりよいサイトができます。

また、意思決定者にもチームに参加してもらうとよいでしょう。検討段階から入ってもらうことで、方向性のズレを最小限にでき、出戻りを少なく進めることができるはずです。

②やりたいこと・理想を言語化する

次は、Webサイトリニューアルで実現したいことの言語化です。

リニューアルを成功させるには、事前にきちんと要件を整理しておくことが必要不可欠です。その第一歩は、まず自分たちが考えていることを言語化することです。

実際、私たちも定例会議で参加者にポストイットを配り、「自社サイトをこうしたい」というアイデアを書き出してもらいました。また自社のスタッフ全員に声をかけて、「自社のWebサイトで気になっていること、改善してほしいこと」のアンケートを取りました。

この要望・提案シートを集計したところ、ありがたいことに、72個(!)の意見をもらいました。そして、アンケートで集まったアイデアで似たものをまとめてグループ化し、要件として整理していきます。

この取り組みによって、現状のサイトでの課題や解決していくべき課題が明確になり、後に進めたサイトの検討でも役立ちました。

③Webサイトの戦略を立てる

次は、Webサイトの戦略を立てます。このステップは極めて重要です。なぜなら、サイトの方向性を決めるもので、出来上がりを大きく左右するからです。

たとえば、技術に強いとうたっているB2Bのメーカーなのに、Webサイトのどこにも技術について記載がなかったら、問い合わせは来るでしょうか? きっと多くの問い合わせは来ないでしょう。問い合わせを増やすには、自分たちの技術がどのように他社と違い、お客様のビジネスに価値があるかを説明するコンテンツが必要そうですよね。

このように、Webサイト制作では自分たちの強みがどこで、その強みをどのようにコンテンツとして伝えていくかを考えることが重要です。この作業がまさに戦略づくりなのです。実際、私たちもプロジェクトの1/3くらいの時間をこの戦略づくりに費やしました。

では、どういった観点で考えていけばよいのでしょうか? 私たちの場合は、以下のポイントを検討していきました。

  • 誰に対して(ターゲット)
  • 何を(メッセージ)
  • どのように(コンテンツ)
  • どんなテイストで伝えるのか(トンマナ)

それぞれにポイントについて説明します。

誰に対して(ターゲット)

まずは、Webサイトの目的に照らし合わせて、Webサイトをどんな人に見てほしいのか(ターゲット)を検討していきます。

私たちの場合、Webサイトの目的は「見込み顧客の獲得を増やし、最終的に商談数を増加させること」でした。そこでターゲットとなるのは、Webマーケティングに関する悩みを抱えている方です。

ただこれだけだと粒度が荒すぎて、どんな人なのか具体的にイメージはできません。そこで、現在お取り組みしているお客様や、過去のお問い合わせ履歴を踏まえて、そのお客様像を整理していきました。

そして出来上がったのが、以下の画像のようなペルソナ像です。

実際に作ったペルソナ原案(簡易版)
(第3回記事より転載)

ペルソナを検討した過程は、「誰に向けて、この施策をするんだっけ? 『お客様像』をWeb集客にかかわる全員で考えるべき理由」の記事で詳しく紹介しているので、ぜひ御覧ください。

何を(メッセージ)

次は、お客様に対して発信するメッセージを検討していきます。

メッセージで伝えるべきは、「お客様にとって、私たちの会社は何の課題に役立つのか?」ということ。お問い合わせ獲得を目的としたサイトの場合、どれだけデザインが優れたWebサイトをつくっても、お客様の課題解決に役立つと思われなければ、何の意味もありません。

私たちも改めて、お客様にとって“私たちの会社に依頼するメリット(強み)”の検討を進めました。

自分達の会社に依頼する強みを書き出したホワイトボード

会議では、普段お客様と接する現場マネージャーに「私たちの会社について、お客様はどう評価しているのか?」をヒアリングし、ホワイトボードにまとめていきました。

検討した結果、以下のような私たちの強みが見えてきました。

  • 戦略から施策までをトータルにサポートしてくれる
  • 親身になって一緒に考えてくれる

そこで、これらの強みを“提供価値”として、Webサイトで伝えていくことになりました。

自分のことは、意外と自分では気づけません。だからこそ、メッセージを考える上では、実際にお取引するお客様や直接お客様と関わっている現場の人間に話を聞いてみることをオススメします。

話を聞いてみると、自分たちが思ってもいなかったところが強みだと認識されているケースはよくあります。

たとえば、以前インタビューさせていただいた老舗B2Bメーカーさんでは、「長年受け継いできた技術力」が強みだと思っていたのに、実際お客様にヒアリングしたところ「納期が短いこと」を評価してくださっていたそうです。

インタビューは手間がかかりますが、得られるものは大きいです。まだ取り組んだことがない方は、ぜひお客様にお話を聞いてみてください。きっと自分たちでは気づかない強みを見つけられるはずです。

どのように(コンテンツ)

次に、お客様に対してどのように強みを伝えるかです。メッセージを伝えるのは、コンテンツです。そこで、どういったコンテンツがWebサイトに必要かを考えていきます。

私たちの場合、以下のコンテンツをつくることにしました。

■強みを伝えるコンテンツ
  • 「会社の強み」ページ
  • 「サービス紹介」ページ
■強みを裏付けるコンテンツ
  • 「お客様事例」ページ
  • 「メディア掲載情報」ページ

強みをストレートに伝えるのは、「会社の強み」や「サービス紹介」のページです。ただこれだけだと、どうしても信憑性に欠けてしまいます。そこで、強みを裏付けるコンテンツとして、「お客様事例」や「メディア掲載情報」も載せることにしました。こういった第3者からの声も掲載することで、私たちの強みの説得力が増し、よりお客様にも伝わるようになるはずです。

どんなテイストで伝えるのか(トンマナ)

最後に、どのようなテイスト(トンマナ)で伝えるかを検討していきます。

人間の世界でも第一印象が重要と言われるように、Webサイトも第一印象が重要だと感じています。なぜなら、Webサイト自体の印象が会社の印象と捉えられることが多いからです。

Webサイトでも初めて訪れてくれた方に対して、自社を正しく認識してもらうためにも、会社のキャラクターにあったトンマナを選択していくと良いでしょう。

私たちの場合は、会議の中で「私たちの会社が人間だったら、どんな性格と言われる(言われたい)だろうか)」との問いを立てて、象徴するようなキーワードを出していきました。

すると、以下のようなキーワードが出てきました。

  • 一流(プロたる仕事をしてくれる)
  • 信頼できる(嘘を言わない)
  • まじめ(何でも真摯に話を聞いて考える)
  • 高級感(地方の会社ながら、大手企業とも取引実績がある)

出てきたキーワードを踏まえて、そのイメージに近い他社のWebサイトのURLを持ち寄りました。そして、集めたデザインを見ながら、どういったイメージが近いかを話し合い、トンマナのすりあわせを行いました。

すりあわせの結果、最終的には白と黒を基調とした落ち着いたデザインにすることにしました。

最終的には、黒とグレーを基調とした落ち着いた色を採用した

④戦略を踏まえてサイトを設計する

次は、③の「Webサイトの戦略を立てる」で検討した戦略を踏まえて、Webサイトの設計を進めていきます。

必要なコンテンツを洗い出した上で、ページ構造を考えていきます。

ここでポイントとなるのが、Webサイトを訪れたお客様の動線です。Webサイトを訪れたお客様がどのページに最初に訪れ、どういった行動を辿りそうかを想像しながら、その道筋を描いていきます。以下はその道筋を描いた図です。

私たちのWebサイトを制作する際に作った動線図

お客様は、トップページから順番に見てくれるとは限りません。検索結果には、サービスページのほうが上位に表示されることもあります。階層ごとに情報を整理し、どんな動線でお客様がページを見るのかを描いてみましょう。お客様になりきって、どういった情報を伝えればお問い合わせや資料請求に行き着くか、ぜひ考えてみてください。

⑤設計に基づいてWebサイトをつくる

最後に、これまで議論したことを資料化した上で、実際の制作に取り掛かりましょう。Webサイト制作会社さんに、資料を渡して要望を伝えてください。

制作を進める上で大事なのは、Webサイト制作会社さんと一緒につくっていく姿勢を忘れないこと。Webサイト制作会社さんは、制作のプロだからこそ、さまざまなノウハウを持っています。

言った通りのものを作ってもらうのではなく、プロの意見もできるだけ反映させて一緒につくっていくほうが、結果として良いものができるはずです。

おわり

この記事では、私たちの事例を通してWebサイトリニューアルの進め方について紹介しました。このリニューアル後、資料請求は大きく増加し、お問い合わせの質も改善され、受注にも繋がっていきました。

Webサイトは、つくる以上に自分たちのビジネスを改めて考える良い機会です。ぜひ社内を巻き込んで、じっくり検討してみてください。考えた分だけ、よいWebサイトが作れるはずです。

全8回の連載はこれでおしまいです。

この連載では、私たちが取り組んだリアルなWeb集客の現場をお伝えしながら、地方の中小企業がWeb集客に取り組むコツやポイントについて紹介してきました。

私自身、実務では多くの失敗を経験しました。しかし、B2BのWeb集客において、一発逆転できる魔法のような施策はありません。むしろ当たり前の施策を忍耐強く、きちんと積み上げていけば、きっと結果は付いてきます。

この連載が、地方の企業で奮闘されているWeb担当者さまにとって、少しでも役立てば嬉しいです。長い間ありがとうございました。

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