人工知能(AI)がコンテンツ制作に与える影響についてロス・シモンズ氏が解説しているこの記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。
前編では、AI導入以前の従来のコンテンツ制作のワークフローについて説明した。後編となる今回は、AIを活用することでワークフローがどのように進化するか見ていこう。
記事の後半では、ChatGPTなどの生成AIが作ったコンテンツのドラフト(原稿)を、人間がどのように改善していくかのチェックリスト(SEO版)も紹介しているので、ぜひ見てほしい。
AIコンテンツの質は向上する
みんなの中には、こう思っている人もいるかもしれない:
AIが作るコンテンツはゴミだ。AIコンテンツは良くない。品質も高くない。そんなものは誰も読みたくないし、インターネットに大量のスパムを垂れ流すことになるだけだ!
言いたいことはわかる。しかし、グーグルは賢い。グーグルは、次の2つの違いを理解している:
- 悪いコンテンツ
- 良いコンテンツ
グーグルのアルゴリズムも変化し続けている。したがって、短期的に見ればたしかにゴミのようなコンテンツを大量に目にするかもしれないが、時が経つにつれ、E-E-A-T(経験、専門知識、権威、信頼性)などにより、AIコンテンツは改善を余儀なくされるだろう。
ライティング2.0時代のワークフロー: AIの進化を受け入れたライティング
AIを受け入れるだけでなく、考え方を変える必要がある。新しいワークフローを進めるとき、それはどこから始まるだろうか。これもやはり調査から始まるが、それは異なる種類になる。AIを使った調査だ。
AIツールで、次のように指示してみよう:
この分析に基づいてSERPでのビジビリティを高めたい場合に、狙うべきキーワードの上位20件を教えて
そうすれば、AIは実際にその分析からデータを抜き出して、狙うべきキーワードを提案してくれる。これが数分とかからずにできるため、次のような時間は不要になる:
- 人の手でスプレッドシートを確認
- Tableauでデータを抽出する
そして、この詳細なデータからSERPを掘り下げられるし、そのためのAIツールもある。だから実際にAIを利用してコンテンツを作る手順は、次のような流れになる:
- ソーシャルメディアに目を向け、
- AIツールを使って、
- 自分の分野で話題になっているトピックを代わりに分析してもらい、
- その情報を使うことで、とても特別なことができるようになる。
コンテンツ作りには、まず生成AIを使うと仮定しよう。「生成AI」とは基本的に、インターネット上のあらゆるコンテンツを大量に収集しているツールや技術のことだ。言語処理を使ってそうしたコンテンツを理解し、実に自然で人間らしく聞こえるストーリーやメッセージを作り出す。
このすべての中核にあるのが自然言語処理だ。ChatGPTなどのツールにアクセスしたりAPIを使ったりすれば、僕がこのあとで紹介する「未来のAI活用コンテンツ作成手法」を実現できるようになる。そのステキな手法とは、次のようなものだ:
まずGoogleスプレッドシートを用意し、キーワードを調査する。Mozのようなツールを使って、検索順位に表示させるために必要なキーワード20件が得られたら、すばらしい。これで出発点に立つことになる。
次に、調査で抽出したキーワードに基づいたブログ記事を10本探すようAIに指示する。これで、ブログ記事のタイトルを10件教えてもらえることになる。
Googleスプレッドシートに、これらの記事タイトルをそれぞれ別々のセルに入力しておく。
それが終わったら、AIにそれぞれの記事タイトルに合った、概要を5つのキーポイントを使って書くように指示する。
ChatGPTは、ブログ記事10本の概要を君に代わって作成してくれる。これは基本的にブリーフ(概要)に代わる部分だ。
それができたら、次のようにChatGPTに指示しよう:
AIDA(注目、興味、欲求、行動)の法則を使って、このブログ記事(※ここに記事タイトルを入れる)のためにすばらしい導入文を書いてほしい
これで、導入文(リード文)ができる。
ここからが、さらにおもしろくなるところだ。記事タイトル(トピック)と5つのキーポイントに基づいて、400字の文章を書くようChatGPTに指示するのだ。凝ったものにしたければ、筆者のロス・シモンズが使うような文体で、あるいは他の誰かが使うような文体で書くようにChatGPTに指示することもできる。
これでできるのがドラフト(草稿)だ。
このドラフトを見て、ゴミのようなコンテンツになると思うかもしれないし、正確でない情報が含まれているかもしれない。いずれもその通りだ。しかし、君は煮詰まってコーヒーもワインも飲む必要はなかったし、寝不足になることもなかった。スランプに陥ることもなかったし、タバコ休憩をする必要もなかった。
そんなことをしなくても、ドラフトにたどり着いた。では、人が必要になるのはどこからだろうか。それは、改善に関わる部分からだ。先ほど述べたように、これらのAIツールは人の代わりにはなれない。
AIは僕たちの能力を高めるためのツールだ。作ったコンテンツを、読む価値のあるものに押し上げるのだ。そのためには、改善のためのチェックリストがいる。たとえば、次のようなことだ:
このブログ記事は、ドメインオーソリティ(DA)のスコアが60以上のページ(URL)2件以上からリンクされているか
またはそうしたリンクを取り込めるか。オーソリティの高いサイトを参照していることを確認できるか。
このブログ記事の中に4枚の画像が含まれているか。
特定のトピックを話題にしている場合、これを紹介するカスタムのビジュアルを作成できるか。
AIDAを使った導入部がしっかりしているか。
その中の事実や情報が本当に正しい情報であり、ChatGPTが勝手に作り上げたものでないことを再確認できるか。
第三者の2人からコメントを得られるか。
つまり、このコンテンツを改善するために業界関係者2人に連絡して第三者の意見を聞き、コンテンツに経験豊富な人たちを関与させるというE-E-A-Tの基準を満たせるだろうか。
1件のサイト内リンクで自社の製品について説明し、さらには販売しているものの写真やスクリーンショットをアップロードしているか。
YouTube動画を埋め込んでいるか。
というのも、グーグルはYouTubeを数十億ドルで買収したので、これを利用することで、SERPに表示されるようにするための機会を高められる。
記事の結論は、気持ちを奮い立たせるものであるか。
キーボードの向こう側で、基本的にはAIが作成したこのブログ記事を読んでいる人が、読み終わったときに何らかの行動を起こそうという気持ちにさせられるか。
図表やグラフがあるか。
コンテンツの中で定義されていることや話題にされている定義が、コンテンツと独立したものとして強調スニペットとして表示される可能性があるか。
このコンテンツを重複チェックにかけて、すでに書かれている重複コンテンツがないことや、AIが作成したこのコンテンツに盗用がないことを確認できるか。
これができれば、アイアンマンのスーツを着たも同然だ。ここで魔法の効果が発揮され、以前のやり方よりもはるかに速くできるようになる。
では、それでコンテンツの質は保たれるか? ―― 心配は無用だ。たしかにAIワークフローが生み出すコンテンツは平凡なものかもしれないが、君自身が手を加えることで、
- コンテンツを改善し
- 人間味を加え
- 専門知識を加え
- 改善策を通じてコンテンツをもう一段階引き上げる
ことで、次のような価値あるコンテンツができあがる:
- 読む価値
- 共有する価値
- ブックマークする価値
- 作る価値
最後に、君には公開する作業が残されているし、ソーシャルメディアなどで共有する必要もある。SERPに表示されるかどうかも把握したい。それを経て、ようやく掲載されることになるが、AIの進化を受け入れることで、コンテンツ制作のワークフローが速くなることは間違いない。
コンテンツは社会の基盤となるものだ。君が作るコンテンツの1つひとつが、画面の向こう側にいる人々に影響を与える。それを軽視してはならない。いつまでも配信できるコンテンツを今すぐに作成し、最終的には文化に大きな影響を与えよう。
見てくれてありがとう。楽しんでもらえただろうか。もっと詳しく知りたい人は、オンラインで僕のアカウント(@TheCoolestCool)をチェックしてみてほしい。どうもありがとう。それでは、良い一日を。
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オリジナル記事:生成AIを活用した未来のコンテンツ制作ワークフローと、人間が価値を高める改善チェックリスト(後編) | Moz - SEOとインバウンドマーケティングの実践情報
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