オーガニック運用・広告配信・危機管理など、企業のSNS活用のポイント、最新情報を、SNSマネージャー養成講座の講師陣「チーフSNSマネージャー」のメンバーが、それぞれの得意分野を中心に解説します。
今回は、大手クライアントを中心にSNSコンサルティングを実施しながら、過去に事業会社でもSNS運用経験のある、山本真帆が回答します。
SNSのフォロワーがなかなか増えず、会社から理解されません。投稿は継続しており上司へも数値報告しているのですが、この前ついに「運用自体意味あるの?」と聞かれてしまいました。どうすればよいでしょうか?……
継続して発信できているのは、とてもすばらしいことです!
一方で報告は数値のみにとどまっていたりしませんか?
「何のために運用しているのか?」を考え「投稿後の振り返り」を実施できていますか? 振り返りは投稿内容を考えるのと同じくらい重要です。
SNSアカウントの運用において、「正しく振り返る」ということは非常に重要です。
投稿ネタを考えて投稿を実施したら終わり、では、SNSアカウントの成長はなかなか実感できないのではないでしょうか。また、投稿後にツールなどで数値を見ても、どう分析すればよいかわからず、ただ「見ているだけ」になっていませんか?
今回は、数字や結果をもとにどのように分析をすれば良いか、「振り返り」の基本的な考え方を説明します。
PDCA、きちんと回せてますか?
SNSの投稿サイクル
SNSのPDCAサイクルは、みなさんご存知の通り、以下の流れで進みます。
この流れはSNS運用に限らず、マーケティング業務すべてに通じるのではないでしょうか。
運用担当が陥りがちな「PDCA回せてない」問題
それぞれの概要は今回割愛させていただくのですが、「PDにすごく時間をかけているわりにCAがおざなり」というのをよく見かけます。
かくいう私も、自社アカウントを運用していた当時は、Check以降がおざなりになっていました。正確に言うと「ツールやインサイト、アナリティクスの数値を見て、前より良かったかor悪かったか」しか確認できていませんでした。
運用以外にもさまざまな業務に追われているなかで、振り返る余裕がなかったことから、これまでのSNSで見聞きしたことを感覚的にやっている状況でした。その当時は幸い(?)なことに、数値面以外の側面で結果を出していたので、多くは言及されませんでしたが、今思えば恐ろしい……。
なぜ投稿後の分析が大事なのか?
上記でお話した通り、私ももともと分析に時間をかけていなかったほうですが、そこから今の考えに至ったのは、自身で運用する立場から支援する立場に変わったことで大切さに気付いたからです。
投稿後の分析を適切に行うと、次回投稿で結果が出る
支援する立場に変わったことで一番驚いたのは、レポーティングにかける時間が急増したことです。
転職当初は正直に言うと「投稿案を考えることと同じくらい時間をかけてやる必要があるの?」と思っていました。しかし、適切に投稿を分析し、それをもとに改善していくことで、目に見えて結果が良くなっていったことから、考えを改めました。
数値や反応はあくまで「素材」。それをどう読み取るか次第で大きく左右されるのが分析
とはいえ、当時の私も、数字は見ていました。実際に運用されている方も数字は見ているという方も多いと思います。
「数値等の結果をどう読み取るのか」を適切に行うことで、目的通りの投稿ができているのか?できていない場合はどうすればよかったのか?を正しく読み取れます。こうして、やみくもに投稿するよりずっと効率的に、目的に沿った運用ができるようになりました。
そう考えると、分析というのは料理に似ているかもしれません。
リーチやエンゲージメントと言う「素材」を適切に分析して(調理)、次に作る際に活かすことで、より満足度の高い一品を作ることができる。逆に言うと、素材をそのまま調理せずに次に出しても、またいい結果が出るとは限らない点でも似ているのではないでしょうか。
分析で必要なポイント3選
とはいえ「分析には時間をかけられない!」という担当者も多いと思います。思い切ってプロの力を借りるのも1つの手ですが、予算的にも難しいという人に、まず抑えてほしい3つのポイントをお伝えします。
(1)投稿の目的を思い出そう
フォロワー増やバズは運用担当として嬉しいのはもちろんですが、狙った通りの結果がでていますか?
たとえば、エンゲージメント獲得を狙った投稿で、リーチは伸びたものの、エンゲージメントがあまり獲得できていなかったら、その投稿は良かったと言えるでしょうか? もちろんリーチが伸びている事自体は良い傾向ではあります。ただ、狙った通りのアクションを促せていないため、改善が必要です(逆にリーチが伸びた理由を分析できれば、狙って拡散させたい際にも参考にできますね)。
(2)それぞれの数値がどのような意味を持つか? を正しく理解しよう
「その数字がどのような意味を持つか」は、状況次第でかなり変わってくるでしょう。
たとえばInstagramのリーチ内訳で見える「ホーム」と「発見から」の場合、前者はフォロワーが大半ですが(ホーム画面に投稿が流れて来るユーザーのため、基本的にはフォロワーの可能性)、後者は発見タブからの流入になるので、未フォロワーにリーチしている可能性が高いのでは? という流れで分析していきます。
その投稿が新しいユーザーとの接触を狙っていた場合は、リーチ全体として少なくても、「発見から」が通常より獲得できていたら一概に悪いとは言えないでしょう(あまりこのような事例はないと思いますが、わかりやすい例として出しています)。
(3)「良かった投稿と悪かった投稿」を振り返ってみよう
運用目的に応じて、KPIを設定していると思いますが、その設定に対して良かった投稿・悪かった投稿をピックアップして、見比べてみてください。そうすると「良かった投稿は○○があるけれど、悪かった投稿はない」や、「よかった投稿はこういう呼びかけをしている」などの違いが見えてくると思います。
時間が取れない、という方は、まずここを抑えて取り組んでみてください。
もし、分析にもっと時間をかけられるという場合は、さまざまな切り口での分析をお勧めします。たとえば、投稿カテゴリを設定している企業であれば、「このカテゴリはリーチが伸びやすい」「エンゲージメントを獲得したいときはこのカテゴリが相性が良い」など、比較の切り口を増やして分析してみてください。
それぞれで見えてきた傾向を一度仮説としておいた上で、次の投稿案に反映させていくことで、そのアカウントの勝ちパターンが見えてくるようになります。
まとめ:適切な分析でアカウントを成長させよう!
冒頭の質問に戻りますが、質問者さんの運用目的に合った「狙うべき数値」を明確化して、投稿を適切に振り返って次に活かすことで、道が拓けるのではないでしょうか。
はじめは大変だと思いますが、「目的の振り返り」と「傾向を見る」。この2つを10分でもいいので時間を取って取り組んでみてください。分析結果が適切だと、投稿の数値もしっかりついてきます。そうすると分析が楽しくなりますよ!
みなさんのより良いSNS運用のきっかけになれば幸いです。
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2020年より私たちは、「SNSマネージャー養成講座」という資格試験をスタートしました。SNSマネージャーの上位資格である上級講座では、実際に運用しているアカウントをサンプルにして、徹底的に運用目的とKPIなどの必要項目を掘り下げて企画書を作成するワークを実施しています。
この記事を読んで「理屈はわかったけど、実際自社のアカウントに当てはめるとピンと来ない。さてどうしたものか……」とお悩みのあなた。ぜひチャレンジを。
タイトルデザイン、タイトルイラスト:995(Twitterアカウント)
三度の飯より猫が好きなイラストレーター。ゆるくてかわいいイラストが得意です。