SEOコミュニティにおいて、人工知能(AI)がここ1年ほどの話題を独占したことに疑問の余地はない。この新たなテクノロジーがもたらす影響は非常にエキサイティングでもあり、同時に少し恐ろしくもある。
僕が勤務するデジタルマーケティングエージェンシーGo Fish Digitalでは、これらのトレンドを注意深く観察し、AIがもたらす可能性に関するプロセスを改善している。
SEO業界の中だけでなく、より大きなテクノロジー業界の中でも、AIに対する見解の相違は大きい。多くの人は、その影響に閉口しており、「マーケターにとって長期的な利点がある」とする見方に懐疑的だ。次のような正反対の意見もある:
- AIは、音声検索のような一時的なトレンドに過ぎない
- AIは、将来の検索のあらゆる側面に影響を与える革命的なテクノロジーとなる
僕は好奇心から、自分のLinkedInページでアンケートを実施した。SEO担当者を対象に、ChatGPTがSEOに破壊的イノベーションをもたらすと思うかどうか尋ねた。
AIの影響について、みんなの考えを聞きたい。ChatGPTはSEOに破壊的イノベーションをもたらすと思いますか?
その結果、回答者の3分の2近くが、ChatGPTは僕たちの業界を変えると答えた。僕も、どちらかといえばこの見方に賛成だ。
この記事では、SEO業界がAIを受け入れるべき理由を解説する。
SEO業界はAIを受け入れる必要がある
僕たちSEOに携わる人間は、AIがもたらす差し迫った変化にコミュニティとして備える必要がある。各種のツールにはたしかに欠点もあるが、すでに生み出されている成果はまさに驚嘆すべきものだ。これらのツールにより、僕たちはより多くの情報を得て、効率を高め、専門性に磨きをかけられるようになる。
重要なのは、「現時点でAIツールにどんな問題があるか」だけを論じるだけでなく、次のようにすることだ:
これらのAI技術が現在どの段階にあるのかを考慮する。
これらのAIツールは時間とともに指数関数的に良くなっていくことを理解し、それを想定しておく。
実際、GPT-4の性能はすでにGPT-3.5から大きく性能が向上している。
GPT-3.5は、GPT-4に比べると使えないと感じる。
GPT-3.5 feels unusable compared to GPT-4
— Paul Shapiro (@fighto) May 9, 2023
5年後を視野に入れると、これらのツールは現在のバージョンよりはるかに進化するだろう。だからこそ、SEO担当者は今すぐこれらのテクノロジーを導入する必要がある。そうすれば、マーケティングの未来に向けて有利な立場に立てるだろう。
SEO業界がAIを受け入れるべき理由①SEOの効率を高められる
2023年3月、僕はどれほどのSEO担当者が日々のワークフローでChatGPTを活用しているか知りたいと思った。その時点で比較的新しいサービスではあったが、SEO担当者はすでに導入しているのか、興味があった。
教えてほしい。マーケターは日々の仕事にChatGPTを組み込んでいるのだろうか? ChatGPTを通常のSEOワークフローの一環として利用していますか?
驚いたことに、回答者の52%はすでにChatGPTを通常のSEOタスクに役立てていた。このアンケートは、ChatGPTが初めて公開されてからわずか3か月後に実施したものだ。
僕たちが日々手がけているSEOのタスクについては、本当にすばらしいユースケースがたくさんあるため、この結果は納得できる。ChatGPTなどのAI技術を利用することで、こうしたタスクの一部は効率を大幅に改善できる。
キーワード調査をAIで効率的に
簡単な例として、キーワード調査が挙げられる。ChatGPTを使えば、君のウェブサイトが競合に対抗しようとしている主要なトピックについて、意味的に関連する潜在的なキーワードを大量に並べたキーワード候補リストを即座に作れる。
トム・デマーズ氏は先ごろ、Search Engine Landに寄稿した記事で、キーワードChatGPTにAIを使うプロセスを説明している。同氏はこのガイドで、さまざまなタイプのプロンプトを使ってキーワードを直接特定したり、クエリの機会を掘り起こす情報源を見つけたりできた例をいくつか紹介している。
さらに、サードパーティのSEOツールからデータをエクスポートし、ChatGPTのインターフェイスで表形式にできたとして、その方法を説明している。
コンテンツのアイデア出しもAIが得意とする分野
コンテンツのアイデア出しも、ChatGPTで利用可能な戦術的タスクを示す好例だ。ここで僕はChatGPTに「Metaverse」(メタバース)に関するトピックのアイデアを30個出すよう求めた。すると、30秒ほどで次のようなアイデアが返ってきた。
僕がテクノロジー関連のブログを運営していたなら、これをサイト上の既存のコンテンツと比較することで、検索トラフィックを増やせそうなコンテンツ案を見つけられる。SEOに関して直接的な価値はなかったとしても、これらのトピックは、特定のコンテンツ領域でそのトピックに関する権威として地位を確立するのに役立つ。
ChatGPTを使って、サイトのコンテンツを大規模に最適化することもできる。GPT For Workなどのツールを使うと、ChatGPT APIとGoogleスプレッドシートを連携させられる。具体的には、Googleスプレッドシート上でプロンプトを入力し、その結果をスプレッドシートに自動的に書き込ませられるようになるのだ。
連携してどうするのか? たとえば、大量のtitle要素とmeta descriptionを一気に作らせられる。30分ほどの準備で、サイトに基本的なレベルの最適化を施せるわけだ。
SEOの仕事にChatGPTが役立つことは多い
戦術的な観点から見ると、SEOに役立つChatGPTのユースケースは非常に多い:
- キーワード調査
- コンテンツのアイデア出し
- コンテンツの評価
- スキーマ生成
- 強調スニペットの作成
- title要素とmeta description
- 新しいコンテンツセクションのアイデア
- 読みやすさの改善
利用できるリソースはたくさんあるが、アリエダ・ソリス氏はSEOのさまざまなユースケースについて、すばらしいガイドを書いている。
どのような役割でもSEOに関わっている人なら、これらのプロセスを活用することで、日々の効率を改善できるユースケースが見つかる可能性は非常に高い。そうすることで、より効率的なアウトプットを生み出し、自動化しにくい取り組みに時間をかけられるようになる。
この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。今回は、SEO業界がAIを受け入れるべき理由の1つとして、「SEOの効率化」を取り上げた。後編となる次回は、さらに2つの理由について説明する。
(後編は10月2日公開予定)
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オリジナル記事:SEO業界がAIを今すぐ受け入れるべき3つの理由(前編) | Moz - SEOとインバウンドマーケティングの実践情報
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