MAは商談が増える魔法の杖ではない! 活用されていなかったMAを蘇らせた方法 | 地方の小さなB2B企業がウェブを使って成果を出す鍵とは?

コラム
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yu-ta(ゆーた)26歳、会社員 PC.スマホ周辺機器やスマート家電など ガジェットを使って スマートな生活を送っています。 このサイトでは管理人おすすめの 最新の便利ガジェット情報や お得に買えるセール情報を中心に 発信しております。
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みなさん、こんにちは。株式会社アクシスの瀬川です。

この連載「地方の小さなB2B企業がウェブを使って成果を出す鍵とは?」では、私たちの事例をもとに地方の中小企業がウェブで成果を出すためのヒントをお伝えしています。

第6回となる今回のテーマは、「MA(マーケティングオートメーション)の活用」です。

社会が大きく変わった2020年以降、特にB2B業界では営業手法の変革が迫られました。その中で、デジタルマーケティングツールとして急速に広がったのが「MA」です。

「マーケティング業務を自動化する」とのキャッチーさから、多くの企業で導入が進む一方で、こんな声もよく伺います。

  • 「トップダウンでMAを導入したが、現場でうまく使えていない……」
  • 「メール配信でしか使えておらず、機能を持て余している……」

実際、私も導入されたMAをどう活用したらよいか試行錯誤する中で、能力を引き出すためのいくつかの重要なポイントに気づきました。そこからはMAが少しずつ機能するようになり、商談も生まれてくるようになっていったのです。

そこで今回は、ただ導入しただけのMAをどのように生き返らせたのか、そのポイントについて紹介していきます。MAの運用に悩んでいるWeb担当者さんは、ぜひご覧ください。

MAがただのメルマガ発射台になっていた

さまざまな企業さまとお話していて感じるのは、「MAを導入したものの活用できていない」といった悩みを感じられている方が非常に多いことです。

私もまさにその1人でした。2020年春、自社のWeb集客の担当として着任した私は、さっそくWeb集客の仕組みづくりをはじめました。

当時、会社にはMAが導入されていましたが、お世辞にも活用できているとは言い難い状態でした。

MAの主な利用用途は、フォームと月1回のメールマガジンの配信など。営業が片手間でマーケティングを担っていたため、どうしてもMAの運用まで手が回らずにいたのです。また導入して間もないこともあり、社内にもMAについて詳しい知識を持っている人がいない状態でした。

結果として、MAは商談の創出や売上にほとんど寄与していない状態で、まさに導入しただけになっていたのです。

MAは、その名前の響きから「自動的にマーケティングをしてくれて、見込み顧客や商談が増えていく」ような印象を持ちます。

しかし、MAを導入したからといって商談が勝手に増えたり、人がいなくてもWeb集客が進んだりすることはありません。MAは、商談を増やして売上をつくってくれる魔法の杖ではないのです。

MAを蘇らせる取り組みとは?

私たちアクシスが導入しただけのMAを蘇らせていった過程は、とても地味で、地道な活動の連続でした。

取り組んだことは以下の4つです。

  1. セミナー & ユーザー会に参加
  2. 数千件のデータをクレンジング
  3. 顧客情報をセグメントごとにリスト化
  4. ダッシュボードを作成して、リアルタイムにKPIを可視化

それぞれ詳しく説明します。

1.  セミナー & ユーザー会に参加

MAの担当になった私がまず始めたのは、MAの基本を勉強することでした。

MAには、特有の専門用語が数多くあります。プロスペクト、キャンペーン、リスト、タグなどです。これらの用語を知らないと、何をするにも時間がかかり、しまいには嫌になって使わなくなってしまいます。早いうちに基本的な概念や用語を覚えていくと、のちのち理解も早まります。

私の場合、社内に詳しい人がいなかったので、MAツールベンダーが主催していたセミナー動画を片っ端から見て、ツールの基本的な機能について理解を深めました。個人的に一番勉強になったのは、知人から紹介されて参加したMAツールのユーザー会でした。

MA活用でよくある悩みは、「MAで何ができるかわからないから、何がしたいかも思いつかない」こと。どんなに良い道具も、その利用シーンを知らなくては、道具を使う発想には至りません。ユーザー会では他社のリアルな事例が学べます。機能を使って業務を改善した事例を知っていくと、「この事例をアレンジしたら、自社でも実践できそうだ」との気付きが得られます。

またユーザー会に参加されている方は親切な方が多く、利害関係がないにも関わらず、とても親身に相談に乗ってくれることも。私自身、ユーザー会の方々に大変お世話になりました。

メジャーなMAツールであれば、ユーザー会があることが多いはず。まだ参加されていないのであれば、ぜひ参加してみてください。

2.  数千件のデータをクレンジング

セミナーやユーザー会でMAの基本を押さえたところで、次はデータのクレンジング、いわゆる「名寄せ」作業です。

MAを活用するためには、データを綺麗に保つことが必要不可欠です。たとえば、「姓」「名」が逆に入っていると、メールへの差し込みがうまくできません。また、同じ人物や会社が重複して登録されていると、情報が分散してしまいます。

そこでMAに入っているデータを出力して、氏名・住所・会社名などの情報を手がかりにして、同じ人物や同じ企業のデータを1つにまとめる作業を行います。これがデータのクレンジングです。

私たちもデータを出力してみると、およそ数千件の顧客データがありました。そこで当時一緒に働いていたインターンの力を借り、一緒に数千件のデータを一つずつチェックして、誤字や表記の揺れを修正していきました。

同時に営業担当の力も借りて、メールを送ってよい対象かどうかや、顧客の状況についてフラグ付けも進めました。

実際に経験してみるとわかりますが、データのクレンジングはかなり大変です。さらに、一度やって終わりでなく継続して行う必要があります。MAを導入するにあたっては、そういった業務も日々発生することは忘れないでおきたいです。

3. 顧客情報をセグメントごとにリスト化

データのクレンジングが終わった後は、顧客の情報をセグメントごとにリストにしました。このセグメントリストがMA活用では非常に重要です。なぜなら、セグメントをつくらないと顧客の温度感に合わせたマーケティング施策は打てないからです。

たとえば、顧客には以下のようなタイプが存在します。

  • 見込み顧客(リード)
  • 商談中の顧客(現在商談が進行中)
  • 失注顧客(商談したが失注した)
  • 既存顧客(現在取引がある顧客)
  • 対象外の顧客(競合他社など)

もし商談中の顧客に対して、マーケターがメルマガなどを送ってしまうと、営業から「自分の案件に勝手にメールを送らないでほしい」とクレームが入ってしまうかもしれません。

また、一度も接触したことがない見込み顧客と、一度商談をしている失注顧客では、伝えるべきメッセージも変わってくるはず。だからこそ、顧客の状態をさまざまな切り口で見て、セグメントごとにリストをつくることが適切なコミュニケーションを取る上で重要なのです。

私たちアクシスでは、さまざまなセグメントのリストを運用しています。たとえば、以下のようなリストです。

  • お役立ち資料を過去にダウンロードした顧客
  • セミナーに参加した顧客
  • 過去180日以内にメールを開封している顧客(アクティブ顧客)
  • 〇〇のサービスページを閲覧した顧客

このようにセグメントを切り、リスト化することでお客様の熱量にあった施策が打てるようになります。なおリストは、常に更新されている状態になって、はじめて活用できます。

人手による更新は工数もかかる上、精度も甘くなってしまい、あまりおすすめしません。そこで、MAの使い時です。多くのMAには、条件に合致した場合に自動でリストに追加してくれる機能があるはず。そういった自動化の機能をうまく活用してみてください。

4. ダッシュボードを作成して、リアルタイムにKPIを可視化

マーケティング施策のPDCAを回して成果を出すには、KPIをきちんと追うことが重要です。KPIはたとえば、Webサイトへのアクセス数やコンバージョン数、商談数といった指標です。

ただ、KPIの指標を見る頻度が四半期毎や月次だと、どうしても対策のアクションが遅くなってしまいます。とはいえ、リアルタイムで見ていこうとするとレポーティングの手間が多くなり、本来すべき業務ができなくなっては本末転倒です。

そこで、KPIの進捗管理はMAでレポートを作成し、ダッシュボードでまとめて見られるようにすることがおすすめです。

私たちアクシスでは、以下のような指標のマーケティングダッシュボードを作って、日々進捗を可視化して管理しています。

  • 今月の累積リード獲得数
  • リード獲得の流入元(自然検索、広告、セミナーなど)
  • 今月のお問い合わせ / 資料請求数
  • 今年度の月別リード獲得数
  • 今年度の商談化率
実際に運用しているダッシュボードのイメージ

作成したダッシュボードは毎朝チェックして状況を確認しておけば、進捗が進んでいない場合に早めに対策が打てます。たとえば、月半ばなのにリード数が目標の50%に届いていない場合は、追加でオンデマンドのセミナー配信を企画したり、広告を強化したりして対策をします。

ダッシュボードやレポートの作成は、最初は少し手間になりますが、MA活用をする上では重要であるためぜひ取り組んでみてください。

MAを本当に活用するために重要な3つのポイント

最後に、私がMAを使う中で、重要だと思ったポイントを3つ紹介します。

  1. 顧客の「シグナル」を見極める
  2. 議論する時間があったら、顧客に聞いてみる
  3. 一定量のコンテンツとリード、運用できる体制

それぞれについて説明します。

1.  顧客の「シグナル」を見極める

MAの最大の強みは、顧客のデジタル上のシグナル(合図)を可視化できることです。たとえば、展示会を想像してみてください。ある人がブースに立ち寄り、パンフレットをいくつか手に取っていたら、あなたはきっとこう思うでしょう。

「この人は、サービスに興味を持ってくれているかもしれない。ちょっと話しかけてみよう」

つまりブースに立ち寄り、パンフレットを手に取ることは「このサービスに興味がある」シグナルをその人が発していると言えます。そしてこのシグナルを受け取ったあなたは、「きっとサービスに興味がある」だろうと考え、話しかけるというアクションで反応しているのです。

MAは、この一連の流れをデジタルで実現することができます。たとえば、ある人がWebサイトを訪れ、お役立ち資料(ホワイトペーパー)をダウンロードした時、それは「その資料のテーマに興味がある」シグナルを自動的に検出できるのです。

であれば、そのテーマに関連したセミナーの案内や事例などをお伝えすれば、きっと興味を持ってくれる可能性が高そうです。

MAを使えば、クリックした割合や誰がクリックしたかも可視化できる

このようにMAは、お客様のデジタル上のシグナルを自動的に検出することができるツールです。Web担当者は、そのシグナルを出した顧客は、どんな意図があるのだろうと考え、その意図に対して応えるコンテンツを出すことが活用のポイントです。

2. 議論する時間があったら、顧客に聞いてみる

MAの特徴的な機能として、シナリオの作成機能があります。

たとえば、顧客が資料をダウンロードしたら、このメールを配信する。さらにそのメールに反応があったら、次はこのメールを配信するというように、条件分岐で反応を変えることができます。シナリオ作成機能は、このようにプログラムを組んで、自動でリードナーチャリング(顧客育成)する機能です。

MAに触り出した頃は、私も議論しながら時間をかけて壮大で複雑なシナリオをつくっていました。しかし、実際にやってみると、大失敗。想定していた反応は全くありませんでした。

かつて時間をかけて考えてつくったシナリオ……でも大失敗

この失敗を通して気づいたことは、とにかく施策をやってみて、データを見て改善することの大切さです。時間をかけて議論しても、思ったような結果にならないケースがほとんどです。それよりも、議論は最小限にして、とにかく施策を打ってみるほうがずっと早く結果は出ます。

MAの長所は、短時間で開封やクリックといった反応が測定できることです。それらの数値データをもとに、小さな改善を繰り返せば、施策の精度は上がっていくはずです。未知なことが多いマーケティングだからこそ、顧客に聞く姿勢を忘れないことが重要だと感じています。

3. 一定量のコンテンツとリード、運用できる体制

最後のポイントです。MAは導入しただけでは、決して機能しません。MAがその真価を発揮するためには、一定量のコンテンツとリード、そして運用できる体制が必要です。

MAは、よくファネル(じょうご)の構造に例えられます。「獲得したリード>商談機会がある見込み顧客>商談顧客>取引顧客」のような構造です。つまり、入口となるリードが少なければ、その後の商談に行き着く顧客はかなり限られてしまうのです。

入り口となるリードが少ないと、最終的な顧客数もかぎられてしまう

MAの運用がうまくいっていない企業の多くは、そもそもリード獲得に苦戦しています。その原因の多くは、コンテンツ不足です。そして、コンテンツをつくるには、ある程度の労力が必要です。他部署に協力を求めることもあるでしょう。当然、業務の片手間ですることは難しく、数年単位の時間も必要となってきます。

ただMAを導入したとしても、勝手に商談が生まれることはありません。MAで成果を出すためには、MAを機能させる組織と仕組みも一緒につくっていく必要があるのです。

おわりに

この記事では、私たちアクシスが導入しただけになっていたMAをどのように蘇らせたかについて紹介しました。

MAは、導入してからがスタートです。そして、活用していくには人もお金も投資が必要です。しかし、コストだけではありません。MAを活用する仕組みさえできれば強力な味方となって、マーケティングや営業をサポートしてくれるはず。

MAの活用に悩む方は、ぜひこの記事を参考に一歩を踏み出してみてください。

次回の記事では、効果が出るメールマガジンのコツについて紹介していきます。ぜひご覧ください。

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