SEOで「やってみないとわからない」施策のうち、試す価値があるテストを紹介しているこの記事は、前後編の2回にわけてお届けしている。
前回は、試す価値のある5つのSEOテストのうち2つについて説明した。後編となる今回は残る3つ、「③ セクションの配置替え」「④ コンテンツの削除」「⑤ 強調スニペット」について、各テストの実施方法とともに見ていこう。
記事の最後では、前後編で解説した5つ以外にも存在する、「テストする価値がある施策」の例をいくつか紹介する。
- URLの変更(前編)
- コンテンツの更新(前編)
- セクションの配置替え(この記事)
- コンテンツの削除(この記事)
- 強調スニペット(この記事)
③ セクションの配置替え
セクションの配置替えテストは、その名のとおり、セクションを並べ替えるテストだ(つまり、コンテンツ内に情報をどんな順で提示するか)。この実験では、「ページ上のコンテンツ、要素、またはコンポーネントの一部について、優先順位を変更できれば、ページの検索順位や獲得するトラフィックに影響を及ぼせるかもしれない」と仮定している。
特に現状が次のような場合、うまくいくことがある:
オーディエンスの主な検索意図に対応するページ内のセクションが、ページのずっと下までスクロールしなければ表示されない位置にある場合
ユーザーがそのコンテンツにアクセスするのに一手間必要になる場合
わかりやすくするために、「email ideas for cold outreach」(コールドアウトリーチのための電子メールのアイデア)というキーワードを例に見てみよう。
このキーワードは、アウトリーチキャンペーンに使えるメールのテンプレートやフレーズを探しているユーザーから多くの需要があるように見える。
そこで、このトピックにぴったりのブログ記事を作成したとする。しかし、ユーザーが探しているようなメールのテンプレートや例文は記事の最後に埋もれてしまっていて、そこにたどり着くまでにはコンテンツの他のセクションをいくつもスクロールしなければならないとする。
これでは、ユーザーの検索要求を満たせない。このような場合はセクションの配置替えテストを実施するべきだろう。
つまり、ユーザーが探しているこれらの情報をページの下部から上部へと移動させて、優先順位を変えるのだ。そうすれば、グーグルがコンテンツを「ユーザーが求めている情報にすばくアクセスできる優れた検索結果」として認識する可能性が高くなる。
ひいては、コンテンツ更新プロジェクトの場合と同じように検索順位やトラフィックも改善できる可能性がある。しかも、新しいコンテンツを作成するより早い。
セクションを配置替えするテストの実施方法
パフォーマンスが低いページのなかで、ユーザーの主な検索意図に対応するセクションがページ内のずっと下にあるページを探す。
オーディエンスにとってより良い体験や流れを生み出すような方法で、ページのセクションを並べ替える。
新しいページを公開し(ただし、オリジナルのページのファイルは必ず保存しておくこと)、Google Search Consoleでインデックス登録をリクエストし、その日をベンチマークの基準とする。
2週間~6週間待ってから、Google Search Consoleで変更前と変更後のクリック数を測定する。
どちらのURLのパフォーマンスが高いかについて、方向性を決めるのに十分なデータを収集したら、次のいずれかを行う。
変更後のページの方がパフォーマンスが高い場合:おめでとう! チームに結果を報告し、変更したままにしよう。
オリジナルのページの方がパフォーマンスが高い場合:元のコンテンツとファイルを復活させる。その後、ページのインデックスを再登録し、トラフィックの回復を確認するためにパフォーマンスを観察継続する。
④ コンテンツの削除
このテストは、コンバージョンレート最適化(CRO)の専門家が「テイクアウェイテスト(削除テスト)」と呼ぶもののSEO版だ。
デジタルマーケティングでは、「ページがシンプルで要素が少ないほど良い」場合がある。そのため、
- ページ内の要素
- コンテンツ内のあまり役に立たないセクション
など、何らか項目を切り捨てることによって、より対象を絞った強力なウェブページを作成する助けになる可能性がある、というのがこの実験のキモだ。
CROに重点を置いた削除の実験では、CROの専門家は次のような要素を削除の対象とするだろう:
- ユーザーの注意をそらす要素
- コンバージョンパスの邪魔になる要素
検索順位やトラフィックのパフォーマンスを高めることを目的とするSEOでの削除の実験の場合、少しだけ異なる。SEOの場合、コンテンツ削除の実験は、コンテンツやページ要素から「余分な脂肪をそぎ落とす」ことにすぎない。
コンテンツページを分析する際、検索ユーザーが本当に求めている情報から逸脱しているセクション、段落、文章がないか自問してみてほしい。作ったコンテンツのうち、実際にはユーザーにとって価値のないものがいかに多いかを知って驚くかもしれない。
コンテンツを削除するテストの実施方法
コンテンツを削除するSEOテストでは、価値の高いページや投稿記事のうち、検索順位やトラフィックのパフォーマンスで問題を抱えている可能性のあるものがないかを調べる。その手順は次のとおりだ:
上位のキーワードとSERP(検索エンジンの検索結果ページ)を分析して、ユーザーが主に見たり読んだりしたいと思っている検索意図を、「主要なもの」と「その次に重要なもの」の2種類、明確にする。
「もし自分がオーディエンスだったら見たいと思う情報」とは大きく異なるコンテンツがないか、愚直なまで徹底的にページのコンテンツを調べ尽くす。
調査の結果、ユーザーの役に立たないコンテンツや要素が見つかったら、それらを削除する。ただし、実験結果がマイナスになった場合に備えて、元のページのファイルは必ず保存しておくこと。
新しいページを公開し、Google Search Consoleでインデックスを再登録し、その日をベンチマークの基準とする。
2週間~6週間待ってから、Google Search Consoleで変更前のクリック数と変更後のクリック数を測定する。
どちらのURLのパフォーマンスが高いかについて、方向性を決めるのに十分なデータを収集したら、次のいずれかを行う。
変更後のページの方がパフォーマンスが高い場合:おめでとう! チームに結果を報告し、変更したままにしよう。
オリジナルのページの方がパフォーマンスが高い場合:元のコンテンツとファイルを復活させる。その後、ページのインデックスを再登録し、トラフィックの回復を確認するためにパフォーマンスを観察継続する。
⑤ 強調スニペット
この作業は、僕が特に気に入っているものの1つだ。僕のチームは近年、競争力ある大量のトラフィックとクリックを獲得できており、これには強調スニペットの回答をSEOテストのように扱う取り組みも寄与している。
強調スニペット向けの施策を「最適化」ではなく「テスト」として扱うようになったことで、より良い回答を書く方法についてはるかに多くのことを学べたほか、強調スニペットのテストを拡充させるプロセスを構築できた。
つまり、アンサーボックス(Googleの検索結果上部に検索キーワードに対する答えを直接表示する機能)の検索結果に表示される「打数」が増えて、トラフィックの増加ペースが速まったということだ。
強調スニペット向けに最適化する方法については、すでに多くの記事がある。ここでは、そうした手法を改めて解説するのではなく、強調スニペットのコピーをテストするプロセスだけ紹介する。
さらに、強調スニペットのテストは、成否がはっきりとわかるため、統計的有意性を明確に示せる珍しいケースの1つだ。君のテストは、強調スニペットの獲得につながったか、つながらなかったかのどちらかになる(中間はない)。
※よりロングテールの強調スニペットも実験の影響を受ける可能性があるが、強力な主要キーワードをターゲットにしている場合、その影響は一般に無視できる。
強調スニペットのテストの実施方法
SERPに強調スニペットが表示される機会や、上位5件以内に表示されるものの回答ボックスには表示されないページを探し出す。
どのページが強調スニペットとして表示されれば自分のウェブサイトにとって最も価値の高いと思われるか、優先順位をつけていく。その際には、次のような情報を判断基準に用いるといいだろう:
- オーディエンス層
- コンバージョンの可能性
- 潜在的な検索ボリューム
記事の中で強調スニペットの対象になる部分を書き直す。
このステップも、作業の詳細についてはこの記事の範囲外となるため、強調スニペットに合わせた最適化をまだよく知らない人は、このようなリソースをチェックしておくといいだろう。
その後数週間、ターゲットのアンサーボックスとトラフィックを定期的に確認する。
最初から成果が出なかったとしても、再度テストしてみよう。
アンサーボックスのテストですばらしいところは、元のページに戻す必要はほとんどなく、ホームランを打つまでスイングし続けられることだ。僕たちの場合、強調スニペットの獲得に成功するまでに10回以上も書き直さなければならなかったこともある。
このプロセスを繰り返し、ステップ1で見つけた強調スニペット候補の残りについて、ステップ2で決めた優先順に従ってテストしていく。
おまけ: 実は価値あるその他のSEOテスト
ここまで5つのテストを紹介してきたが、これで「実はテストする価値があるSEO施策」すべてを網羅しているとは、とても言えない。
前編の冒頭でも述べたように、真の統計的有意性まで測定できるかどうかに関係なく、「データを使って結果を測定するまでは、どのような結果になるかわからない行為」は「テストする価値がある」とみなせる。
もし君のチームが、たとえば
- コアウェブバイタル
- サイト内リンクの構築
- E-A-T(専門性・権威性・信頼性)の強化
- サイト移行
- 構造化データマークアップ
- UX(ユーザーエクスペリエンス)の変更
などの取り組みにかなりのリソースを投資しているなら、通常はそうした投資にプラスの効果があったかどうか、投資前後の分析を行うことが賢明だ。
このような実験を積み重ねることで、どこで効果があり、どこで効果がないかを明らかにして、戦略やSEOの知識をより有益な結果に導けるようになる。
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オリジナル記事:SEO上級テク(後編): “最適化”に見えるが“テスト”すべき5つの施策 | Moz - SEOとインバウンドマーケティングの実践情報
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